抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

違和感だらけ「漁港の肉子ちゃん」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はSTUDIO 4℃の新作です。あんまり見る気は無かったんですが、4℃だもんね、一応見ないと、です。

映画パンフレット+チラシ * 漁港の肉子ちゃん * 大竹しのぶ Cocomi 花江夏樹 下野紘 吉岡里帆 マツコデラックス

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

(以下ネタバレ有)

1.違和感マシマシ

  開始1発目で気づいてしまった。この映画とはバイブスが合わない。端的に言って、この作品のギャグ、コメディ部分は全部つまらなかった。しつこい。その上で、どうしても大竹しのぶの演技が気になってしまった。肉子ちゃんの持つイレギュラーさを出す為にキクリンたちとは違う方向に振り切る必要があるのは理解できるし、その方向でやったんだと思うのだが、それとは別のラインで芸人たちというまた一歩外れたラインの声も走っているので違和感がマシマシになってしまう。せっかくCocomiさんが素晴らしいナチュラルな芝居をしていたように思えたのに、どこか勿体ない。

 話自体は、なんの変哲もない女子小学生の日常を描きながら、彼女が盲腸で倒れて回想に突入、そんなツイストでもない実は血の繋がった親子じゃないんですを開示して感動がドーン!って感じだ。前半の女子小学生のバスケをするくだりなんかは興味深かったが、それが全体になにか影響するわけでもないので構成としても上手いとは思えない。結果的に別にそこで開示されても感動しないし、「みんな望まれて生まれてきた」には『ソウルフル・ワールド』と同じような嫌味を感じるし。最終的に初潮を迎えて、子どもを産める状態になったことをおめでとう、で閉めるのは違和感しかないのだが、これは正直男性には分からない世界なので私の感じ方が間違っている可能性があると思っている。

2.明石家さんまとは何者か

 明石家さんまの面白さとは何か。極めて個人的な意見だが、それはポケモンマスターとしての能力だと思っている。状況を判断し、その場にいる誰が次のポケモンとして相応しいか的確にチョイスする能力、スタッフを含めてその場にいるどんな人物さえも瞬時に配下に加えてしまえる収奪能力。この2点が出色だと思っていて、それゆえ例えばホンマでっかTVやさんま御殿、向上委員会などのレアポケモンをキャスティングしているタイプの番組での面白さが保証されている。

 一方で、その弱点としては、人間同士の殴り合いの場ですら、ポケモンを登場させようとしてしまうところだと感じている。先日の徹子の部屋SPでも配下のポケモンを連れてくる形をとって黒柳徹子との正面トークから逃げていた。(無論、なんでもタイマン勝負にしようとして権力で笑いをとっている松本人志が良い、という訳でもない)

 この点がこの映画での明石家さんまの悪いところに完璧に出てしまっている。キャスティングに芸人(確実に向上委員会から選出されている)を出してくるところぐらいまでなら許すのだが、いくら自分が惚れこんで企画立案を担当しても、クレジットの最後は制作者であるべきだ。監督より後に自分の名前をクレジットさせて、最後に完全に本人が登場する終わり方は、映画全体を自分の支配下に置きたいという欲求が噴出していると言わざるをえず、それだけでどんなに映画自体が良かったとしてもガン萎えである。本人は本作では自身は鍋とコンロを用意してあく抜きしただけだと宣っているようだが、ほれみろ。自分だけ鍋の外にいて鍋を支配下に置いてるじゃないか。『プペル』とは全く逆のアプローチに感じるようでいて、西野は武装したいタイプで、さんまは配下にしたいタイプだった、それだけの違いでまさしく明石家さんまの色しかない映画だった。