抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

憧れる生き方?「ノマドランド」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 えー、新年度ですね。ここんとこ忙し気味で、試写会で見れた作品を公開日に予約投稿しておいたのでブログ上は途切れていませんが、「あのこは貴族」以来2,3週間ぶりに映画館いってきました。体力と集中力の低下を顕著に感じますね。でもそんなことは気にしないのです。さあゴジラS.P.のEDを見て号泣するのです。
 さあ、それではアカデミー賞で何部門か取るのは多分確定の「ノマドランド」いってみよー!

Nomadland: Screenplays

 

WATCHA3.7点

Filmarks3.5点

(以下ネタバレ有)

 

1.告発型映画かと思いきや

 正直ですね、完全に告発型映画だと思っていたんですよ。

冒頭いきなり炭鉱の町が滅び、郵便番号すら消える、という衝撃的な話が字幕で説明されて始まるわけですが。日本にいるとあまり想像つかない話ではありますが、鉱山の町なんかは確実に近い状態だし、超限界集落に家の墓がある身としては、意外と日本でもすぐそこまで迫っている話なんだろうな、と思いつつ。

 そっからフランシス・マクドーマンド演じるファーンが季節労働者として働きながら、ヴァンでの旅を続けていくそれを淡々とおっかけているだけの話。もうね、雄大大自然にマジックアワーの光をふんだんに使って、人間なんてちっぽけなものさ、みたいな雰囲気をプンプンさせつつ、同じように生活している人たちとの触れ合いに少し笑いつつな感じ。これまたアメリカに持ってるイメージとは対極的というか、結構あっさり知らん人でも話しかけに行くし、ものあげたり貰ったりして交流したりで、車で生活するって意外となんとかなるのね、なんて思ったり。アマゾンなんて駐車場の料金まで負担して雇っているとはあら驚き。勿論、彼女たちは自ら望んでその生き方を選択した人だけではなくて、そうせざるを得ない人もいただろう。でも、そういう人の犠牲の下になりたっている社会への警鐘とか、その一方で富を増やす一方のホワイトカラー、みたいな描写って、妹の家に行った時のちょっとした口論ぐらいなんですよね。ファーンたちの人生を悲惨なもの、みたいに扱うんじゃなくて、一つの生活形態と肯定されるものとして描くことで、アメリカの現状を訴える告発型の映画じゃなくて、人生賛歌的な映画になっていました。

2.No Mad Land

 さて、本作のタイトルを見た瞬間からずっとノマドってノーマッドとも読めるな、と思っていて、そのダジャレ先行でここで書く内容をこじつけています。でも、意外と言い得て妙かもしらんと思っていて。まずは前述したように、ここで紹介されたノマドワーカーたちは、みんな自暴自棄になってそういう生活をしているんじゃなくて、そういう生き方を極めて冷静に選択しているんですよね。No Madの対極がMad Maxだとすると、あんな風に生きざるを得なかった世界とは全く違う訳です。

 と同時に、フランシス・マクドーマンド以外ほとんどが本当のノマドワーカーを起用しているという点。それにも関わらず、たどたどしいような感じはせず、むしろ全員が最高の芝居をしているようにも見える。クロエ・ジャオ監督の前作「ザ・ライダー」もそうだったので、監督の演出力が凄いのか、フランシス・マクドーマンドが自然に見せるまで演技をしているのか、そもそも演技をしていないのか。おそらくはそのすべてだとは思うんですけど、その結果劇中に虚構が殆ど見当たらない非常にドキュメンタリックな作品に仕上がったと。

 翻って自分がこのノマドの生活ができるか、と思うとねぇ、難しいですよね。ハード面がクリアされても、ファーンにとってHouseとHomeが違ったように、私にとってもFC東京という圧倒的なホームがあるので。味スタに定期参戦できないどころか、DAZNの受信だって大変そうなあの生活はさすがに受け入れがたい。完全に、いつか帰るよ僕だけのHomeですね、いや多摩川クラシコは現地参戦するんですぐ帰るんですけどね。