抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

映画テン年代ベストテンは結局自分の映画体験の見つめ直しだった

 

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 10日以上更新しないのも久しぶりっすね。8月はずっとそんな感じでしたけど。一応試写会等で映画は見てるんですけど、公開日まで寝かせてます。ついでに自分もインフル気味の体調不良で体を寝かせてました。ええ。インフルは陰性だっんですよ、一応。

 そんな中、原作版「シャイニング」を読み漁っていたらTLにこちらのブログが浮かんできまして。(本を読んでいるのにスマホを触っている謎)

washburn1975.hatenablog.com

 以前見かけたけど、映画若輩者の私が参加するのもおこがましい…と思ったのですが、ちらほらと普段読んでいる映画ブロガーさんが参加したり、ツイートしてるので自分も考えてみました。長いものには巻かれろ!

 改めて、自分の映画鑑賞歴を振り返れば、ちゃんと映画館に行き始めたのはここ3年程。ですからテン年代映画ベストテンとかいいながらも、断トツな気がするマッドマックスとか未見の作品が多い訳です。だからといって、Filmarksの自分の評価が高い作品から順に並べていけばいいわけでもない。結局のところ、テン年代の映画ベストテンを考えると、自分が映画に求めているもの、そして映画が趣味になっている理由、そのポイントになった作品を考えずにはいられません。

 そこで思い出したいのがこのtweet

  #この監督がいなかったら映画好きになっていなかった4人 というタグで、自分の映画体験を軽めに考えてた訳です。という訳で、それを踏まえて私のテン年代ベスト10を。

 

 

10位 ニンジャバットマン(2018)

監督 水崎淳平

ニンジャバットマン

 

tea-rwb.hatenablog.com

 MCUには手を出しつつも、DCはまだ見ていなかった段階で鑑賞しています。2010年代で摂取した自分にとって血肉になっている、という点で言えばどう考えても「キルラキル」「天元突破グレンラガン」との出会いであり、中島かずき脚本との出会いです。特にグレンラガンは再放送での出会いですし、言ってしまえばアニメカルチャーとの出会いでもあるわけです。

 勿論、『プロメア』も凄く良かったんですけど、自分の中にある『サンダーバード』の魂を騒がせる城合体、そういうものばかばかしさ、これを映画館で流していいんだ!そういう意味でテン年代にあったことを自分の中に刻んでおきたいですね。

9位 孤狼の血(2018)

監督 白石和彌

孤狼の血

 先のツイートに挙げた監督の一人が白石和彌監督。『凪待ち』の試写会でティーチイン、『ひとよ』の試写会でもお話を聞くことが出来ました。彼の監督作品のおかげで、ドラマからの延長の映画やディズニー作品をたまに見る程度だった私に邦画を捨てるな!と思えたのは間違いないです。

 同時に、なんとなく言われる邦画ダメ論を内面化していた自分を解放してくれた、という言い方が出来るわけです。そんな白石監督作の中でも『孤狼の血』でヤクザ映画、というジャンルに対する偏見もなくなりました。アウトレイジ仁義なき戦いも、きっとこれから見ることになると思います。

8位 天気の子(2019)

監督 新海誠

天気の子

 テン年代の表現において、今年の京都アニメーションの事件は忘れてはならない事件だと思います。アニメファンは勿論、表現を享受するすべての人間にとって衝撃でした。

 そういう私も当日映画を見るのを切り上げて、暫く精神的なショックもありました。そんな中でもう1度アニメーションを、映画を見ても心を動かすことが出来ると私に教えてくれたのが本作でした。

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7位 シング・ストリート 未来へのうた(2016)

監督 ジョン・カーニー

シング・ストリート 未来へのうた(字幕版)

  映画の中で苦手なジャンルがあるとすれば、それは単純に怖いものが苦手なのでホラー映画。そして、ミュージカル・音楽映画。音楽、特に洋楽への興味が皆無の人生を送ってきた人生なので、正直映画における音楽の使い方とかもう全然わからないんですよね。

 そんな映画の見方をしている中で音楽自体の力を強く教えてくれたのがこの映画。サントラというものの存在を意識したのも初めてですし、曲を好きになったのもこの映画が初めて。私にとっての映画観を大きく揺さぶられたのは間違いないです。

ドライヴ・イット・ライク・ユー・ストール・イット

ドライヴ・イット・ライク・ユー・ストール・イット

  • シング・ストリート
  • サウンドトラック
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6位 チャッピー(2015)

監督 ニール・ブロンカンプ

チャッピー  CHAPPIE (字幕版)

 さあ、先のツイートに挙げた監督がまた登場してきました。

 この作品はちゃんと意識して映画を借りて見る、映画鑑賞を趣味にしよう、その第1歩でTSUTAYAで借りてきた5本のうちの一本でした。(他は「セッション」とか「アルゴ」とか)

 推理小説ばかりを読んでいた私にとって、SFはアイザック・アシモフのものであり、それを映画にするとこうなるのか、と衝撃を受けたのはもう間違いない。SF一歩目でこれを見た、という事実がその後の映画選びにも大きく影響を与えたのは間違いないです。

 無理くり言うのであれば、テン年代はAIの時代でもありました。未見の映画もありますが、今年公開された『アップグレード』なんかも含めAI映画は無限の拡がりを見せています。そこから1本選出することになんの異議があるだろうか!

5位 スパイダーマン:スパイダーバース(2018)

監督 ロドニー・ロスマン/ピーター・ラムジー/ボブ・ペルシケッティ

スパイダーマン:スパイダーバース (字幕版)

 テン年代は誰がどう言おうとMCUの時代だったことは間違いないでしょう。

 ただ、マーベルから選ぶなら絶対的にこの一本。アニメ映画としてのとんでもない水準を見せつけられ、単純に衝撃的でした。映像ってまだまだこんなに可能性があるんだ、これだけのことが出来るのか。

 それと同時にこの作品の提示する多様性と継承のテーマもまた、テン年代を象徴するものであり、どんどん人付き合いが狭くなっている現在の自分、あったかもしれない別の次元の自分、確実に老いていく両親、死が確実に迫っている祖父母。後から後から自分ごとになっている気がします。

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4位 勝手にふるえてろ(2017)

監督 大九明子

勝手にふるえてろ

 女優松岡茉優に心打たれた作品でもありますが、特に前情報も知らず、たまたま空いてたから見に行った映画だったのに、初めて「この映画は自分のことを描いている映画だ」と心からヒットし、爆弾を落とされた映画でした。

 自分にとって映画はあくまで虚構であり、それは小説を読んでいるときでもそうでした。推理小説が好きなのも、自分の中に眠っているかもしれない殺意を消化しているかもしれないが、やっぱり実際には起こりえないことを傍観しているのが好きだからだと思います。そうやって表現全般から距離を置いて神視点で見ているはずだったのに、感情が完全に映画に入り込み、客観を維持できなくった初めてかもしれない作品です。

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3位 人生フルーツ(2016)

監督 伏原健之

ききがたり ときをためる暮らし (文春文庫)

 ドキュメンタリー映画。それは映画好きの中でもなかなかクローズアップされづらい印象のある映画ジャンルであり、なかなかに触れ始めるきっかけもない。テレビでも放送が少ないからだ。私がドキュメンタリーに触れたのは想田和弘監督の『選挙』(2006)だったと思うが、彼の作品は観察映画という別ジャンルに自分の中では置いている。そういった意味で、ドキュメンタリー映画の素晴らしさ、作為の存在する中での無作為。そういったものを感じたのが『人生フルーツ』だ。この人たちのように生き、老い、そして死んでいゆきたい。心の底からそう思える人生のモデルケースをフィクションではなくノンフィクションの世界で出会えたこと。それは確実に人生で1度あるかないかの僥倖だろう。

2位 お嬢さん(2016)

監督 パク・チャヌク

お嬢さん(字幕版)

 私の映画体験の原点に常にあるのは、推理小説を好きで仕方がなくて読みまくった小学生~高校生の時期だ(テン年代を含んでいるが)。その中で、叙述トリックの魅力にちゃんとハマったのがテン年代でもあり、いわゆるどんでん返し映画の魅力にも取りつかれた。

 そこで名前を挙げなくてはいけないのが本作だ。年末の深夜のCSで見た時のことを忘れられない。この作品以前にも、韓国映画の凄さを知って色々見始めていたし、この作品の放送に合わせてパク・チャヌク監督作品マラソンも行った。それでもなお、この作品の持っているエロ・グロ・頽廃・男くささといった韓国映画の魅力がすべて詰まっていながら、最後には快哉を叫んでいる。そんな衝撃がこの作品にはあった。

1位 シン・ゴジラ(2016)

監督 庵野秀明/樋口真嗣

シン・ゴジラ

 テン年代。すなわち私が映画を見始めてから劇場に複数回通った、テレビ放送のたびに実況せずにはいられなかった、パンフレットを買った唯一の作品。そう、シンゴジラこそがテン年代ベストに相応しい。

 私はいわゆる特撮冬の時代を生きていない。そもそも特撮ファンと名乗るのも恥ずかしいレベルである。ウルトラマンはティガ、仮面ライダー響鬼スーパー戦隊デカレンジャーで卒業して久しいし、ゴジラ自体は好きだが、シリーズを見ていた訳でもない。エメリッヒゴジラにリアルタイムで怒ってもいないし、ゴジハム君のトラウマも持ち合わせていない。父親が休みにたまたま昭和ガメラを見ていたのを横でぼーっとみていた。それぐらいだ。もっと言えば、エヴァンゲリオンもシンゴジの1年前に見た程度で、庵野秀明にも思い入れはない。

 おそらくは、空想科学読本が私に特撮、特にゴジラ及びゴジラ怪獣への関心を僅かながら植え付け、そして心のどこかで常に気にはしていたのだろう。そしてそれが爆発したのだ。

 あまりに興奮した私は仲間たちに声をかけ、 54年版の初代ゴジラ鑑賞会を主催したし、その後にはゴジラ作品全作品を鑑賞した。虚淵玄によるアニメ版のゴジラ3部作はゴジラ映画だったんだ!と全面擁護し、その甲斐あってか、今年のキング・オブ・モンスターズではジャパンプレミア試写会にも当選させていただいた。

 私の映画の記憶の原動力は、今でもシンゴジかもしれない。

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 結果的に2015年の『チャッピー』が1番古く、それ以前に上映された作品のランクインは無し。『インセプション』を迷ったぐらいでしたね。っていうか今年の作品2つもあるし。それもこれも映画館に通い始めたのはこの2,3年だから。タランティーノスピルバーグもスコセッシも。映画における巨匠と言われるような人の作品がちっとも入っていないランキングでいいのか。自分の浅薄な知識をお知らせしているだけかもしれない。でも仕方がない。これが自分にとっての映画体験であり、これからのための一つのまとめなのだ。

 『チャッピー』と『孤狼の血』、『お嬢さん』を除くと、何らかの形で劇場で鑑賞している作品が7つ。映画を見るときにはやっぱり映画館、という当然といえば当然の結論も出てくる。(ちなみに『チャッピー』はノートPCでDVD再生、『孤狼の血』『お嬢さん』はCS放送で見ました。)

 そう考えると、あと10年、映画館に通えるならば20年代ベストテンはもっと自信を持ってお届けできるかもしれません。

  ここまで書いて伊藤計劃の劇場化作品群が入っていないことに気づきました。自分にとってはやっぱり伊藤計劃の小説の時点で完結してるのかもしれません…。

 本当のちなみに、ですが、あっさりとワースト10は思いついたのでそれも貼っておきます…