抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

繊細に描かれる人と人との繋がり「どうにかなる日々」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回扱うのは、どうにかなる日々。鬼滅の刃が凄すぎて、公開初週なのに朝イチと夕方の2回しかやってないというえげつなさ。仕方ないとはいえ、ちょっと寂しさもあります。あと、これは完全に語弊のある言い方ですが、この上映時間で今回は割引使えて良かったです。1800円固定は80分超えてからかな、という個人的な願望。まあ140分超えると、長いって文句を言いだす都合のいい生き物ですが。

 さて、告知です。映画ブロガーたちが語り合う俺たち映画ならず者、通称おれならにゲスト出演させていただくことになりました。お題は次の007のキャスティング。10月31日19時~になります。百戦錬磨の映画ブロガーたちの中で、一体私にどれだけのことが出来るのか!?是非ご視聴頂ければ幸いです。

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WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ有)

 本作は4つの短編が合わさる1時間程度の作品。という訳で一応各話ごとに。

1.第1話Happy

 元カノの結婚式に出向いたえっちゃん(cv.花澤香菜)とあやさん(cv.小松未可子)の物語。結婚式場での漫画みたいな(いや漫画なんだけどさ)出会い方で出会った2人があれよあれよと結ばれる。どの話もそうですけど、尺が短いので関係性の進展としては急ピッチな感じ。まあもういい大人の恋愛ですし。

 ちなみに、開幕前に花澤さんと小松さんのトークが5分ほど流れましたが、相変わらずノースリーブのみかこし素敵!って思いましたし、ホントみかこし好きだわ。結婚おめでとうございます。

2.第2話Go

 この話が一番お気に入りでした。学校の教師(cv.櫻井孝宏)が卒業式で男子(cv.山下誠一郎)に告白されて、それから心を乱され続ける、というお話。

 学校というある種ルーティン空間の中で、卒業式という生徒にとってのアニバーサリーな出来事ではあるが、教師にとってはまた1年、というマーカーにしかならない行事。それを3回過ごさせていることで、過ぎ行く日常の中で一回投げられた波紋がゆっくりでも広がっていって、ちょっと普段と違う行動に踏み出させる。

 今回の4話の中で最も直接的な性接触はないし、なんなら生徒は卒業と同時に去っていく。それでも確かに、心に影響を残している。それでいて、私の激怒ポイントである教師と生徒の恋愛の在り方問題にもまったく問題の無い状況なので素晴らしい、と言わざるを得ない。「俺、首きれいかな?」

3.第3話Lucky

 今度は幼馴染の話。視点はしんちゃん(cv.木戸衣吹)で、みかちゃん(cv.石原夏織)がしょっちゅう家に勉強しに来る感じの中で、いとこの小夜子が転がり込んでくる。彼女はAVに出演したことで勘当されてやってきていた…。まあね、思春期入り際の男の子には刺激が強いですよ、そんな世界は。しんちゃんもみかちゃんも見ちゃった時は完全に処理速度オーバーしちゃってたし、しんちゃんはそっから描かれただけで2度も夢精しちゃってるし。でも、保健体育の教科書が出てくるように、扱われるべき問題だし、見ないふりや禁止しただけで存在しなくなる問題じゃないですからね。まず小学生の時点での性の話を描こう、というだけで喝采

 そのうえで、これは4話にも、あるいはこれまでにも共通しますが、空間の使い方が上手だな、と思いました。基本的にしんちゃんの部屋で勉強している訳ですが、小夜子はしんちゃんの部屋の押し入れで寝泊まりしている。だけど、しんちゃんがコミュニケーションを遮断したいときは押し入れでしんちゃんが籠る。4話の学校という公の空間と暗幕のある部屋の密室感との対比、それから3話でいうと小夜子が押し入れから覗いている、というところや4話の合唱を見られるところなどの見る・見られるという視線の持つ性的な力みたいな、空間の力を本当にうまく用いていたと思います。

4.第4話Days

 しんちゃんとみかちゃんが中学2年生になっての話。文化祭の準備シーズンの話だけど、2人はベストカップルに選ばれて賞品でコンドームを貰い、大人の階段を上るようなラスト。これも一つの文化祭マジックなんだろうか。

 前述のように、暗幕を取りに行った部屋の密室感、学校という公的空間の中での私であり、よく考えると学校の公的空間っぽさは2話でも描かれていて強調されているのかもしれない。そもそも3話の話を掘り出してふっかけてくる同級生に対するみかちゃんの死んでよ、がもう最高ですね、はい。小学生であんな刺激的な体験して、なんだったら性に対して過剰防衛気味になってもおかしくないのに真っすぐに2人とも育って、あたしゃ嬉しいよ…。

 なんだろう、3話ではまだ性と距離を取っていたけど、ここでは明確に恋に繋げていくような、そういう上手い付き合い方を覚えている、そんな感じがありますね。