抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

マイク・バニングは今日も強い「エンド・オブ・ステイツ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

  とにかく強いジェラルド・バトラーを堪能するシリーズ最新作を遅ればせながら見てきました。流石に映画の日と日曜日が重なるとお客さんいっぱいですね。前日の二日酔いの胸焼けがどうなるかと思いましたが、無事映画は更なる焼け野原で楽しかったです。第3作ともなると、アメリカのシークレットサービスは有能な人物からドンドン死んでるはずなので実は一番アメリカの大統領暗殺がラクなのでは。

Angel Has Fallen BD

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

(以下ネタバレ有り)

1.マイケル・ベイかよ!ドッカン爆破祭りじゃ!

 毎度毎度アメリカ大統領が命の危機に陥りながらジェラルド・バトラーが無双するシリーズである本作。第1作「エンド・オブ・ホワイトハウス」のホワイトハウス襲撃シーン、第2作「エンド・オブ・キングダム」での各国首脳の集まるロンドン襲撃シーンと、大量破壊には定評がありましたが、割と災害シミュレーションっぽいというか、ある種の思考実験っぽさがある作品でもあると思っていました。

 そんな今回は大統領がシレっとモーガン・フリーマンに交代。釣りの最中にドローンによるダイレクトアタックをくらうというフレッシュな襲撃の受け方で、ココの段階ではい、料金分いただきました!という感じ。ドローンが爆弾落としていくんじゃなくてドローンが個別認識して追跡して神風特攻してくるって、割と本格的に怖いですよね。

 んで、こっからはその犯人と主人公が疑われる、という主人公容疑者ものになるので作品のジャンルとしては逃げる相手が政府になるのと、真実を解き明かさないといけなくなる、という2段構えになってしまいます。ということで、ココが襲われたらどうしよう、的な思考実験パターンからは逸脱していき、割と分かりやすい犯人提示も含めて逃走劇を見守ることになりますね。

 んでまあ大規模爆破がなさそうだな…なんて真っ暗な車の中の戦闘やトレーラーでのカーチェイスを見ていたら、そこに登場するのがマイクの親父。なるほど、父子関係の話も入れてくるのか、と思っていたらこの親父が完全に爆弾魔。自分の私有地とはいえ襲撃してきた敵を怒涛の爆破で正直笑っちゃうレベルでした。完全に狂っていやがる…。この親なら、そりゃこの息子にもなるかもしれない、という変な説得力も生まれました。

 追い打ちは大統領が意識を回復した後の対応策、こと病院大爆破。「ダークナイト」なんかも思い出しましたけど、「エンド・オブ・キングダム」でも小規模なガス爆発はさせてたので終盤の爆発は代名詞になっていくんでしょうか。まあとにかくコイツは景気がいいやあ、と沢山爆破が見れて楽しかったです。ええ、いいんですよこういうので。

 2.ジャンルが変わったことによる齟齬

 今までのシリーズでもまあ色々文句はありながらも面白い、って感じで何も考えず見れる素晴らしいシリーズだったんですが、前述のとおりテロの思考実験的な側面があったところを外して、主人公がハメられるタイプのジャンルに変化したことで今まで目を瞑っていたところがどうしても物足りなくなってくるというか。

 まずはやっぱり捜査側の無能さですよね。バニングが容疑者として有力なのは仕方がないにしても、バニングがあの状態で見つかっているのにドローンを発射した車から指紋が出た、とか不思議な矛盾が華麗にスルー。トレーラーでのカーチェイスからも逃げきられてるし。っていうかお前ら衛星とか使って大統領の身に何が起きたかとかチェックできねぇのか。んで、バニングがトレーラーに辿り着く前に護送中に襲ってきた連中の死体や車などの手がかりで真犯人に辿り着けるはずなのに、随分後まで気づけず、挙句あっさり捜査の指揮権を持つ人が殺されている。うん、バカじゃね。

 FBIの捜査官の死、という点で言えば撃った方もバカですよね。流石に会社の敷地でそれやったら、その後のロシアとアメリカとの戦争における軍事産業の外部委託先に選ばれることは、たとえ海外拠点の別会社であってもムリだろうし、それを理由に反故にされるに決まっている。っていうか、バニングのことを訓練通じて良く知ってるんだから襲った後の防備が緩すぎるし。

 まあバニングさんも解放された時点で自首して話しなさいよ、とは思いますが、バニングさんに関してはホワイトハウスでも報連相できてない人だったんで、しょうがないっすわ。

 あ、あと結局最後現場にいなかったはずのハッカーくんはどうしたんだろう、あいつ捕まえとかないと、大統領入院するレベルの病院のシステム乗っ取れるのヤバいよ。

 

3.まさかの問題提起。

 正直、こういうただのエンタメ、頭空っぽ作品で社会的なテーマを提起されるとは思っていませんでした。勿論これまでの敵でもアメリカの言動の批判の要素はありましたけど、そもそも大規模テロを起こせる時点で敵の動機が強い必要があるので、現実で批判された物事を対象にせざるを得ないとも思うんです。

 ところが、今回の敵は身内の裏切りと軍需産業。っていうか、バニングとその父を含めて、戦場に憑りつかれてしまった男たちの話でもある訳です。ランボー的な、PTSDに近い戦争はダメだよメッセージが非常に強い。その上で、わざわざバニングの口座にはロシアから送金されたことになっており、ロシアとの戦争を匂わせている、ってモロにトランプ政権のロシアゲート批判でもありますよね。ここまで出てくるとは!とオドロキでした。