抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

そこに山があるから「神々の山嶺」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はフランスアニメ映画です。何が凄いって、フランスのアニメ映画は寝るか傑作かの二択だったんですけど、吹替だと見事にそういう二択に陥る心配がないっていう。試写が吹替だったのも知らずに行ってしまったんで、堀内賢雄さんがしゃべりだしてビックリしました。

 それにしても、試写会の解説ゲストだったアニメ評論家藤津亮太さんを遂に生で!だった訳ですけど、本当に藤津さんの言語化能力凄い。

 なお、ブログ記事タイトルは本来なら誤訳で、「そこにエヴェレストがあるから」なんですが、本作の感想としては山の方が適切だと思ったのでそういう野暮なこと言わないでください

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.山を舐めたらアカン

 えーと、隠れた性癖を申し上げますとですね、私雪山の映画って結構好きなんですよ。ネトフリオリジナルで配信されてる『雪の峰』とか『氷がすべてを隔てても』みたいなやつを地味ーに好きですし、あと人生の大切なことは全て『八甲田山』で学んだと豪語しておりまして。高所恐怖症なので、高い山に登って危ないぞ!!みたいな話は嫌なんですけど、という矛盾する感情。

 で、この作品はしっかり山を舐めてると死ぬよ?って言ってくる映画でありながら、下が見えて怖い、足がすくむ、みたいなのがクレバスを飛ぶ時と、文太郎が死ぬっていうその2回だけだったと思うんで、セーフ。それよりも、遠景では壮大、近景ではしっかり登れそうにも見えてしまう雪山の模様が没入感をマシマシで届けてくれるし、そんで音もいいので、ますます雪山の中って感じ。すごーい。

 もうね、いや、これを言ったら規模が全然違うんですけど、まじで『ヤマノススメ』なんですよ。この映画鑑賞時点で、2シーズン目の12話まで見ているんですけど、富士登山で高山病にかかった話、無理しない話、でも山に惹かれる話、みたいな全部『ヤマノススメ』でみたやつ!みたいな。『ヤマノススメ』は凄い。凄いんです。で、それをちゃんとエベレスト、ガチ登山でやったらどういう描写になりますか?っていう映画な訳です。追う追われる関係になる羽生(cv.大塚明夫)と深町(cv.堀内賢雄)の2人ですが、羽生が飲みの席上で鬼スラを自分ひとりで登ったようなもんだ、みたいなことを言えば、見事に文太郎に死なれるわけで、決して単独登山が悪いのではなく、一緒に上った仲間がいるなら尊重しなくてはならない、という人間の基本を叩きこんでくれます。

 全体的に、「マロリーはエベレストを登ったのか?」という謎の答えを羽生が握っている、ってことで深町が追うはずなのに、いつの間にか深町は羽生に会うことが目的化して、そのまま一緒に山を登っちゃうあたりで、マクガフィンとしては機能していないような感じはあるんですけど、それでも持って行けちゃう山の魅力?引力?山登りの業、みたいなのをしっかり感じさせることに成功しているので、まあいいか、と思えます。