抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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古き良き刑事映画「21ブリッジ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 さあさ4/9公開が大渋滞ですよ、コナン君にスクリーン取られまくってますから、何とか梯子して見てきたわけでございます。チャドウィック・ボーズマンの最後の主演作「21ブリッジ」を。 

映画チラシ 2021年04月公開 『21ブリッジ - 21BRIDGES -』

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

(以下ネタバレ有)

 

1.イーストウッド的サスペンス

 いやー実に爽快な映画でした。100分を切るタイムでこういう映画をやってくれると、語弊があるかもしれないけど「ちょうどいい」ですよね。フツーに面白い。勿論、これが最後の主演作となったチャドウィック・ボーズマンの立ち振る舞いに目が行くような作品なのは間違いないですが(ところで、こういうときにいっつも遺作とか最後の出演作とか最後ですよ商法を繰り返されるのはうんざりする。)、『目撃』とか『ルーキー』みたいな、分かりやすくいってしまえばポスト『ダーティハリー』の亜種作品的な刑事ドラマであり、目の前の事件を追っていった問題児刑事が大きな陰謀にぶつかる、それでいてその大きな陰謀は割と序盤で予想できるやつ、っていう午後ローっぽさとでもいうようなサスペンスを、しかしブラッシュアップしてワンランク上げた上に、夜のシーンが長いので映画館の方が抜群にいい、という作品に仕上げてくれた訳ですね。そう考えると、かつてイーストウッドがやっていた役回りが、黒人であるチャドウィック・ボーズマンが説明なしに演じれるような時代になった、というのは着実に進歩を感じます。あ、エディ・マーフィとかウィル・スミスは別系統ね。おしゃべり黒人のパターン。

 具体的にどの辺がぐぐっとブラッシュアップされているかと言えば、やっぱり銃撃戦。最初に強盗が訪れた店での警察との銃撃戦もそうですし、ラストのJ・K・シモンズの自宅での銃撃戦もそうですけど、物陰を使いながらの仕留め方がとにかく乱れ撃つようなタイプじゃないだけにスマートに感じるし、室内戦闘においてちゃんと各方面の安全を確かめる地道さも高評価。たまに怠っているやついるからね。

 それでいて、若干の午後ロー感もちゃんとあるのが良い。正義とは何かを問うてるようで、うーん、実はそんなに深く突っ込まないあたりとか、結構なスペクタクルで書けそうなマンハッタン封鎖をあっさりやっちゃって、大切なのは質じゃない、警官の量やで!!という展開も。もう夜中の1時だからOKって言ってるけど、結構橋に乗用車走ってましたからね、そんなすんなりいきませんよ、普通。

2.ラストカットに象徴されるNYの分断

 印象に最も強く残ったのは、ラストカット。事件をすべて解決してマンハッタンを去る橋の空撮。そこでは、高層ビル、いわゆる摩天楼と対比されるように橋の向こうの(多分)ブルックリンは低階層の家が並ぶ。ブルックリン自体は、ジェントリフィケーションが進んで地価も上がっていると記憶していますが、建物の高さをそれ自体が、今回の事件の裏にあった陰謀の動機の部分である格差問題の象徴のように感じましたね。とにかくNYは地価がどんどんあがって、特に家賃の高騰が凄まじいと聞きます。昨日まで、そして明日からも普通のサラリーマンの人が家賃を払えずにホームレスになってしまうと、TBSラジオ「たまむすび」内コーナーアメリカ流れ者にて、映画評論家の町山智浩さんもおっしゃっていました。そういう状況を容認しているような社会、まあ今回で言えば何もしていないのに封鎖も自分の手柄にしていた市長とかそういう方向への皮肉・批判っていうのを感じる内容でしたね。