抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

キングコングの顔がちらつく「映画 えんとつ町のプペル」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はキングコングの西野さんの絵本が原作のアニメ映画の感想です。中居×劇団ひとり×古市の絵本もどうせ映画化するんだろうな…。

 それでは、ハロハロハロハロウィン プペプップップペル♪

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

(ネタバレ有)

 1.スタジオ4℃の3DCG

 もうね4℃といったら、『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』なんかの超絶作画の印象が先行している訳ですね。独特の書き味で壮大な、それでいてどこか身近な世界を構築するのが得意なスタジオです。

 そんな4℃が今回は3DCGに挑戦。持ち味が失われるのでは?と危惧していましたが、何のその。ちょっと人物の下半身が細すぎる気と、途中でルビッチの肘が破れたシャツのサイズがあまりにも小さいのは気になりましたが、メインとなるプペルのデザインは人間ではないこともあって、3DCG自体は成功していたと思います。特に、冒頭のプペルを助けるまでのシークエンスは、3DCGのキャラに旧来からのアニメ的な振る舞いや省略が楽しかったですね。

 そして、4℃の色が前面に出ていたのが街の描写。細かく書き込まれてて、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた背景は、実に4℃らしい味に溢れていました。溢れていたんですが。正直言って、スチームパンクをそのまま絵にしただけって感じが否めないんですよねぇ。せっかくの4℃なのに勿体ないなぁと。もっと街自体を作りこんで欲しかったというか、なんだろう暮らしている実感が感じられなくて。消えていくお金とかある割にそれを使わないし。端的に言ってフード描写が足りない。この町で暮らしてるイメージが湧きませんでしたね。

 あとここでついでに述べておけば、声優陣はすばらしかった。芦田愛菜さんは4℃連投ですけど、圧倒的で、窪田正孝も最高。藤森慎吾ですら個性を出しながらも、完璧。違和感があったのは飯尾さんぐらいでしたね。これは凄い。

tea-rwb.hatenablog.com

2.何にも残らない模倣感

 物語としては、正直すべてどこかで見たことがある、に尽きる。『君は彼方』ほどではない、とは言っておくが。

 まずは設定として、煙が曇っていて空が見えない町で、その世界の外側になにかがあるはず、と信じる主人公っていう構図は、私の大好きな「天元突破グレンラガン」から情熱とめんどくささを差っ引いたものだ。それはすなわち、何でもないもの。そして、お笑い界から羽ばたいてお笑いの外の世界を見せたのは俺やで!!と西野さんの顔が浮かぶ。うーん、ここまで露骨にしなくてもな。

 そこにヴィラン的に登場する異端審問官は、フレーズ自体もどこかで聞いたことがあるし、悪役として実に頼りない。飯尾さんが裏切り者だったが、えんとつ掃除のダンさんを転落させただけで、なんか蝙蝠風情に負けてて、裏切っていたことすら必要なくて笑ってしまった。

 あと「ONE PIECE」っぽさが拭えない。空飛ぶ船、嘘つき、伝説は本当だった、この辺は完全に空島編じゃないだろうか。

 そして拍車をかける「君の名は」にかぶれたPV風演出。もうやめません、これ?ハマっていればいいですけど、そうじゃないともう「君の名は」の2番煎じと言われるしかないですよ。ビシッとタッグを組んで曲から映画に合わせて作ってあのレベルなんですよ。今回なんて、OPからドン滑りしてたと思います。

 

 最後に、噂に聞いていたんですが、本当に上映終了後に3,4人が割れんばかりの拍手していて気持ち悪いな、と思いました。映画を作品で評価したいのにその外の文脈が作用するような手法はどうかと思いますよ。