抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

まるで教科書のようなピクサーアドベンチャー「1/2の魔法」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はピクサー最新作です。思えばこれは3月公開の予定だったな…。

 ムーランがディズニー+行きとなったことで、ブラックウィドウとかの雲行きも怪しい今、しばらく最後のディズニー作品鑑賞となるかもしれませんね。ソウルフルワールドも楽しみなんですが。

2分の1の魔法 オリジナル・サウンドトラック

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

(以下ネタバレ有)

 

1.壮大な世界観でミニマムな課題

 本作の舞台となるのは、多様なモンスターが現代社会のような世界を生き、かつて魔法やファンタジーが存在した世界。高次に発達した科学が魔法を衰退させて、事実上は我々の世界と地続き、でも秘めたるポテンシャルや出てくるモンスターはエルフ、サラマンダー、ドラゴン、ケンタウルスマンティコアと王道のファンタジーな面々。ここの世界観提示がまずもって極めて優秀。まあ何度も予告編やCMで見せられてる、ってのもあるとは思いますが、世界が魔法を失うまでの過程の説明が手短に、でも的確に行われていて、流石ピクサーって感じを強く受けました。

 そんな世界で主人公イアンたちが挑む問題は、うっかり下半身だけ再生しちゃった父親とまた会う、というすっごい身近なもの。家族に起きたちょっとした問題だ。上半身の再生の為にマンティコアから地図を受け取り、その地図通りに進んで不死鳥の石を手に入れる、それだけ。途中途中、新たに魔法を習得したりして魔法使いとしてイアンが成長しながら、下半身だけの父親でギャグを挟みつつ、ラストは追いかけてきたお母さん&マンティコアと合流してちょっとしたスペクタクルであるドラゴンとのバトル。それでも、あくまで決着としては兄弟の絆と自分の自信の回復に充てるミニマムな、ある種身の丈にあった課題がすごくフィットしている印象です。思えば、世界を救う作品を見すぎたのかもしれません。あるいは、このコロナの状況じゃ世界なんて救えない、みたいな思いがあるのかも。異世界転生で世界救ってばっかですもんね。

 あ、そうそう、異世界と言えば、アニメ映画を喋れる仲であるカメさんが遂に本を出版されますよ、みんな5冊は買いましょうね(宣伝したからカメさんなんかください)

現実で勇者になれないぼくらは異世界の夢を見る

現実で勇者になれないぼくらは異世界の夢を見る

 

 2.良作から脱せなかった個人的印象

 なんだろう、1週間ぐらい書かなかっただけで、どうやって2000文字弱を1本の映画に費やしていたのかわからなくなったので、構成もクソもない文章になっちゃうんですけど、この映画、フツーに良作だと思うんですけど、傑作なのかと問われると、うーんと言っちゃうんですよね。

 まずシンプルに裏切りが無さすぎる。裏切りを求めすぎているのかもしれないし、ひねくれているのかもしれません。父親とのやりたいことを考えていたけど、それって全部お兄ちゃんとやってたじゃん!みたいな展開や、学校のトコがラスボスみたいな伏線回収的な要素もあります。ただ、この作品において最も裏切りの可能性があるのってやっぱ下半身だけのお父さんじゃないですか。コイツ本当に父親なのか!?という疑念。ところが、フツーに父親だし、それならそれでそこまでの十徳ナイフみたいな扱いも気になるし、なんで父親は16歳まで杖をプレゼントしなかったのか、杖と不死鳥の宝石はどこから手に入れたのか、っていうか何者なのか。そういう疑問が噴出しちゃうんですよね。てっきり下半身の正体でそれをスッキリさせてくれると思いながら見ていたので、完全に変化球待ち。それなのに140km/hのストレートだったみたいな。いや、ホークスには150kmm/hの投手沢山いるから物足りないよ的な。

 あとはどうしても兄のバーリーに乗れなかったんですよね。この話って兄弟の絆、弟はいつも兄に守られていた!みたいになるんですけど、この兄、ダメな奴じゃないですか。何故か脚色0だと信じて疑わずにゲーム設定を現実に反映しちゃうし(でもそれが成功しちゃうモヤモヤもある)、何よりこの冒険においては弟を信じているというよりも、自分の大好きな世界が現実にやってきたことでその夢に酔っているようにしか見えないんですよね。回り道とか結果論だし、ガソリンスタンドでのアレや学校へあの車で乗り付けるとか、ちょっとご勘弁願いたい。

 

全力少年

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