どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
えー、ふりふらの前置きでもやっぱりジョゼで恒例のこのコーナーをやることになりました。いまんとこ、この次の実写化済み作品のアニメ化はないはず…。
ちなみに虎魚と書くと、オコゼのことで、魚虎と書くと、カワセミとシャチとハリセンボンです。
1.実写版
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
アニメ版の前に。
恋愛の話であるが、ジョゼのイニシエーションの話でもあるように思えた。
ジョゼにとって管理人はあくまで外の世界に連れ出す役割であり、世界を知ってからはまた別の自分なのである。まだ世界に連れ出してくれるだけで喜んでいるうちは車椅子を必要としないジョゼだが、それは寄りかかっている。この辺はスマホのある今ではできない。
車椅子という形であれ自立することが真のハッピーエンドなのだと思う。
ある種の感動ポルノというか、障害者への同情、のような表現を自覚的にしているようにも感じた。
2.アニメ版
いやー、実写版と全然違うのでびっくりしました。
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
ⅰ.夢を軸にした2人の交流
実写版では、若者の恋愛・性愛っていうところをフォーカスしていた印象でしたが、本作は恋愛というよりも青春映画な趣き。この辺は実際の人物よりも幼く見せることができるアニメだから出来る選択だろう。ふりふらもキラキラ目になったし。それに実際、ジョゼは24には見えなかった。そのことで恋愛のプラトニックな感じが増している。
主人公である通称管理人の恒夫がバイトしているのもダイビングショップであり、どこか爽やかさを感じさせる。当初から恒夫が夢を追い、そして着実にそこに向かって歩みを進める人物として描かれ、対してジョゼは夢を諦めている人物として描かれる。実写版とは違って、当初から車椅子に乗っていることもあり、自立はしていない訳ではないが、夢を追うことを諦めてはいる感じが上手く出ている印象だ。
また、アニメならではの表現ともいえる海の表現豊かなOPも良かったし、ジョゼが世界を広げるところも、より新鮮に見せることが出来ていたように感じた。まさに初めて世界が広がった瞬間である最初の海での場面は、さながらダンスシーンのような美しさであり、後に海自体も決定的な場面となる海とは全く異なる色を見せている。
単に知らない世界を広げていくだけでなく、図書館の花菜のような友人も出来て、彼女もジョゼの良いところを見つけてくれる。人の輪が広がったことで、それまでの閉じこもっていた過去との対比が上手くできていて、世界が広がることの素晴らしさを示していたのではないだろうか。
それから実写との比較でいえば、恒夫がジョゼの家に通うようになるきっかけや祖母の造形なんかも割とこっちのほうがスムーズにできているように感じる。ちょっと実写版のおばあちゃんは害悪な存在すぎた。あと諭吉ね。ネコカワイイ。
そして声優としては、清原果耶は文句なし、中川大志はもう最高。恒夫の眼から光が消えた時とノッている時の違いをしっかり演技できていたと思いますし、他の本職声優さんとの掛け合いでも違和感を感じませんでした。そうそう、そういう意味では見取り図の盛山さんは、すぐにそうだと分かるのに芝居としては違和感が無くてびっくりしましたね。
ⅱ.2020年に蘇る意義
実写版が2003年だったので、そりゃ決定的に違うよね、っていうのが障害者への理解や環境整備。勿論、進んだ面もある一方でだからこそ不満を感じるような点もある。そこを十全に踏まえて本作が作られているのは感じたし、うーんもしかしたらパラリンピック合わせもあったのかもしれない。ジョゼに対して恒夫が抱いてる情を「同情」とパッケージしてジョゼに突きつけたことで、恒夫の退院に迎えに来なかったこともまあ問題ないかな、ぐらいにはできていたと思う。
それから、実写版の作られたゼロ年代とは恒夫やジョゼたち、若年層への捉え方、求められるものが変わっているのかもしれない。勿論、それは更に遡る原作小説が書かれた時代からも異なっているのだろう。どこかフラフラしているような、性愛に明け暮れる大学生像は、勤勉に学びながらもバイトを掛け持ちしないと夢を叶えられない大学生に変貌を遂げ、ジョゼと恒夫の結末は真反対の方向に進んだ。うーん、それがいいのかは分からないが、個人的には全体的には賛って感じだろうか。ただ、恒夫も交通事故に合わせてジョゼと似た境遇にさせるっていうのは、同じ地獄を見ないとダメっていう方向にも解釈できそうであんまり好きじゃないかなー。
あと、実写版と大きく変わったのは世界への広がり方が気楽になった時代だ、というところ。ここは実写版を見たときに期待していたのに、まさかのスマホ持ってないで片付けられてしまった。画面でしか見たことが無いからこその本物の体験(本作で言えば海の味とか)が際立つ、みたいなのが好みだったかな。