抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

なんなんだこの情熱は!?神戸発「みぽりん」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 本日は正月3本立てのラストにして、第2のカメ止め候補にして、神戸発のカルト的映画「みぽりん」の感想です。

 この映画の存在はラジオクラウドで聞ける関西のラジオ番組「シネマクエストラジオ」の5月の放送で知っていた訳ですが、東京での上映があるのか、ないのか、なんて思っていたら無事放映されました。カメ止め同様キャストさんの登壇もありまして、とても和やかなムードでした。

f:id:tea_rwB:20200104004605j:image

WATCHA3.5点(っていうか点数つけれねぇ…)

Filmarks3.5点

(以下ネタバレ有り)

 1.ミザリー×地下アイドル

 本作のあらすじは、ソロデビューすることになったが致命的な音痴である優花が、みぽりん先生というボイストレーナーの下で特訓することになって…という展開。

 このみぽりん先生が非常に怖く、確かにアイドルを舐めてたり常識を知らない優花が悪そうな部分もあったとはいえ、何がトリガーなのかよくわからないタイミングで暴発して豹変。めっちゃ怖いっていう感じ。

 みぽりん先生はアイドルになるべきであるという教育を親から受けた影響か、あるべきアイドル像、それも非常に旧態依然としたタイプの偶像崇拝に近いアイドル像を優花に求める。パンツは白を履け、歌を習いに来たなら真面目にやれ、立場をわきまえろ…。よく聞くとまともな事も言ってますけど、まあ勝手に膨らんだあるべき理想の姿を監禁した状態で押し付けていく様子は、監督が影響を受けていると公言する「ミザリー」と同じと言っていいでしょう。まあ、そう聞いていたからミザリーを予習したんですが。

 ただ、このミザリー要素が地下アイドルとフュージョンしたことで、アップデートされたのが本作。「ミザリー」では恐怖からの脱出が題材のホラーだった訳ですが、本作はその狂気に対抗する存在が優花となる訳です。

 これは題材をアイドルとしたことによって生まれた世代間ギャップが生むマジック。かつてのアイドルはまさに偶像。山口百恵中森明菜小泉今日子、そしてみぽりん先生という名前から間違いなく中山美穂。それは神です。降りてくることのない存在。引き換え、現代においてアイドルは会いに行けるアイドルAKB48グループやももクロなどの登場によって戦国時代に突入。地下アイドルという存在は劇中でも描写されたようなクソ運営だったり、ファンとの距離が近すぎたり、なんてことが起きるわけですね。契約書が割と重要なアイテムなのも現代アイドルっぽいというか。まあ、この辺はTwitter吉田豪さんをフォローしてくれると分かるんじゃないっすかね。

 とにかく、固定化された神聖なアイドル像を提示して強制してくるみぽりん先生に対して、地下アイドルの人気投票1位にして、実は人妻だったという衝撃の事実すら持っている優花はまさに多様なアイドル観を体現する存在。両者の激突、及び最終的なみぽりん先生の自刃は多様性社会への讃歌へと繋がるのです。

 自刃という言葉に引っかかったあなた、間違っていません。クライマックスで自刃して「終」なんです。そこは次の項目で。

 ↓カメ止めの聖地シネマ・ロサはみぽりんカラーに!f:id:tea_rwB:20200104004614j:image

2.圧倒的情熱!そのカオス

 この映画はラスト10分の衝撃、みたいなキャッチコピーがついている訳ですが、衝撃っていうか、もうそれはそれはの混沌が訪れるのです。

 優花と連絡が取れなくなったが、割とあっさりと六甲山の山荘を発見した運営&優花トップオタのカトパンがみぽりん先生に捕まり、殺されそうになる。ここまではまだミザリーなんですよ。

 ここで運営の秋山がめちゃくちゃなことを言い出す訳で。優花がアイドルとして不適格だとみぽりん先生が怒っているなら、優花をグループ卒業&みぽりん先生電撃加入&即シングルデビュー&即MV撮影というウルトラCを提案するのです。途端にみぽりん先生も乗り気になって、そういう運びに。いざ撮影が始まると運営の相川が産気づき幼虫を出産して、そこから刀を引き抜いてみぽりん先生と優花がバトルを始め、みぽりん先生の代わりに黒幕だったグループメンバーの里奈が歌い始める。もう自分でも何を言っているのかわからねぇ。

 説明はつくんですよ、多分。みぽりん先生は元々不安定なところがあって何らかの薬剤を摂取していますし、それを使って秋山を昏倒させたり、GRETAのイザベル・ユペールみたいな注射をキメてます。また、みぽりん先生と里奈は姉妹なので、それ以前にぐでんぐでんのところも薬の共有があったと思われます。で、MV撮影のところは全員がトリップ状態になっており、そこからの脱出が順番に描かれた10分間だったと同時に、みぽりん先生がアイドル幻想と妹への依存から解放されるラストだったんだと思います。

 でもですね、こういうのは正直野暮だな、というのが本当のところ。ここまでも割と勢いで突っ走ってくる作品ではあるものの、こと、このラスト10分に関しては完全に制作者の情熱がほとばしっているパートだと思うんです。ここは距離をとって論評するよりも、黙って素直に浴びて圧倒される映画体験でいいんじゃないかな?と思います。

 

 果たしてこれが第2のカメ止めなのかは分かりませんが、こういう映画もしっかりアンテナ張ってチェックできるといいな、と思います。

 最後にキャスト登壇のトークショー。鑑賞日は運営の秋山&相川コンビを掘るトークでした。f:id:tea_rwB:20200104004620j:image