抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

神話完結「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 祭りです。エヴァンゲリオンです。直撃世代でも無いので若干に祭りに乗れてない気もしますが、いってみましょう。

 ちなみに私はチケットを予約してなくても初日8時の回で見れました。これが多摩だ。麦くんと絹ちゃんもそういうところで暮らしてるんだぞ!!あ、でもアイツらちゃんとIMAXある都会まで行ってそうだな

エヴァンゲリオン シン・エヴァンゲリオン劇場版 さらば、全てのエヴァンゲリオン ジグソーパズル ラージピース 500ピース 50cm×75cm 05-2014

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 1.開幕即圧倒的快楽

 まあ例によってですね、開幕は楽しい楽しいアクションパート。マリによるパリ解放作戦みたいな感じでございます。マヤさんメインのPCカチャカチャ部隊がなにかを書き換えるまでネルフの準備してきた敵をマリさんが楽しくやっつけるお話。ここがもう破でもQでもそうでしたけど最高。カメラがぐるんぐるん回るし、マリの乗る8号機が輪っかがぐるぐる回るジェットコースターみたいに可変するので、もうそれは異次元の動き。マリは絶対酔うだろ、という具合の奮闘ぶりでああもう楽しいって感じでございます。エッフェル塔ぶっ刺すとか、どこの少女歌劇。

 あとね、村でアスカがレーションを無理やり食わせるところ、なんかあそこだけ突出して凄いって感じました。

2.庵野秀明の覚悟

 そっからまあ第1幕が日常編、いわばシンジが立ち直るまで。第2幕がセカンドインパクトの爆心地での最終決戦という流れになっていて非常に簡潔。

 そこから感じるのは、とにかく圧倒的な庵野さんの覚悟と安堵。やっぱね、Qがああなったのは、色々と庵野さんの精神状況や東日本大震災の影響があると言われていて。それを踏まえておくと、本作の第1幕は、ニアサードを逃れた人たちの僅かばかりの日常が帰ってきていて、そこで黒綾波は感情や言語を習得していく「チャッピー」みたいな楽しさもあるし、心配されていたトウジやケンスケは生存どころか、トウジはヒカリと結婚している。この辺あたりで、ああ庵野さんは周りに助けてもらってここまで優しくなれたんだな、あるいは「シン・ゴジラ」の成功で癒されたのかもしれない、とすこしほっとできるうえに、これまでの謎を謎のままにして考察され続けることで伝説となったエヴァンゲリオンを終わらせるために、新劇で準備した謎っぽいものは全部解答を見せるつもりなんだな、という覚悟を感じ取りました。実際、アスカが式波に苗字変更された理由、Qからの眼帯の謎、渚カヲル、加持さんとミサトさんの関係。まあなんでもそうですよね。所謂考察班の出番をガンガン消して物語の余白を無くしていく。だったらQでのミサトさんが流石に厳しすぎる気もするが、それも含めたフォローにちゃんとなっているようには感じました。色々言われたのを分かってるよ、的な。

 んで、最終的にはちゃんと人類補完計画がなんなのか、ゲンドウは何をしたいのかをちゃんとシンジの口から問い質されて、答えている。これ以上ない明確な親子の対話、父殺しを最終回答に持ってくる。腹を割って話そう(by酔った藤村D

 答えた上でそれを阻止し、すべての運命を仕組まれた子どもたちをエヴァの呪縛から解放していく。なんだろう、いわゆるHIP-HOPでいうところのサンプリングのようにこれまでのテレビシリーズ、旧劇、新劇をすべて総括し、その図柄だってオマージュするような作画を見せたり。あらゆる場所で初号機と13号機が対決する。あと庵野さんが大好きだろう特撮としか思えない画角、ミニチュアなんかもあって(冒頭のパリのとことか、戦艦の端に糸あったよね?昭和特撮だよね)、ああこれは庵野さんの総決算だ、彼自身もまたエヴァの呪縛から本当に解放されようとしているんだな、とそこに感動してしまいました。

 Qまでは、明らかに説明が足りないままで流されるしかなかったシンジが、本作前半で初めて人の優しさに触れる。そしてついに立ち直る。いつまでも子どものままじゃない、リアルで立ち直って大人になる。いつまでもユイの喪失から立ち直れずに人類補完計画を遂行しようとするゲンドウとはもうまるで勝負にならんのだ。と同時に、あの親子がちゃんと同じ地平に立ってしゃべるための時間がこれほどまでに話をめんどくさくさせた原因なんだぞ、と。ミサトさんが葛城大佐からミサトさん呼びになってイキるのをやめたりしてくれて、イキってるのがゲンドウ&冬月だけになったのもQと比較してイライラしない大きなファクターでしょう。

 まあ正直言ってですね、新劇だけでも完結にこれほどまでの時間を要して、しかもこれまでは余白ばっかりでこっちに投げっぱなしが多いっていうのには飽き飽きしてたし、それだけで本作は私にとっては減点要素なんです。でも、最後に庵野さんはちゃんと全部やってくれた。シンクロ率0が実は∞だったとか、アディショナルインパクトがどうとか知らん言葉や概念がボンボン出てきた後半は確かに考えるのをやめました。でもいいじゃないですか。だって、終わったんだから。

 最後、実写になりました。チラチラとネタバレ感想見てる感じ、現実に帰れ、エヴァ固執しない、を庵野さんは言ってるんだ!みたいな論調が多く感じたんですが、個人的にはこれは違って。現実に帰るための決断は、第三村での地道な生きる営みがあったからできたことで。帰るんじゃなくて、もうあるんですよ。それに気付くのが大事。このニュアンスの違い、伝われ。