抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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玉木宏って生で見ると本当にかっこいい「この子は邪悪」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 完成披露試写にて、観ました!まーたあの人が司会だよ、と試写会によく行く人ならわかる人が司会だったんですが、その方が頑張って喋ってるんだから、テレビやメディアの皆さんは静かに退出してくださいね⭐︎ちょっとさすがに可哀想でした。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

(以下ネタバレ有)

1.いくぞA24!ハピネットファントム・スタジオ

 ハピネットファントム・スタジオ。今日はこの名前だけでも覚えていただこうと思います。

 映画を見ていると、よく見る製作会社や配給会社のロゴなんかを覚えてしまうのは映画ファンあるあるでしょう(私は映画ファンではありません云々は一旦置いておこう)。古くは東映、メトロ・ゴールドウィンなんかがあり、ブラムハウスの旧ロゴは怖かったし、GAGAのロゴが出るとちょっと品質に安心したりしますよね。そんな中、一気に作品の質を担保し始めているのが、このハピネットファントム・スタジオ!本作も配給です。

 この会社はファントムフィルムがハピネットの映像部門に吸収合併されたかなんかで2021年にできたわけですが、そこからは『カモン カモン』『X エックス』のようにA24配給作品の国内配給を担当したり、直近の国内作品では『PLAN75』『恋は光』。この先はパク・チャヌクヨン・サンホエスター続編にアレックス・ガーランド三宅唱タナダユキ。よりどりみどりというか、通好みと申しましょうか。『映画大好きポンポさん』では製作もしており、アニメーションにもお金を出しているのも特徴。日本のA24的な、名前が出たら安心という会社になっていっている印象です。

 こうした作品群に並んでも違和感のない出来に仕上がったのが『この子は邪悪』。ビッグバジェットではないものの、確かに光るものを感じ、若き監督のフックアップにもなるような。だって、本作の予算絶対高くないですよ。2017年のツタヤクリエイターズプログラムの受賞作ですけど、このシリーズはお金なくてもどうにかできます作品の映像化っていうジャンルで、本作もメリーゴーランド、窪宅、四井宅といくつかの街並みですからね。キャストにお金をかけてる分、凄く少ないお金でやりくりしている感じがして、ラストの赤ちゃんのCGとか、血をあまり見せない感じとか、低予算っぽくて、それもA24感があります。

 (注、このあと鑑賞させていただいた10/14公開もっと超越したところへ。も、ハピネットファントムスタジオでした)

2.邪悪なのは誰??

 さて、タイトルの『この子は邪悪』。この子って誰ですか?邪悪なのは誰ですか?っていう話が重要ですね。

 かなり序盤、玉木宏の元を訪ねる患者、行われる処置、それを窓越しに見る南沙良っていうショットの時に、玉木宏は女性患者の帽子を外して、頭に手を撫でるように置く。なんとなく距離感がおかしいというか、コイツヤバい奴じゃね?感を見せている。結局、訪ねてきていたのは桜井ユキさんで、っていう話だったんですけど、玉木宏はこの子っていうにはポジションが父すぎる。

 で、段々視点が玉木宏のが増えてきて、ああそうか、彼の眼から見た時に、家族を破壊しようとしている大西流星くん、あるいは娘の南沙良が邪悪っていうことなんだね、と得心する訳ですね。実際、そのように話は進んでいく。ところが、この玉木宏の使えるギミックのお陰で本当に邪悪だったのはやっぱり玉木宏だし、そして「子」だったんだ、っていうラスト!玉木宏が絶命するところで暗転、鐘が鳴ったところで終わったと思ったので、冗長だなぁと思っていたらひっくり返っちゃうオチでした。そうかそうきたか。

 そうなんですよね、ことそこに至ってようやく本作のギミックは、退行療法によって記憶を植え付ける類のものではなく、完全に魂を入れ替えるっていうジャンルのトンデモ映画ですよが確定する。お母さんが刺繍知ってた問題はあったけど、でもそれもお父さんが気づいてたから仕込んだだけって言えるし、大西流星が衝撃のウサギになっちゃうのだって、いや、廃人状態に追い込んだだけでしょ?って言えるんだけど、決定打を打つ。妹のマスクは完全に佐清だし、人の入れ替えがあることを示唆してたわけですが、中身が本物っていうその決定打。一緒に5年そう思って過ごしたから最早家族とかじゃ無い決定打!この決定打があったほうがいいのか、無かった方がいいのかは個人の評価によると思います。私としては、全体的に説明しすぎというか、メリーゴーランド逆回転ぐらいで良くて、桜井ユキ来訪のシーンは繰り返しすぎだね、とは思うんですが、ラストはこれでいいでしょう、っていうぐらい最後があれで納得できた。退行療法が万能の催眠装置すぎる、っていう指摘を完全に野暮にすることが出来たと思うんです。

 思い出したのはヨルゴス・ランティモス。ウサギを使ったので『女王陛下のお気に入り』を思い出すっていうのはありますけど、どっちかっていうとヘンテコ設定に対して、その設定の上で何を描くか?っていうところが、『ロブスター』『聖なる鹿殺し』みたいな映画に近い。その上で、本作の場合は描かれたのは玉木宏の家族愛だった訳ですね。『ロブスター』に何で動物になるんだよ!って突っ込まないでしょ。でも、なんていうんでしょう、ランティモスほどぶっ飛んでないよね、とも言っておきます。ロバート・エガースみたいな狂気まみれでもないし、黒澤清ほどの個性もまだない。すっごく頭で考えたというか、納得いくようにうまく作ったなぁ、みたいな。次回作に期待です。

 なお、なんか奇跡的にファンクラブ会員の人とかがたくさんいる完成披露試写で見たんですけど、大西流星くんはフリップで答えるときにちゃんとお題を読んでからフリップを出したので、大喜利の基礎ができている!と思ったし、その100万倍ぐらいかっこいいのが玉木宏すぎたし、桜井ユキさんは最初の一礼の時点で優雅!!ってなりました。(この映画の桜井ユキさんの腋、久しぶりに映画の女優さんにフェティッシュを感じました、というのはひみつ。)