抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2019年10月〜12月に読んだ本の記録

  どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 四半期に一度の読んだ本を振り返るコーナー。

 3か月で1冊しか読めてねぇ、なんて時期もありましたが、この3か月で4冊、うち1つは上下巻と久しぶりにいっぱい読みました。

 なんて油断をかましてたら、ブックオフで大量に買い込んでしまったのでまた一生懸命読まないと…。

 

動く家の殺人/歌野晶午

新装版 動く家の殺人 (講談社文庫)

新装版 動く家の殺人 (講談社文庫)

 

 探偵役の信濃譲二が死んだ、という衝撃の出だしから始まり、劇団の公演中の殺人事件を回想するテイスト。事件自体はオペラ座の怪人的な定型ものだが、わざわざ作られた演劇小屋と本書のタイトルで森博嗣感も出てくる。

 が、信濃譲治が死を迎えた後の第3幕での急展開。事件自体の構造は非常に単純でほぼ独力で解答に持ち込めるが、それ以外のところに叙述トリックが。動かない動く家の殺人。タイトル詐欺に叙述と前作「白い家の殺人」よりもさらに色濃く「葉桜〜」に続く歌野晶午ワールドが垣間見える。

放浪探偵と七つの殺人/歌野晶午 

増補版 放浪探偵と七つの殺人 (講談社文庫)

増補版 放浪探偵と七つの殺人 (講談社文庫)

 

 信濃譲治シリーズの短編集。宗教的だったりオカルトっぽい導入だったり、倒叙っぽいのもあるが、明確な本格ミステリだし、読者への挑戦状もある。

 この中では「水難の夜」がかなりのお気に入り。タイトルと冒頭の伏線がうまいこといっている。逆に「烏勧請」は流石に無理がある気もするが、ロジックでここまで責められると納得してしまう。でもこれってミステリなのだろうか。

 ちなみに本来は7つだし、そっちを読んだのだが感想を書いている今、現在どこかに無くしていて、代わりに本棚にあったもう一冊を手に取ったら増補版で8本目が掲載されて焦った。

シャイニング(上・下)/スティーブン・キング

新装版 シャイニング (上) (文春文庫)

新装版 シャイニング (上) (文春文庫)

 

  「ドクター・スリープ」を見て読みたくなったので、というか、ブログに書くには読まなきゃなるまい、と思って10日間ぐらいで800ページぐらい読む、最近でもありえないペースで久々に読みました。

 ダニー、ウェンディ、ジョン、時々ハローランが主観で常に語り続ける事でホテルの持つ禍々しさに少しずつ取り込まれたり、戦ったりする様子が克明に描かれ、完全にvsホテルのホラー小説だった。それぞれの登場人物、特にジョンの人生が物語上、非常重要であり、それがあるからこそラストでホラーでありながら親子を描いた意味のある物語になっている。

 だからこそ、これら全部を差っ引いてあの映画にしたキューブリックがえげつないし、それで名作にするのも凄い。キングが怒るのも納得はする。

人間失格/太宰治

人間失格

人間失格

 

 「恥の多い生涯を送ってきました」から始まると思っていた名作は「私は、その男の写真を三葉、見たことがある」から書き出されていた。

 頭のいいフリをしながら若き日を過ごし、映画やアニメの感想を垂れ流しておきながら所謂文学の名著に手を触れてこなかった結果がこれである。情けない。

 内容としては太宰の自叙伝に近いものを感じながらも、強い孤独と罪と抗えなさを描く実に寂しい話だな、という印象。とはいえ、こうした評価を他者が下す事がいかに愚かしいかを最後にマダムは指摘しているし、葉蔵の恐怖を誰も理解していないように私も太宰の恐怖は理解できていないだろう。