抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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大好きだから傷つけちゃう「さよならくちびる」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 見たい映画祭り、予習したい映画祭りの6月だったのに上咽頭炎でしばらく寝たきりで、ネトフリに更新されたザ・シェフ・ショーしか見ることのできなんだ今日この頃。5/31公開の作品が早くもスクリーンで1回/日になってきたりしていて焦っている中、「長いお別れ」と迷った挙句、評判も良くて、期待のキャストである「さよならくちびる」を見てきました。

さよならくちびる [DVD]

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ)

 1.ほぼ3人のロードムービー

 この映画はいわゆるバンド車っていうんですか、機材の一切を積み込んでその一台で巡業する車にメインのハル・レオ・志摩が乗り込んでくるところから始まります。既にこの段階で7都市ツアー巡った後の解散が決まっており、いわば最後の瞬間を看取るタイプの映画、かと思われる出だし。細かいことですが、浜松・四日市・天満・新潟・坂田・弘前・函館という7都市のチョイスも絶妙で好きです。

 映画はツアーを進めながら時々時間が戻り、出会いやキーポイントにフラッシュバックして函館の最終ライブを迎えるかたち。この間、共通する登場人物はほぼメインの3人のみ。イケメンと美女2人で画面を2時間持たせ続けます。すげぇ。

 なんと言ってもレオ演じる小松奈菜。基本的に何を考えているのか分からない強敵スタンスのヒロインやってる印象しかないんですが(多分「渇き。」のせい)、本作では割とストレートに気持ちをぶつけている役柄だし、ショートカットなんですがこれもまた良く似合う。あと歌声が可憐で素敵。ハルを演じた門脇麦さんも良かったですが、こちらはいつもの素晴らしい門脇麦、って感じでギャップ萌え的な意味で小松奈菜が良かったですねぇ。劇中の音楽番組でハルばかりピックアップされて撮影中なのにジョッキをかっくらい飯を食い始めるシーンは最高でした。基本的にやさぐれてたり、やりたくない何かをやらされていてそれが顔に出ている女優さんの演技って大好きなんですよね。

 この2人に割って入れるイケメンとして起用されたのが成田凌。「愛がなんだ」でもイケメンじゃないとか自称して世の男性の心をバッキバキに折ってくれましたが、今作でもレオに第一印象で顔がイマイチ的なコト言われてて、また心を折ってくれました。そりゃ、雰囲気イケメンに近いジャンルの方かもしれませんけど、120%紛うことなきイケメンの成田凌がそれなら普通以下を自称するワレワレはどうしたらいいんでしょうか。

 そんな心の叫びはさておいて、成田くんは「愛がなんだ」のクズっぷりを見たばかりなので心配していましたが、一貫してまともな感じでむしろ3人の関係、ハルレオというものを大事に大事にしてくれている良い人でした。ごめんなさいね。

tea-rwb.hatenablog.com

 

 話自体のことを言うと、既に壊れてしまっているようにみえるハルレオが最後の旅に出ながらなんとなく自分を見つけなおして、やっぱりハルレオでいるのがいい、バラバラにならない、という選択をするのかな…?という感じで終わる話でした(浅っ!)

 ただ、けっこう上手く出来てるなぁと思うのは、かなりわざとだと思うんですが、ハルレオの車内でのそれぞれのアイテム。ハルは煙草を、レオは缶ビールをスパスパシュパシュパやってるんですけど、よく見ていると冒頭の部分で一度だけ逆やってるんですよね。つまりこれ、壊れているように見えてまだ全然つながっている状態なんですよ。後はそれを本人たちが気づくだけ。この気づく過程が台詞というより、ライブシーンや表情、ちょっとした行動から読まなきゃいけなかったり、ハルと比較するとレオや志摩は示唆される過去やキャラクターの情報が少なめなのが少し大変かもしれませんが、個人的にはその読み込みの部分も含めて大変楽しめました。

 結局のところ、3人は恋愛の矢印がバラバラに向いていてそれが空中分解の理由に表向き見えるんですが、それ以上にハルレオでいること、それぞれのことを尊重しながらも大好きすぎるんですよね。ただ、自分をさらけ出すのが苦手で不器用。ハリネズミのジレンマのように近づきすぎると傷つけちゃう。だから一旦は解散を決めるところまで行ってしまった。最後には続ける選択肢を残すラストでしたが、ここまで行ったところでのその決断はもしかしたら、とても長くハルレオを続けることになるかもしれません。

2.まさに音楽映画!曲の力は偉大なり。

 さて、音楽映画といえば、2018年は100人中100人が「ボヘミアン・ラプソディ」を挙げると思います。音楽映画として良く出来ていましたし、最後のライブエイドは圧巻の一言。同じデクスター・フレッチャー監督「ロケットマン」はどうなるのでしょうね。多分見ませんが。

 そこと比較すると、今回の「さよならくちびる」は3曲で7か所のライブを片付ける乱暴さ。しかも極端なアップチューン、ノリノリな曲がないのでしっとりと感じ入る、というのが正直なところ。でも成立しているから凄い。

 表題曲「さよならくちびる」含め、歌詞も曲もハルが書いていることになっているのも重要です。そこを踏まえると、『さよならくちびる』という曲は劇中のエセ音楽番組でも語られる解釈だけでなく、初恋の失恋、というエピソード、それからハルレオの解散に伴って歌うことを放棄する、というメタ的な視点も入る歌。

さよならくちびる

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  • ハルレオ
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  • ¥250
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 個人的には他の2曲。テンポ感が好きだった『たちまち嵐』、そしてレオの私にとって音楽ってなんだ!?という悲痛な叫びとも対を為すような『誰にだって訳がある』が非常にお気に入り。

たちまち嵐

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誰にだって訳がある

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調べれば、主題歌は秦基博さんが作ったようですけど、この2曲はあいみょんさんの作ということで。文化放送阿澄佳奈のキミまち」内で1曲聞いただけな気がするんですが、あいみょんさん、今後ハマりそうな気がします。こんな呼びかけしたことないですが、あいみょんさんのおすすめの歌ありましたら、コメント欄や

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