どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
今回は6月に見ていた旧作の記録です。6月は環境の変化などもあってクソ忙しかったので本数がかなり少ないですね。10本!とはいえ、アルトマンを映画館で見れたり、配信番組めーぶれさんの課題作でアンテベラムに出会えたり、実りは多かったかな。GOAL3はクソでしたが。
ロング・グッドバイ
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
ロバート・アルトマン傑作選にて鑑賞。大手映画ブログモンキー的映画のススメ管理人モンキーさんが何度もオススメしていたので、よっしゃ見てやんよと行ってきました。
ナッシュビルやザ・プレイヤーは群像劇の視点が多すぎて正直散漫な印象があり、アルトマン苦手か?と思ったのだが、これは大変良かった。
チャンドラーを読んだのは中学生だっただろうか、少なくとも長いお別れ、さらば愛しき女よ、大いなる眠り、このあたりは読んだはず。
はず、なのはさっぱり覚えていないのと、ハードボイルドがわかるにはまだ幼すぎたような気がするから。犬と猫が愛しい今回の映画、男の寂しさをファムファタール的な情愛を挟まず男たちの淡々とした、切ない縁の話だった。金の切れ目は縁の切れ目。アルトマン的?ともいえる皮肉とハードボイルドの相性の良さ。
科学者とジェンダー
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
安易に胸糞映画を見なくても最悪な気持ちにはなれる。何故なら、現実が考えられうる中でも醜悪なことが多いからだ。
本作においては、科学界、学術界における性差を扱う。理系に進む女性が少ないことからリケジョ、なんて言葉で形容されたりもするわけだが、そんな言葉で誤魔化しきれない明らかな構造的な問題、実際の被害、そしてそれを改善するためにMITで提出されたレポートを題材に当事者たちの話を聞いている。
印象に残るのは、やはり実験だ。我が大学に差別などないと主張する上層部の連中もやってほしいぐらいの心理実験で、どんなに平等を意識していてもバイアスが存在することを恐らくは明確に指し示すし、開発者自身もそのことに気付かされる。性差別を訴えて改善を求める側にもバイアスがあるのだから、無自覚な連中は…。
教育から続く地獄の構造を変えるには、制度を変え、そこから巣立つ人たちにバトンタッチしながら、時間をかけて、その間に生まれた歪みも新たに正しながらの、終わらない作業になる。それでも、男女、あるいは人種によって差別されるのを「男社会だから」で終わらせる時代はもう十分では。
GOAL!3 ワールドカップの友情
WATCHA1.5点
Filmarks1.5点
まじで舐め腐った映画だった。
3部作の完結編はいよいよW杯で世界の頂点を目指すのかと思ったら、なんか急に主役変わって知らん奴らの恋愛模様メインにさせられた。いや単に役者変えるとかなら分かるけど、出てるのに変わるって何だ?メキシコ代表だとショボそうだからイングランドに変えたとしか思えない。思えないのに、サッカーも殆どしないし、というか試合映像も合成で2の時とは比較ならない酷さ。本当にただハイライトを見た方が早い
クラウド アトラス
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
時代を超えた6つの物語が絶妙に絡み合ってるんだか、絡み合ってないんだか、って感じでぐっちゃぐちゃで語られる。イメージの共通するところで切り替えたりしてるのだが、いかんせん並行して進めるには違いすぎる話があったりして飲み込めなかった。このやり方をするには同じ役者でやるやり方は完全一致させるか、別でやるかのどっちかではなかろうか。半端に同じなのはかえって混乱する。
それぞれの話はそれぞれの話でポストアポカリプスの部族、完全未来SF、純英国的な作曲家とか面白そうなんだけど、面白そう、から抜け出ることはなく浅いまんまだった。ソイレントグリーンとかの引用とかそれで8割ぐらい語ったも同然だし。
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
テレビシリーズでは投げていた咲太を救った少女が幼き姿でまたも現れ、の話をしっかりとやった。相変わらず論理で説明できるんですよ?という顔をしながら結構な無茶をしてきた。今回は時間や世界線の話が絡んでくる中で本人たちも結構ふわっとしてるところはあるが、思春期症候群という便利な言葉で片付けられるのがシリーズの強みだ。
まあこいつらの狭い世界、学校が舞台の作品なので身近の死が無くなればオッケーなのは仕方ないか。たかが思春期の高校生に世界のことわりを説いてもなぁ、と思う。
アンテベラム
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
やられた。これはお見事。
根強く続く黒人差別を訴えるにあたって南北戦争の頃を描いた時代ものね、なるほど。などと思っていたら中盤、明らかな現代、明らかにジャネール・モネイ。2つの時代を描いたのか、と納得してまだまだ同じ根っこのところがありますなぁ、とこれまたなるほど。などと思っていると実は同じ人物だったんだ、というツイストで驚きになる。差別が温存されてるどころか、南部をそのまま模したテーマパーク的なところに本当に監禁されてやっていた、という驚き。
無論、ひとつの社会をちっちゃくして見せる当初から思われた意図だけでなく、エンターテイメントが実は差別構造を消費するために温存させてるのではないか、とすら思わせる。
修道士は沈黙する
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない、というのは有名な言葉だが、高度に発達した経済もまた宗教と見分けがつかない。
経済に甚大な影響を与える会議の前夜、IMFの理事が死に、そしてその前に彼は告解をしていた。
会議の秘密が外部に漏れたことを恐れる面々、告解の中身を言わない修道士。果たしてその中身は。
市民ケーンの「ローズバッド」のように、その中身はさしたる問題ではなく、実態のないものを信じてそこに影響を与えようとする点で、財務大臣たちと修道士に違いはないのかもしれない。
藁にもすがる獣たち
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
これは面白い!カバンに入った大金をうっかり拾った男、借金まみれの入国審査官に、夫に殴られている妻。すこーしずつ、しかし確実にお金が必要な状況に追い込まれていって1人また1人地獄に落ちていく。違う状況が群像劇としてそれぞれ魅力的に描かれながら、さあここだ!と繋がった瞬間には思わず声が出た。
日本原作とは思えぬ韓国映画的な血生臭さも程よく、いいものを見た気分になれる。
画家と泥棒
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
実に不思議な関係性を捉えたドキュメンタリ。
絵を盗まれた女と盗んだ男。通常なら対立する両者だが、彼女は言う。モデルにならないか?
絵を描くことは、魂を映し取ることなのか。両者の関係は少しずつ変化し、ただの被写体と芸術家をこえていく。
ただなんだろう、ドキュメンタリー映画としての主軸っていうか、こう進めますね、感のあるものの方が好みなのが少し合わなかったかな。
ヴィジット
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
シャマランさんお得意のどんでん返し、的に見えるんだけど結構どんでん返し無くても面白い、といっていい作品。というのも、作中でその仕掛けが発覚するちょっと前のすごくいいタイミングで「もしかして…」と思い至って、その上でいやよく出来てるな、と思わされたわけです。
普通のおじいちゃんおばあちゃんに見えるんだけど、結構大丈夫かな?みたいな嘔吐移動やら裸やらが出てくるし、その不穏さがちょうどいい。POVにしたことで、なんとなく主人公の2人がどうなるのかは読めちゃうが、それも特に悪い方には作用していないのでは。