抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

実写とアニメを比べてみようのコーナー「思い、思われ、ふり、ふられ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 1年ぶりの実写とアニメを比べてみようのコーナーです。年1企画だったんですね。知らんけど。年末はあれか、ジョゼでこれやるか?

tea-rwb.hatenablog.com

 ということで実に珍しい、同年に同タイトルの実写とアニメの劇場版が公開されるという作品、両方の感想でございます。

 

1.実写版

 エンディングでofficial髭男ismの曲が流れるんですけど、歌声を知らなくてクレジット見るまで分からんかったというね…。

f:id:tea_rwB:20200827213041j:image

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

ⅰ.キラキラ映画特有のムーブがまだまだ苦手

 ティーン向け恋愛ムービーを映画館で鑑賞するのは本作と同じく浜辺美波主演の「センセイ君主」以来でしょうか。アニメでいいなら「キミスイ」や「きみ波」などがありますが。

 そん時の苦手体験からか、どうにも気に入らないところが目に付いてしまうのでは、と危惧していたんですが、まあある程度はその危惧はあたってしまいました。

 やっぱり何といっても気になるのはすっごく少女漫画的な気がする王子様ムーブですよね。北村匠海赤楚衛二の2人がガンガンイケメンムーブをかましてきて、おじさんはびっくりしちゃいます。

 代表的なところでいえば、突然手を握って走り出すとか、おれこっちとか、熱中症で倒れたとはいえお姫様だっことか。これが北村―浜辺間や赤楚―福本間で行われているなら関係性の深さの描写としてわかるんですけど、どっちも会ってすぐ、少なくても映画内では明確な日時描写がないので、一気に踏み込んだことをしている印象が拭えません。まあ後ろの席で若い女性がいいなぁ、と言っていたので私の戯言は無視していいのかもしれませんが。

ⅱ.完全に分離した話と4人

 これは映画本編なのか、原作の問題なのかわからないのですが、明らかに話が前後半で違いすぎるのは感じました。

 前半は由奈が主人公格として、彼女が好きになった男の子は、義姉のことが好きだった!でも義姉は自分とも友人で…みたいな話であり、由奈の成長をしっかり確認できる。ここの福本莉子さんの演技は素晴らしく、明らかに変化を観客にも印象付け、そりゃ惚れるやつがでてくるわな、と思わせるものでした。

なんとここで偶然のお知らせ!2018年の春アニメのひそねとまそたんでOP歌ってたり、梶さんの幼馴染みの巫女やってたりとかなりの福本莉子古参なのでは!?

 一方、後半になると乾君の家庭の問題を題材に、高校生に直面させらる将来の問題に。前半は恋を語るときに自分に正直になれない話だったのが、今度は夢を語るときに正直になれない、という根っこは同じだけどだいぶ違わないか?というテーマ。クライマックスでは、一応まあそらそうだろ、というカップルの結びつきになるんですが、ここにおいて正直前半のフリがほとんど効いていない気がして。特に違和感が強いのは、まだ想いを振り切らずにいた理央が朱里にキスしてしまったところを、乾が目撃したシーンの回収。このシーンは夏祭りで乾が朱里の告白を断る理由にはなっているのに、そのあとの乾の恋心が高まっていく過程では全く無視されてるんですよね。そこが解消できていないと、例え理央が由奈と恋人になっているとはいえ重大な懸念になると思うんですが…。フリが効いてないといえば、ただただ文句言いに来た朱里の元カレもなんだったんでしょうかね。

 ということで、結果的に前後半が大きく離れているうえに、前半も後半もそれぞれ4人である必要性がなかったというか、うまく4人であることに収束していかないくせに、ほぼ4人で物語を動かしているのが微妙だったのが正直なところ。

 あと、夢を言えない、の部分については露悪的に描かれている親の存在がありながら、でも子どもの側が擦り寄ってね、感が否めずそこも気持ち悪く感じました。もっとびしっと言ってやっていいんだよ、DVD全部捨てるとか、普通に損害賠償請求だ!身内だろうと相手取ったほうがいいぞ!

2.アニメ版

f:id:tea_rwB:20200924010357j:image

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

かなりこっちの方が好み!

ⅰ.少女漫画原作のアドバンテージ

 実写版と変わらず、苦手だったイケメンムーブは健在でした。これは原作からそうなんでしょう。ところが、アニメーションだとそこまで気にならず。ファンタジー感がますのでしょうぁ?あとはオトコが等しくイケメンムーブだったからかも。我妻くんまでイケメンムーブしてましたもんね。アニメーションになったことでファンタジー感が増した、という意味では、由奈と理央の告白シーンの無限にきらめくシャボン玉やら、花柄フレームやら、声合わせやら漫画っぽくして、思いっきり空気感を少女漫画に寄せる作戦が奏功していたように感じます。

ⅱ.キャラの立ち方

 実写版と大きく違ったのがイベントのこなし方。

 原作をかけらも読んでいないので、あくまで両者を見比べた印象ですが、実写のほうがイベントの数を減らして話としてのつながりを持たせようと、色々くっつけたりしたんだと思いますが、その結果が前後半に分かれた感を感じさせてしまいました。

 アニメ版は、さらに細かくしつつ、しっかり4人の群像劇的に描けてた印象。確かに、最初は由奈と朱里の親密さの描写をしっかりしないといけない分、少し理央が薄い感じはしたし、男子コンビの描写がもっとあっても良かったかもしれないが、最終的には由奈を軸の通った主人公としながら、4人の物語にできていたのではないだろうか。特に、乾が映画の勉強で京都にいくかもしれない、なんて話と朱里の家庭状況の混乱がしっかり重ねられ、それでいて家出した彼女を懸命に探すのは由奈、とこの辺は実写よりもチームとして出来ていたし、家庭と個人の対立の問題の浮かび上がらせ方としてもうまかったと思います。

 まあ、全体通して凄い親切でやさしいんですよね。しっかり「好き」の瞬間と秩序の葛藤をモノローグで言わせてるのでわかりやすい。時間経過、明転して必ず花や天気、季節描写も忘れない親切設計。日本に特有の四季の描写が4人の個々を示しているようでもある。あんまりにも全部言っちゃてるような気もしますが、この手の青春邦画にありがちな叫びほどでもないし、全体としてとてもよかったと思います。