抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

君が望むなら「シン・ウルトラマン」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 公開週に見ているのに、全然出遅れた感しかありません。どうしてそんなに金曜の初回をみんな行けるのか。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

(以下ネタバレ有り)

1.目くばせだらけでくすぐられまくり

 どうやらちらと調べた感じ、樋口真嗣はファンサービスは考えていない、っていう感じで作ったらしいんですけど大嘘ですね、ファンサービスの塊です。ということで、一応初代ウルトラマンウルトラQは完走している(なおウルトラQは殆ど覚えていない)私はオタク心をくすぐられっぱなしでした。

 まずはまあビジュアルとしてね、成田亨のデザインに沿ってカラータイマーつけません!の時点で見事にくすぐられている訳ですが、それに伴って撤廃されそうな地球での活動限界3分の設定は具体的な時間こそ言及しないものの、体色の赤いラインが無くなっていくことで表現するっていう解釈はうん、いいですねぇ。と思いましたし、っていうかそれどころじゃないわ、冒頭のシン・ゴジラからのぐちゃーってしてシン・ウルトラマンは、まんまウルトラQからのウルトラマンだし、音楽もそれだし、あ、殺す気だ、って覚悟しましたよね、うん。

 ってことで、シンゴジ感も溢れつつ、しかしあっこほどの全体を包んだ緊張感は無く(これ実はこの作品の狙いだと思っている後述)、ワンダバがいつかかってもおかしくないぐらいの初代ウルトラマン的な緩さを感じていましたね。お仕事としてのザラブ星人の感じとか、対話で乗っ取ろうとしているメフィラス星人の再解釈と山本耕史の怪演っぷりはもうみんな喋っているだろうけど、大好き。東京03が天の声やってた怪獣散歩ぐらいの空気感で山本耕史には、孤独のグルメ『メフィラス』をやってほしいです、まじで。怪獣散歩、私の好きな言葉です。そしてなんといっても、ゼットンの再解釈はお見事ですよ。空想科学読本を読んで育ったクソ面倒なガキならだれでも覚えているゼットンの火球は、直撃したら科特隊のビルがやられるぐらいじゃすまない話を鵜呑みにして、本当に地球を滅ぼすやつがあるか!という(ウルトラマンが飛んだだけで衝撃波が云々の方のネタは拾わない都合のよさ、だがそれは好きだ)。3Dにして、完全に兵器化したことで、ウルトラマンより巨大だし、ゾーフィーが連れてきたことでゼットン星人の存在はすっかり無かったことに出来るしで、なるほど、非常に上手くやったな、というか、完全なるオタクの手腕!と思いました。

2.話題沸騰長澤まさみ描写…というか

 さて、話題沸騰、っていうかもう何、地球を二分しているの?ぐらい燃えている気がする長澤まさみ周りの描写について。まずね、君ら公開翌日ぐらいから伏せもせず議論しすぎよ、長澤まさみがフジ隊員みたく巨大化するの察せたわ、もう少しオブラートに包め!ゼットンの解釈の仕方以外、大概察したぞ。

 で、本題。巨大化した浅見に対するアングル、特に地面にカメラを置いて真上を見るようにスカートの中を見たいんですか?みたいなアングルは確かに気持ち悪いな、初代の時はそういう服装じゃなくて隊員服だった気がするし、こんなにセクシュアルじゃなかった気がするな、とは思ったんですけど、それでトレンドを独占しまくったことでメフィラスに下劣だと言わしめたので、まあ不問にしてもいいかな、っていう風には思いました。

 ただ、匂いの方は気持ち悪いというか、ないわーって感じ。わざわざ風呂入ってない匂いですよ、とかいうの何、エロ漫画の読みすぎじゃんっていう類の気持ち悪さを感じたし、嗅覚を頼りに探すんなら科学の話なんだからそういう機械、バラエティでも見たことあるし、そういうの使えばいいし、そうじゃなくてもハンカチとかを使う警察犬方式とかで気持ち悪さはどうとでも回避できるはずじゃん。

 最後、尻叩き。斎藤工の尻を叩くのは、確かにセクハラではあるが、まあ殊更にバディ感も強調していたし、なんだろう、怒るほどじゃない、ぐらいの感想なんですけど、そもそも長澤まさみのキャラが尻を叩くしかない、っていうところが問題というか。はっきりいって禍特対が無能なんですよね。全くキャラとして生きていない。これまでの怪獣を倒したとはとても思えぬ指揮系統で、彼らの強みはなんなのか最後まで分からず、シンゴジラ感を醸成するための素材でしかなかった。霞が関の独立愚連隊であり、彼らの出向元についても説明がされたものの、じゃあそれを活かしてどんな禍威獣対策をしたんですか?と問われれば何もしていないし、マジで長澤まさみが公安から分析官としてやってきて分析したの何?正体不明って書いた紙提出しただけでは??視聴者目線で言えば、明らかにウルトラマンの最初の飛来で神永が死亡して中身が入れ替わっているのに、禍特対のあいつらは気づかない。国家公務員試験を突破したとは思えぬ言語能力の神永を不審にも思わず、単なる神としてのウルトラマンを頼っているだけなのになんかチーム感を醸成しつつ、でも入れ替わったことには気づいていない。なんや。

 

 最後に、印象的だったのは、禍威獣が襲ってきた時より、ザラブ星人が来た時の停電の方が人間の描写としてはパニックだったってこと。ゼットンが浮かんでいても日常生活が平穏と過ごされていたし。結局、シン・ゴジラと同様に、禍威獣の存在ってやはり3.11であって、そこへの現在視点っていうのが、シンシリーズに通底しているんじゃないでしょうか。いや、仮面ライダーでもそういうのあるんか知らないですけど。