どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
今回は7月/8月に鑑賞した短編~中編クラスをまとめていきます。
1.それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
完全なるアンパンマン弱者である。初めてアンパンマンの映画を見に行った。なので、真剣にチャポンと一緒にチーズが風呂に入っていることに驚いた。最初の感想がそれかよ、って思うかもしれませんが、マジでびっくりした。劇でアンパンマン役まで出来て、風呂まで入れるどころか、保護者ポジでいれる子を犬小屋を建物から道の反対側に住まわせてるのかよ。あの世界一体どうなってるんだ。
さて、冒頭の劇でメロンパンナちゃんも意外と端役だったことにも驚いたこと(ロールパンナちゃんは相変わらずシスコンぽっかった)も置いておくとして、話はしっかりしていた。NHKの朝ドラがやなせたかし先生を題材に扱っていることもあって、気合は入ってるんだろうなとは思っていたけどちゃんとしている。基本はヒーロー論で、「何のために生まれて 何をして生きるのか」の映画。生まれがばいきんまんによる対アンパンマン顔濡らし専用兵器として開発されたのだが、なんやかんやあって(なんやかんやの主な原因であるこきんちゃんも良く知らないキャラ。焼きラーメン発祥の屋台ですか)命を吹き込まれたチャポンが雛鳥の刷り込みのようにアンパンマンの活躍を見たことで彼を慕うんだけど、最初がセンセーショナルだっただけで、日ごろは凄く地味でなんだかがっかりする、みたいな流れが普通にいい。最初に見せ場を作っておいて一旦話を落ち着かせる意味でも、チャポンの心の動きとしても良く。その上で、どんな生まれでも、何をして生きるのかっていうことで、映画の頭の方でアンパンマンが水をやっていたところにチャポンが水をあげていた、それだけですごく綺麗だな、と。
公開時期が近いため、凄く思ったのはアンパンマンってスーパーマンの飛び方だし、何よりばいきんまんってめっちゃレックス・ルーサーなんだなってことで。何のために生まれて何をして生きるのか、という問いは当然ばいきんまんにも降ってくるだろうし、アンパンマン映画では多分それが描かれている回もあるはず。ただ、主人公の宿敵として存在し、何度やられても継続して悪役として君臨し続けることが可能、且つなんかばいきんまん型の人工衛星打ち上げまで成功している訳で、まっじでこいつレックス・ルーサーすぎるって、となりました。やなせたかしとDCの歴史、どっちが先かは知りませんし、調べません。
2.ヴァージン・パンク Clockwork Girl
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
梅津泰臣監督×シャフトで送る35分しかない短編。なんか前後編らしい。全然終わってないもんね。勿論!特別興行1700円でお届けしております。
などと、価格に対する皮肉は申し上げましたが、全然その価値はある作品に仕上がっていると思います。孤児院で、友人や先生たちの前で開発したロボットを操作して見せることで広がっていた世界が一瞬で血なまぐさくなり園長が殺害。この少女が10年後になると、完全にあっから運命がズレてしまってあの時園長を殺害した連中と同じくバウンティ・ハンターとして生活している…という感じ。スーツケースを引きずりながらそれをガードに使いながらの戦闘スタイル、最終的に賞金がもらえればいいから首をちょんぎるのだが、その武器(あのわっかに刃がつく武器って何て呼ぶんですか)の動き方も好きだし、ここでぐっと心を掴まれましたね。掴まれたのに、なんとあの時の連中、というかその雇い主?的な立場のMr.エレガンスなるやつが大変に気持ち悪く、主人公の家に侵入して待ち伏せ、銃撃の末、全身義体にして脳だけ人間、という兵器のような存在、容姿は孤児院の時のまま、とかいう少女趣味を見せる。ここがキモすぎて正直ドン引きレベルが高すぎるし、中身が大人なら、身体が機械で腕からサイボーグ009のアルベルト・ハインリヒみたいになってるなら全裸でもいいのか、とか引っかかるところは山ほどあるのだが、いやしかし確かに戦闘シーンはめっちゃいい。敵も含めて義体を使っているため、全然全身兵器状態になってくる面白さもあるし、今作におけるボスの若本キャラも若本しすぎていなかったのも良かった。全体的に重力を感じるアクションなんですよね、下方向。それが凄く良い。後何故か、愉悦に入っているMr.エレガンスのダンスも気持ち悪いぐらいアニメーションが良かった。何故。
どっちにしても、この気持ち悪いボスを殺すと決意している状態なのでコイツがキモいからといって作品全体をダメ、とは言えない状態だし、なんかそもそももっと大きい敵?なのかもよくわからんシュルシュルの話が全く進んでいないので結論を申し上げづらい。
3.The Summer/あの夏
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
サッカー部の蹴っ飛ばしたボールが顔面に当たる、という最近だとベタすぎて逆にやらないぐらいの出会いをしたスイとイギョン。2人が付き合うようになり、そして高校を卒業してソウルでそれぞれ暮らすようになる。あの、とは言っているがひと夏ではなく年単位で経過はする。
基本的にはスイが可哀想で仕方がない。ソウルでもない韓国の田舎の原風景のような場所では同性愛をカミングアウトすることが危険であることは想定できるし、実際学校の大人でさえ地毛や瞳の色が茶色のイギョンに対して差別的であった。女性がサッカーをすることにもおそらく差別的な視線があったと思われ(男子サッカー晴れの舞台である日韓W杯の時期である)、選手生命を断ちにいくスライディングをかましてなお、加害者はほくそ笑み、大人はよくあること、で済ます。そんな境遇を経てきてるスイに対してイギョンは割と天然で無神経な振る舞いを繰り返してスイに甘え続ける構図が最後まで変わらなかったのがしんどすぎた。最終的には、何も話してくれないじゃん、からなんかさっと出会った看護師に惚れてスイを振るわ、そいつにも1年持たなかったですわ、と言って終わる。ああ、誰もがする夏の恋の顛末さ、みたいな別れて終わる恋愛物語風にはしてるんだけど、それにしては山がないので喧嘩もせずに一方的に女作って振ったやつにしか見えない。なぜスイがあの街を出たがって、その先はどこでも良いと言ったのか、イギョンは1秒でも考えたのだろうか。相手にとって自分がどんな存在か聞かずになんかいい感じで終わらせて、まったく好きになれないやつであった。恋愛に限らず、人と人とで深く関係しようとする相手に対して会話する努力が足らんし、スイと違ってイギョンはナレーション入ってるんだから、会話しようとしてできない焦燥も無いのがますます不足を感じさせる。
まあ話はそんなもんでもいいとして、『あの星に君がいる』でもなんか感じた絶妙な美女ではない感、なのにたまに唇だけやけに気合い入れてるのはここでも見られ、加えて作画枚数かしら、表情や感情的なものを読み取る動きが少なく感じた。どこか違う、足りない、みたいな感覚をアニメーションに思ったのだが、それを文字化できるほどアニメーションに詳しくない自分を改めて痛感する。