抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

空と海との間には「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 ソーラブ&サンダーが7月。そこから4か月空いただけなのに、MCUが久しぶりに感じるので完全にケヴィン・ファイギにバグらされている。

Black Panther: Wakanda Forever - Music From and Inspired By

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

(以下ネタバレ有)

 

1.大いなる哀悼の意を

 まあとにかくチャドウィック・ボーズマンを喪った、ということですよ。突然の彼の死は、間違いなく今後の中心にブラックパンサーを精神的支柱として据えていたと思われるマーベルにとっても強烈な痛手だったはず。本来、喪われた5年間にティ・チャラが対処する物語だった、という本作もチャドウィック・ボーズマンの死をティ・チャラの死として取り入れて、作品全体を通して大いなる哀悼の意を示しました。

 繰り返されるのは、ワカンダにおいて死は終わりではない、そこにいる。でもシュリはまるでそこにいるみたいに言わないで、と嘆く。このシークエンスをティ・チャラとラモンダの2回の死で繰り返すことで、亡くなった人たちも作品世界の一部として生き続けるんだ、っていう作品内メッセージと共に、遺されたものたちにとっての励ましでもある。

 ただ、それだけだと暗くなりすぎるはずなんですが、初登場のドミニク・ソーン演じるアイアンハートこと、リリ・ウィリアムズが最高にお茶らけているのでそっちで面白要素を担保。前半の程よい味付けと、今後のドラマでの活躍が大いに期待できます。とはいえ、世界で一人だけヴィヴラニウムを探索する機械を作り、空飛ぶアーマー(耐水性能)を作れるの、控えめに言って最強クラスの知性では?ブルースやストレンジよりも賢いとすら…。

 ドラマでの期待と言えば、ヴァルですよ。映画的にはブラックウィドウのポスクレでしか出てきていませんが、サンダーボルツを組織するあの女の正体がマーティン・フリーマンの元妻とは!じゃなかった、CIA長官とは!!とりあえず暴力的にリリやシュリを確保しようとしたFBIに取り敢えずクソムーブを連発しているダメージコントロール、そしてヴァルのCIA。サム・ウィルソンは一体どこまでのアメリカをこれから背負わなくてはならないんだ。ヴァルはサンダーボルツに向けて今後も出るだろうし、マーティン・フリーマンはワカンダ出戻りっぽいので、ロスのワカンダ滞在記、みたいなユルいドラマ見たいです。(ワカンダをテーマにしたドラマ作るって報道はある)

2.これまでの連鎖を断ち切る

 途中見ながら思ってたのが、うーん、勝手に戦争してろよっていう空気ね。ネイモアに魅力が無いうえに、地上の連中を攻めようとしている純然たる悪じゃないですか。シュリを修羅の道に堕とすことで相対的に灰色まで持って行くように見せてましたけど、いや自分からちょっかいだしておいてギャーギャー喚いてバカみたいだし、資源を盗んだ!とかいってたけど、一体あの水の都のどこに海底資源を使うアレがありました??その資源いる??いや、この論理は途上国から資源を奪うのと同じだからダメだな、と気づきはしてもそう思わずにいれなくて。我らのエムバク兄さんのいうこと聞かない暴走列車になったシュリとよくわからん連中を背負ったネイモアの喧嘩に国を巻き込むなよ、とは思うし、イーブンにするにはネイモアはやりすぎて、今後良いもんには見えないよ?っていうバランスだし。たかだか16世紀ぐらいから海に潜った連中じゃないか。エターナルズを見習え!

 だから、自分がどんな王であるべきかを改めて一瞬死にかけたからか、ラモンダに会えて思い出したシュリが赦しを与えてもそこまで大きな感動は無かったんです。でも、エンドクレジットで見事に持っていかれて。ティ・チャラとナキアの間に子どもが生まれていたと!しかもハイチでワカンダの喧騒とは離れて暮らしている。キルモンガーと同じじゃないですか!!シュリが最後の一人ではなくなったことで、復讐の連鎖をシュリが断ち切ったことに意味が生まれたし、チャドウィック・ボーズマンの遺志も引き継がれるような。それは凄く良かったと思います。

 あ、ついでにこれまでを断ち切るといえば、クソ面倒くさそうな儀式云々は結構すっ飛ばされていて、ハートシェプドハーブを飲んで先祖に合って認められる、どころかキルモンガーにあっただけで許されるんだ、みたいな。いや、キルモンガーも歴代国王ではあるのか。なんかあの面倒な力比べが省略されたことで、前作からの継承もちょっと絶った感じですが、個人的にはあのルールダメっすよ、とティ・チャラ陛下に苦言を申していた手前、むしろ喜ばしく思っております。