抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

屈服力が足りぬ「ゴジラvsコング」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 いよいよ世紀の大対決ですね。まあ正確には世紀単位だと2戦目なんですが。公開日にはみんなみていて悔しいので「キングコングの逆襲」を見て備えました。多分意味は無いです。なおネタバレは食らっていた模様。

Godzilla Vs. Kong [Blu-ray]

WATCHA2.5点

Filmarks2.7点

(以下ネタバレ有)

 

1.全部ぐちゃぐちゃの東宝チャンピオン祭りイズム

 ギャレス・エドワーズ監督の「GODZILLA」以来となるモンスターバースの4作目。その中で育まれたゴジラとコング、どっちが強いか、やってみようやないかーい!!な作品でございます。ということで、前作KOMからミリー・ボビー・ブラウンとそのお父ちゃんが続投して、何やってんかよくわからん機関モナークが全体を通す筋として出陣。

 結論から申し上げますと、本当になんのこっちゃわからんぐらいわちゃわちゃしておりました。ここまでぐちゃぐちゃに出来るんか。序盤の怒涛の地点移動で疲れた挙句、船上でのコングvsゴジラの初戦。地球空洞説に合わせた地底世界へレッツゴーの後は、香港での第2戦および小栗旬白目でのメカゴジラ参戦。vsもの定番のより強大な敵登場で共闘パターンではありますが、まあそこは良いでしょうね。

 やっぱり問題となるのは人間パートのノイズの大きさですよね。まず全体的に圧倒的にコングびいきが過ぎる作劇なので、なんか対等に見えない。ゴジラ応援団は、前作で怪獣をコントロールしようとして失敗してお母さんを亡くしたはずなのに、ボンクラ陰謀論者に引っかかったマディソンとその取り巻きA、そしてその陰謀論者だけ。どう考えても、ゴジラの行動の正当性を示せません。んで、こいつらは襲撃されたエイペックス社に侵入する、まあ百歩譲ってそれは分かるんですけど、香港まで輸送されちゃうっていうんはなんか納得がいかない。メカゴジラなんて代物を作っているのにセキュリティガバガバすぎて笑っちゃいますよ。

 ジュール・ヴェルヌ的世界観を持ち出した地球空洞説を用いた地底冒険っていうのも、バラゴンという地底の主がゴジラシリーズにはいますからね、まだ分かるんですけど、イマイチコングを連れていく必要性がぴんと来ない。エイペックス側が重力反転とかクリアできる装置を開発していて(これこそちゃんとテストしてないのが意味わからんが)、行き方も知ってるやつをスカウトしたんだから、コングは必要ないのでは??挙句、その地底空洞世界は通信は通じるっていうね。そしてそこの未知の技術をすぐさま再生できる!じゃあなんとかなってたのでは!?メカゴジラにヒーブといったハイテクメカの反面、なんか戦闘機とか戦艦はハイテクになってなくて、作中の技術レベル基準も一定でなかったなぁと余計なことを考えてしまいます。

 結局のところ、ランペイジ~センター・オブ・ジ・アース~みたいな名前でやってくれたら納得するものを、ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘みたいなノリで延々やってるんで、咀嚼できないんですよね。

 

tea-rwb.hatenablog.com

 

2.足りぬ、足りぬぞ、屈服力が!!

 まあもうこの際人間はおいておきましょう。主役は奴らです。

 だが、そこにも大きな不満が。まず、コングのサイズ感。コングはあくまで結構な昔を描いた髑髏島の巨神以来の登場で、ゴジラとやりあえるのか?という不安を払しょくするために成長を見せなきゃいけないんですよ。ところが、作中を通して基準になる建物がないのでそんなに成長した感じもしないし、なんならモナークのドーム、船の上など、制限のかかるところで前半は進むので小さい印象すら受けてしまう。勿体ない。

 んで、まあ対決でござんす。とにかくかつてからの因縁、っていうことしか話されないので、なんで喧嘩する必要があるのかは良く分からない対決ではあるんですけど、悪くない。若干酔いそうになるカメラワークもありましたけど、ゴジラが熱戦を吐く際の上から視点だったり、吹っ飛ばされている様子の視点だったりでオリジナリティを出しつつ、基本の特撮見上げ視点も忘れていない。うん、そこはいい。

 それから、コングが道具を使った戦闘が出来るのは分かっていたけども、それを最大限使った良く分からん武器戦闘など、もはやそれは猿なのか、というコングに対して、ちゃんと体当たりとか張り手も使うゴジラパイセンに愛しさを覚える瞬間も。そしてメカゴジラも、メカらしいジェット噴射での行動変更や思わぬところからのミサイル攻撃なんかも素敵だった。だが、だからこそ言いたい。拳で殴りあうその意気や良し。だが、それは王たる振る舞いか。王たるものを何と心得るか。

 あくまで本作はモンスターバースに連なる作品であり、KOMでゴジラは神になった。モンスターゼロを倒したことで、すべての生物の頂点に君臨する存在になったのだ。それゆえ、本作はその頂点の座をかけての戦である。王たるものは、王たる資格を示すべきであり、圧倒的に相手を倒す説得力、優越性を示す必要がある。スレスレで勝っていては、神ではない。その点、コングを下に敷いたゴジラの咆哮は、上下をはっきりさせるヤンキーイズムは感じたし、それに対して屈服しないコングの叫びも悪くはない。まあ石を投げて誤認させる戦法はセコいが。挑戦者が肩持ってもらってそれでいいのか。

 だがなによりもメカゴジラ、お前に屈服力はあったか?ただの力であって、神足りえる、王足りえる振る舞いであったか?彼の正当性の担保は、人類がその種の頂点に返り咲くための意義であったはずだが、暴走した時点でその仁義は廃れ、メカゴジラが勝ったとて王としては不適、ありえぬものである。っていうか!!人類が怪獣と相対して屈服させられるのか、という命題はもうモンスターバースで何度も繰り返されていて、いい加減進歩が無さ過ぎてつまらないです!素直に怪獣同士のテッペン取り合いを見守りましょうよ!

 と、いう訳で、思った以上にドハティ監督が好きだったんだな、と思わされた作品でした。大怪獣のバトル、屈服が大事!

 

tea-rwb.hatenablog.com