抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

そして親になる「劇場版ポケットモンスター ココ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 さあこれが2020年の映画館納めとなる作品です。(2020年に見た映画のブログが最後とは言っていない)選ばれたのは、ポケットモンスター最新作。夏からズレて冬休み映画として公開になりました。まさか最後に年間ランキングを再考するハメになるとは思いませんでした。

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WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

(以下ネタバレ有)

 

1.これこそみんなの物語

 私はこの数年、リブートされた世界のポケモン映画に常に苦言を呈してきました。出てくるポケモンが古すぎる!と。ポケモン世界は拡張され続け、最新作「ソード・シールド」でも数多くのポケモンが登場しています。映画では、「みんな」や「存在」がテーマなのにも関わらず、サトシ中心の世界観だからか、カントー地方ポケモンにばっかり出番がありました。今の子どもたちの方向を向いていないなら、私も卒業した方がいいのではないか、そんな風に昨年のポケモン映画の感想の末尾で述べておりました。

 その点で言えば、本作は素晴らしい!!もちろん、ソード・シールドにザルードと色違いセレビィを貰えるので、ガラル地方で見つかった第8世代のポケモンがメインではありました。エースバーン・ゴリランダー・インテレオンの御三家にはしっかり見せ場がありましたし、ココの相棒としてホシガリスはかなりの大活躍。タイレーツも可愛かったし、とぼけきっていたウッウもいいアクセントに。ソード・シールドやってないので、名前分からないやつもいました。

 しかし、それだけでなく、フライゴンゴロンダがケンカしてたり、テッカニンコノハナマシェードバンバドロモンメン、ヤトウモリ、デンジムシと草・虫タイプが中心とはいえ、タイプバランスも見ながら森にいそうなポケモンは全世代から選出。それでいて、リージョンフォームは含まないという整合性もしっかり合わせてきている。今回のポケモンの選出は実にバランス感覚に優れていたと思います。

 そんなポケモンたちが最終的にザルードやサトシたちと共闘してゼッドに立ち向かう姿は、これこそが見たかったポケモンみんなの物語なんだ、と嬉しくなりました。トドメを指すために、ピカチュウをリレーするところとか、エンドゲームみもありましたね。

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2.アヴェロンの野生児

 ポケモンのメンバー選出だけで随分と文字数を使ってしまいましたが、本作はポケモンであるザルード(個体名がでない!)が人間の赤ちゃんを拾って育てる話。そのため、前半は森の中でココが自分をポケモンと思うように自在に動き回る姿が見て楽しい。サトシと出会ってからは、まずは人間界でのカルチャーギャップコメディ的に遊べて、そして人間VS自然(含むポケモン)という大きな物語が進んでいく中でザルードとココの親子の物語も進んでいく、という展開はスムーズでストレスなく進んでいた印象です。

 映画ファン的には「ターザン」を思い出すのでしょう。つるのムチを使ったスイング動作もありましたし。ただ、生憎の未見。ということで私が想起したのは、アヴェロンの野生児ですね。アヴェロンの野生児はかつてフランスで見つかった野生児で、発見時は全く言語や慣習を理解せず、最終的に人間の機能を回復することなく死を迎えています。その親を完全な自然から知的生命体としてある程度のレベルのあるポケモンへと変更したことで、ココ自体の社会性や人間性の獲得の説得力が増すことに成功しています。個人的には、ポケモンとココが話すときは観客に翻訳された状態で、サトシたち人間と話すときは、ポケモンとしての会話しかさせないという選択は大変好みでした。

 んで、親子としてのザルードとココの物語は泣けました。ザルードは常に自分が人間を拾って育てる、という決断をしたことへの葛藤があり、逆にココはザルードを自分の父親として自明のものとして扱っている。これまで腕っぷしで解決しようとしていたザルードが、森のポケモンたちに頭を下げて協力を依頼するシーン、そしてココの涙の治療で自分は既に親だったんだ、と自覚する。あのDOGEZAは心にくるものがありましまねぇ。子によって親になるという持っていきかたは、子ども騙しではない子ども向けとして正しい姿に感じます。また、細かいことですが、ココからしたら父ちゃんでしたが、ザルードの自己認識としては「父」ではなく「親」だったのは興味深い点だと思いました。

 最後に、どうしても触れておくべきなのは大きく一線を越えたところ。ポケモンと人間の狭間・境界の存在としてのココが取り上げられたわけですが、生物的には人間の存在がポケモンの技を使ってしまった、というトンデモナイ瞬間が訪れました。一旦涙が引っ込むレベルで驚きましたし、セレビィのおかげ、とかにするのかと思ったらそうでもない。純粋な奇跡としてやっちゃってましたね、びっくり。これが許せるのか、というと微妙なラインですが、ヒロアカの映画で爆轟に一瞬譲渡された、みたいな微妙なラインの禁じ手なのかな、という認識なので一回目の今回は大目にみてやろうと思います笑

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