抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

海外からの刺客続々「ミューン 月の守護者と伝説」「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は海外アニメーション2本立てです!どっちもこのGWの間に東京都写真美術館で見れます。っていうか、見れるのがミューンの字幕版と雄獅少年は今のうちだけかもしれないのでお急ぎを!

(以下ネタバレあり)

 


1.ミューン 月の守護者の伝説

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WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 2Dと3Dを組み合わせたこんなの見たことない!に溢れ、圧倒的に支持したい天動説の神話的解釈の映像化、境界へのフォロー、そして85分という尺とは思えぬ充実度。素晴らしい。

 基本は3Dなんだけど、イルミネーション的なそんな造形ありかい、っていうキャラ造形で攻めつつ、昼の人型、夜の獣人、そして境界は蝋で、地底だと溶岩というキャラの分け方。こいつらみんなのキャラデザが愛らしい。で、ミューンの持つ力で夜の世界、夢の中ではワンダーが無限になるので、そこは手書きの2Dアニメーション。ここも崩さずいいアクションしていて、基本的には見たことないな!と思える楽しさが詰まっていました。

 また、設定としては太陽と月が守護者を任じて、それぞれが神殿と称した巨大生物に牽引させている、という神話世界的な天動説解釈が堪らん。Awayみたいな感じもさせつつ(まあむしろその時に参照されていた「ワンダと巨象」なんだろうな」)、クジラの子らは砂上に舞うっぽさもある。月を引っ張るのが糸で、それをハープのようにして操縦するアイデアや、対比的に太陽は鎖っていうのも好き。

 お話的には、丁寧に昼の世界と夜の世界、そして境界を見せておいて、同時の任命式からの失敗、そしてロードムービーでこれが85分なのが信じられないボリューム。本当は次の世界の前任者が引き継ぎなしで勝手に成仏したのが悪いんだけど、ミューンのキャラと、悪い蛇のせいになるとはいえ、ソホーンと月の候補者リヨーンの愛されバカで許される感じ。とはちえ、あの引き継ぎした前任者を追いかけてったらすっと草木になっててそれが開くと周りにもたくさん…っていう歴史の示し方、使命の重み(それをミューンはまだ分かってない)っていう描写が絵だけでされるのはグッときましたよ。

 テーマ的には、自分の範囲のことだけやってもダメよ、の助け合い精神に、知識だけじゃダメっていう実践主義、ちょっとの間に娘が逞しくなって帰ってきた冒険譚、シンプルボーイミーツガール?(無性かもしれん)、使命を理解する成長譚、盛りだくさんすぎて、でも渋滞していたようには思えませんでした。

 


2.雄獅少年 少年とそらに舞う獅子

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WATCHA5.0点

Filmarks4.9点

 出ました!今年ベスト級!

 冒頭の筆で書いたような荒々しい獅子のOP、3Dになってからの一転ワンカットで自転車をカメラをいろんな方向に変えつつの美しさ、そして獅子舞演舞からの逃走劇。10分で釘付けにさせる力を見せつけてくれました。ここでは獅子頭だけ、1人での演舞のトメとキレを見せつつ、格闘もあるよ、なんて見せていたけど、実際には獅子舞は2人でやるもので、2人の人間が行う複雑な動きも完璧にアニメーションに落とし込めていたので本当に中国凄い。

 そこからほぼズッコケ三人組を集めての特訓。よく考えると、街中を障害物を使いながら逃げた自転車での逃走劇、獅子舞のための特訓、ビタッと止まる格闘アクションにすら見える演舞(というか、各党もしてるし)、ラストの主題歌で「チュンは」みたいなのがあった気がするので主演による主題歌熱唱、あれもしかしてジャッキー・チェン映画なのでは…?と思うと、実写化した時の師匠は現在のジャッキーしかありえないし、っていうか3人組はジャッキー・チェン、ユンピョウ、サモ・ハン・キンポーじゃん、絶対。ゴウがサモハンにしか見えないぞ。

 さて、物語的には師匠の話で獅子舞をやめてしまった・やめさせてしまった後悔、感動もあるが、師匠は若干精神指導が強めで、昭和感がある。体力と精神力でなんとかなる気はしないが、しかし物語的な帰結は精神が常に雄獅であること、にあり、負傷を無理する、越えれないと言われた壁を越えるものなのでそれで許される。本来的には負傷を押して頑張る話っていうのは私は嫌いなんだけど、これはスポーツの話でも、教育の話でもないから。負傷しているのに戦地に赴く、みたいなタイプだから。

 さあ、ラストですよ。獅子舞の演じ手が謙虚でいるための、柱なので自分が立つと生意気に映る中で獅子舞だけを舞わせるっていうのは最高の答えだったし、その瞬間に起こした謙虚な奇跡の結果、お父さんの手が一瞬動くあの終わり方の切れ味が本当に最高。っていうか、村の時点ではすっげー嫌な連中だったあいつらがファイトに感動して応援してくれだして、なんならそれに周りが乗り出して一気に太鼓の音が!の畳みかけは感動しない訳が無い。

 まあ、文句を言うなら主人公がチュンで、同じ名前だからと前回優勝のお姉さんが獅子頭をくれる。で、師匠がチャンで奥さんがチェン。名前似すぎじゃ。