どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
毎月恒例の旧作振り返り。ここ2か月が異常でしたが普通ぐらいに戻って18本鑑賞。
でも年末年始に向っていっぱいいい映画やり始めるから、録画消化しないといけない、っていうか「荒ぶる季節の乙女どもよ」を早く見ないといけない。まとめ記事、年間記事を書かないといけない…でも見たい映画いっぱい…。
ドッグ・イート・ドッグ
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
完全にダメな男たちの転落モノ、どうしようもない暴力の連鎖的なエンタメだと思って見ていたらまあびっくり。それに違いはないのだが、どこか観念的で、幻想的なラスト。途中名前の出てくるハンフリー・ボガートを考えるとフィルムノワールを意識しているのかもしれない。そこまで考えてやっと気づいた。監督がポール・シュレイダーじゃないか。リュック・ベッソンとかソダーバーグみたいな映画だと思って見ていた私が間違っていた。
そう思って捉えなおして行くと、人生のやり直しや罪と罰、正義についてちゃんと考えさせる良く出来た作品かもしれない、と思い始めている。評価がジワジワ修正されて上がるかもしれないが、見終わった直後としてはなんだったんだ、コレ…という感じがまだ強い。
淵に立つ
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
とにかく演じている俳優さんたちが素晴らしい。刑務所帰りが抜けない中で常に不穏さを保ち続ける浅野忠信、そして素晴らしい母にして妻からどんどん壊れていく筒井真理子。これは凄い。
家族という虚構、というテーマは常に描かれているがこの作品はみんなが虚構だと分かって信じている家族という共同体は、非常に脆く、もしかしたら存在すらしていない共同体なのかもしれないことを炙り出した。家族というものを見つめ直した時、その実存が非常に危うい、まさに深淵の淵に立っているような状態にいる。
ジャッキー・コーガン
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
なんだこれ、つまんなかったなー、と思ったら最後の言葉。これで全部ひっくり返って良く出来ているなぁ、と感心する作品になった。
基本的にまずブラピが出てこない。始まって1/4は賭場強盗であり、彼らは狩られる対象だ。その後も派手な撃ち合いも無いし、淡々と殺していく。
ようはブラッド・ピットが殺し屋やってのアクションではなく、アメリカにおける経済分断、時期を考えればまあリーマンショックとサブプライムローンだろう、そこを批判していた作品だ。単なる民主党、オバマへの讃歌あるいはブッシュ政権への批判にも見えるがそれは違う。もっと根源的な、アメリカの自由って何だったのか、現在のアメリカはそれとは違わないか、と問いかける。同時代性が重要なので振り返って今見ると、どこまで伝わるかなかなか微妙ではある。っていうか、これで伝わらなかったからプランBは「マネーショート」を作ったのかもしれない。
ビッグ・アイズ
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
見なかったけど、「天才作家の妻」と似たような感じの設定、っていうか実話。
ここまで普通の実話もので女性エンパワーメントものならティム・バートンじゃなくても、と思ったけども愚かでどこか変人なのでしっかり彼の必要があった。なんだ、変な恰好しなくてもできるじゃん!特に彼の空虚さが際立つ裁判シーンは非常に秀逸で、まあクリストフ・ヴァルツ流石といったところ。裁判で口だけ達者な男、という意味でも「否定と肯定」を思い出した。
まあサインのくだりをもうちょっと上手く使ったりして、ちゃんと立証されるような感じだともっと良かったかな。ゴーストライターものとしての辛い部分が多いので、彼女がしっかり周知されて画家として認められるところが欲しかった。
あと大衆受けしたら芸術じゃないのか!!みたいな叫びはオスカー欲しい!みたいなトコあんのかな…。
オールド・ボーイ(2013)
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
スパイク・リーによるリメイク版。
パク・チャヌク版を見ているので大ネタは知っているのでそこまでどう持っていくのか、どう味付けするのかが見ものでしたが、なるほど、しっかりハリウッド流の味付けには変化させているが本質はいじっていない。
オリジナルと比べると、監禁状態での絶望感はやや足りないものの、解放後の捜査パートは個人的にはイマイチだった催眠術師要素をオミットしてちゃんと辿り着くように設計しているのはベターに。オチの真実は変わらないものの、それを踏まえての結論が違っているのはキリスト教的には赦されない、ってことだろうな。そこはオリジナルの方が業が深いというか、救われなくて好き。
まあ後は名物の金槌奮闘劇だが、なんてったってサノスことジョッシュ・ブローリンだし、肉体改造も見せているので説得力はあるが、敵味方共々銃を使わない違和感はやっぱり残るよね。チャイナタウンっていったって、サミュエル・L・ジャクソンが仕切ってるなら銃使うよね…。
アメリカン・ハッスル
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
うん、キャラクターの癖が凄い。
相変わらずの七変化を見せるクリスチャン・ベール、魅力的すぎるエイミー・アダムス、とにかくイライラさせるジェニファー・ローレンスに、真面目すぎてギャグにみえるジェレミー・レナー市長、そして多分1番人間性に問題があるクルクル頭の捜査官ブラッドリー・クーパー。いくら実話の映画化でもここまで現実はキャラ立ってないだろう。
詐欺師とFBIのチームプレイで政治家を逮捕した実話、ということだが、そこまで騙し合い感がなく、懐に入る詐欺師、一方仲間内でドロドロと恋愛関係がもつれ、ジェニファー・ローレンスが余計なことをする、という感じなのでコンゲームと恋愛劇、どっちがメインか正直わからなかった。勿論、恋愛も騙し合いだが。
グエムル 漢江の怪物
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
怪獣映画にして、ダメなお父さんが頑張る韓国映画、そして監督ポン・ジュノと張り切る要素は溢れていたが、どうにも最高、とまではいかなかった。
怪獣のオリジンを含めた在韓米軍の扱いの悪さあたりは、風刺ともとれるがそれにしたって無能が過ぎるし、新兵器実験の為だったとして、ここまで無策にやるものだろうか。そして結局グエムルとはなんだったのか、造形も含めてもう少し納得感が欲しい。
家族映画としては十分なクオリティだったが、流石韓国映画、ここぞの場面で一個外しの笑いを入れてきてシンプルにお涙頂戴とはいかない。ペ・ドゥナのアーチェリーからの振り返らずドカーンは最高。まああそこで燃えない人はいないでしょう。
okja/オクジャ
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
オクジャこと巨大豚を巡る醜い大人たちの争いと無垢な少女の対比のまま見られる楽しいエンターテインメント。ソウルの地下でのチェイスシーンは非常に見ごたえがあった。ポストクレジットシーンも含めて、笑いも結構あった。
どこまでアニマル・ライツを認めるべきかは非常に難しい問題だが、屠殺されていく巨大豚を見ると悲しくなるのは事実だ。マックのナゲットを批判したアニメーションを見た時のように。だが、だからといってエコテロリストともいうべきポール・ダノたちのように過ごす訳にもいかない。実際、見ている我々はミシャとの触れ合いでオクジャに感情移入しているから助けたいと思う訳で、同じことはどんな家畜でだって起こる話でもある。巨大豚自体が遺伝子組み換えの産物であり、生命の神秘にどこまで人間が手を触れるか、という問題自体も忘れてはならない。
全体を通して考えると、ナンシーの存在自体は問題ないが登場させる必要まであったかは疑問だ。
そしてジェイク、またそんな役で君は楽しそうだな…。
サバイバー
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
分っちゃいたけども流石に敵味方ともにバカしかいない大作戦を手に汗握って見ることは無いですよね。
序盤に英国内で敵を作るところは主人公が全面的に正しいが、事が起きてからは全員しっちゃかめっちゃか。丁寧に現場を見ていけばすぐに追う対象が違う事がわかるはずの政府側の無能さ、作戦もないけどとりあえずアメリカに行っちゃう主人公、脆弱性の高い作戦を強行する犯人グループともう笑っちゃう。
エージェント・マロリー
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
1週間映画見なかったのは久しぶりだ…
という訳で体調不良からの復帰作に気軽に見れそうなソダーバーグのアクションを…と思ったらなんだコレ。
オシャレっぽく見せてこそいるが、ストーリーや計画が破綻しまくっていてアクションがカッコいいとこもある、程度の作品だった。
ゴーストライダー
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
世界観割と複雑な割に設定飲み込ませるまで長いから物語に推進力がないかなー。マクガフィンとなる契約書を手に入れて具体的にどう危機が訪れるのかのビジョンも見えないし、警察の介入があったわりにその後をしっかり描かないのも有耶無耶感が否めない。
とはいえ現在でもかっこいいゴーストライダーのビジュアルやマシンは最高。MCUに出ねぇかな、と思ったらエージェントオブシールドに出てるのか
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
WATCHA2.5点
Filmarks2.7点
岩井俊二版です。合わなかったなー。「ラストレター」も見ないだろう。
なんと言っても奥菜恵の小学生に見えなすぎる色香。こんなのいたらクラス全員惚れるわ。
だが、それ以外となると単なるifものと捉えることで青春の始まりの甘さを語っているようで何も語ってなどいない、小学生を少し下に見過ぎたつくりに思える。
長編になっていないことで、どうしても人物描写が足りず、ifの為に1回目は行動してるようにしか感じなかった。
パピヨン(1973)
WATCHA4.0点
今年見たリメイク版のオリジナル。
新作はブロマンス感を強く感じたけど、こっちはスティーブ・マックィーンの映画です!ドン!!っていう感じを強く受けた。説明の手際の良さや脱獄のヒリヒリ感、パピヨン自身が原作者のアンリ・シャリエールだという点への考慮なんかは新作の方が優れていますが、マックィーンの顔の演技の凄さと刑務所の地獄っぷりや容赦なさはこっちの方が好きでした。あれ、多分リアルワニですよね?
本作の場合は、自由讃歌、抑圧からの解放もあるだろうけど、脚本がダルトン・トランボなんで、そこは重ね合わせたところもあるんじゃないだろうか。
テルマ&ルイーズ
WATCHA5.0点
Filmarks4.8点
ルイーズ、いやルイーズ姐さんと呼ばせていただきたい。あんたカッコ良すぎるぜ。
窮地を救った後ちょいとやりすぎたのは否めないが、その後もお気楽で足を引っ張るテルマが罪を負うものとして対等になるまでの寛大さ、そしてそのカッコ良さたるや!姐さんのタバコに火をつけたい。
そしてワンハリでも脱いでたブラピがこの頃も上裸でカッコいいのだけは次元がズレてるとしか思えない…
シェルブールの雨傘
WATCHA3.7点
Filmarks3.5点
ミュージカル映画は得意じゃないが、ここまでやってくれると逆に見やすいし、楽しくなってくる。
ストーリー自体はまあ割と古典的な悲恋ものって感じだし、デミアン・チャゼルは「雨に唄えば」とコレが大好きなんだな、ということは分かった。あとはとにかく色彩が豊か。「真実」を見た後に、このカトリーヌ・ドヌーヴを浴びると圧倒される。
ゾディアック
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
連続殺人事件を題材にしてはいるが、未解決事件なこともあって事件を解決する爽快感よりも、事件に囚われ、魅入られてしまった男たち=MCUの面々をドラマティックに描いた作品だ。だからこそ、事件の検証に対してバンバン年数を飛ばしながら徒労感を滲ませていく。ロバート・ダウニー・Jrの転落やジェイクの執念深さがそれに追い打ちをかけるようにうまく表現している。ジェイクの狂いっぷりは流石である。
どうしても事件を解決する明瞭さが欲しいなら、劇中と同じく、ゾディアック事件が題材の「ダーティハリー」を見ればいいのだ。でも、当時の捜査官たちも明らかにゾディアック事件モデルで映画作られてたまったもんじゃなかったろうな…。
エンド・オブ・キングダム
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
バニングは今回も強い!アメリカのシークレットサービスとMI-6の凄腕が知り合いなのは良いけど、なんで隠れ家まで知ってるんだろう、とか言ってはいけない。
G20とかの首脳陣が訪れたり、あとこの前の天皇の式典だと国賓がえげつない数来てたわけで、なんかあれぐらいで世界最高の警備が云々とかいうのは若干の違和感があるものの、大規模テロへの思考実験のようでとっても楽しかった。手軽に見れて、大統領とバニングのバディ感も強まってソコもアツイ。
金曜レイトショー
ナイアガラ
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
ナイアガラの滝の壮観さをバックに繰り広げられるサスペンス。
マリリン・モンローがこの映画で一気にスターダムに上った、とのことだが私は確信した。オードリー・ヘップバーン派だと(ローマの休日しか見ていない人間の浅い確信)。
んで、肝心のストーリーとしてはまあ普通のサスペンスで、見たいシーンの種明かしが無いのと、最後のハラハラに関してはどうしても興味が無い人物で進んでしまうのがいただけない。途中までは可哀想視点且つ主人公視点で見れるのだが、一線を越えた瞬間からそこの興味が無くなってしまい人物自体に魅力があるわけじゃないのでどうしても、行く末を見守る気にならない。