どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
今回は東京国際映画祭でも公開されたオリジナルアニメ。藤津さんからは『クラユカバ』『数分間のエールを』といった短編を作ってから出てきた新人クリエイターという枠組みでの紹介でしたが、さて。『オッペンハイマー』の後に科学者、『ATRI』の後に女の子作る話かー、は思わないように気を付けましたが。
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
(以下ネタバレ有)
彼女作ったらバイトのパワーアップしたよ、と聞いてなるほど!彼女を作れば研究が捗るんだ!と彼女を生成するマッドサイエンティスト、水溜明くん。水溜って名字は舐めてるんだろうか、と一瞬思ってしまった。彼女ができれば自分の研究が捗るというパートナーシップを完全無視したトロフィーワイフとかとはまた違うけど鼻持ちならない感覚を持っているのに、作った0号には一般的な女の子を学んでこい、という「一般」なる概念を持ち出すクソ。学校に納入されてる汎用型清掃ロボットを改造して反省文を求められ、そこに筆跡を真似れるロボを投入してくる倫理でAIを研究したり、「彼女」を作ってしまう技術力のギャップが凄い。でもやりたいことはそこにないので、産み出すのも秒だし、戸籍とかすっ飛ばして転校生になるし、名前が0号でも親戚だと思われ、作ったと知っても友人は平然としている。なんだこの主人公にだけ奉仕する世界。
変形ギミック、不老不死のクジラ、5分でカップラーメンできるマシン。並べてみても多分君がしているのは研究ではなく発明だし、AI作りたいならもっと人間を研究するべきだろう。そうまでして出てくる母親から託された記憶と研究に具体性が何にもない中で研究が進まない、だけを連呼されるので焦燥感が伝わらずコイツキライ、でしか進まない。うーん困った。
中盤、完全にだれてしまってMVなどで人気のクリエイターと聞くと長尺の話を構成するのはまだしんどいのかな?と思わざるを得なかったが、終盤の展開は想定していない方に行った。裸足で駆け回るのはまあいいとしても、信号やら自動運転やら街中の機能をハッキングして0号を助ける恐怖のマッドサイエンティスト&ハッカーと化した明に対して、好きという感情を証明するために敵意を向ける=反抗できるんだから機械じゃない!は馬乗り連打の絵は良かった。議題としては古いことこの上ないんだけども。私は完全に宇宙パトロールルル子信者なので初恋は無敵!相思相愛は最強!みたいな一方通行ならまだ許せるんだけどなぁ
電脳世界の表現も新鮮味は無く、0号のキャラクター造形なんかも綾波レイからまだ抜け出せてないようにしか見えない。お母さんの記憶定着させられたっぽいし、マジで綾波レイである。花澤香菜のキャラが敵なのも分かりやすいし、そして彼女は0号がナイフ滅多刺しにしてても一言も喋らず横に突っ立ってたのだろうか。なんというか彼女もまた物語に奉仕させられている。
といった多くのツッコミどころも、なんか説明ゼロで義手だったり、理不尽な言動をする明自体がお母さんの作った0号であると考えるとかなり納得できる。0号のこと第三人類?とか言ってたけどAIの作ったAIみたいな意味かもしれないし、天才科学者の母が最初に街中にバックドアを仕込んでいたのでハッキングもできた、あるいは自動反応したかもしれない。というか、なんなら全部明の電脳の中の出来事の可能性まである。だとしたら、2027年の第二作で種明かしがあるのかもしれないが、いやそれは1本の映画としてはダメでしょ、になるだろう。
色々言ったが、クラユカバの規模なら褒めてた、というのが1番の本音だ。かなりの少人数でインディーズ的なアニメ映画を作り上げた点は賞賛したいし、モブの顔を映さないようにものすごく注力してコストも抑えて頑張ったとは思うのだが、100館規模ですることではない気がする。『ロボットドリームズ』はヒットして65館、最初は20館。そんなもんからでは。