どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
帰ってきたMCU。人目気にするロックンローラー。あなた動機が不純なんだわ。金髪美人のグルーピー。
グルーピーってなんだろう。という訳で、エンドゲームでは金髪美人だったスカーレット・ヨハンソン演じるブラックウィドウの単独作になります。
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
(以下ネタバレ有)
1.これまでを繋ぐ
長いこと待たされたことになるMCUの劇場復帰作。エンドゲーム以来の歯車が動き出す感はありますが、正確にはエンドゲームの後にスパイダーマンFFHやってるんですよね。今回のブラックウィドウでも殺したと思っていた相手が生きてる、をやったのでミステリオには死んでいてほしいのが正直なところですが、さあどうなる。
ミステリオの話はまあジェイクが好きとはいえ、まあいいや。本作「ブラックウィドウ」はシビル・ウォーでアベンジャーズが分裂してからインフィニティ・ウォーで再結集する間の物語。まあそこか「アイアンマン2」より前しか単独作作れなさそうだしな。という訳で、MCUにしては珍しい前日譚映画。しかも彼女はエンドゲームでご存じのように死んでいるので、この先活躍する未来もしばらくはない(シークレット・ウォーズとかその辺までいけばある)。ということで、ストーリー的に言いうと、見なくてもいい映画です。勿論タイムラインに大きな影響はございません。ただ、これまでナターシャの口から語られてきた「ブダペスト」や「家族」といったキーワードの裏を正確に掘り起こしていく感じ。なので答え合わせ感はありますが、相応のアクションがスクリーンで体感できるのは嬉しいところでございます。
勿論ですね、答え合わせの結果なんか齟齬というほどではないものの気になるところは当然出てきました。この手のをやると世の常です。例えば本作のヴィランは、ロシアの(どちらかと言えば共産陣営の、という描かれ方だったが)スパイ養成所であるレッドルームを率いるドレイコフ将軍とその配下のタスクマスター。かつてナターシャはホークアイと共に、S.H.I.E.L.D.の最終試験でドレイコフ、そしてやむを得ずその娘まで殺した、ということが劇中で描かれますが、そもそもS.H.I.E.L.D.ってそんな組織だっけ、というところと、結局ドレイコフも娘も生きていた、となるので、え、じゃあ最終試験不合格じゃね?、あるいは生死もわかんないのに合否判定したんか、というのは出てきちゃう。
レッドルームに関しても、エイジ・オブ・ウルトロン以降にあんなのを空中に配備しておいてバレないっていうのは流石にそんなことないだろうな、とも思ってしまいますがその辺はどうなんでしょうね。今回に登場してきたキャラがみんなしてこれまで出て来なかったのは、全員指パッチンされてたことにすればいいので、そこは楽なんですけどね。すごいな指パッチン。
2.これからを睨む
まあ過去編とはいえ、しっかりこの先を見据えた繋ぎ、種蒔きをしっかりしているのは流石というところ。誰もが期待したエンドクレジットシーンは、エンドゲーム後のエレーナによる墓参り。そこに登場したのがヴァレンティーヌ・アレグラ・デ・フォンテーヌ、ファルコン・アンド・ザ・ウィンターソルジャーで登場したエージェントですね。既にUSエージェントを勧誘しているのですが、彼女がサンダーボルト・ロス長官の下でサンダーボルツを結成するのか、あるいはダークアベンジャーズを結成するのか、みたいな話が予想されますが、2代目ブラックウィドウとしてのエレーナをスカウトするのは予想外でした。エレーナは2代目としてアベンジャーズに絡んでいって、ヴァル側はタスクマスターがスカウトされるかな、と見ながらも思っていたのでね。もしかしたら、ウィドウ全員スカウトされてんのかもしれませんな。そんで次のターゲットはホークアイ、と。まあヘイリー・スタインフェルドの勧誘に繋がると思うんですけど、ヤングアベンジャーズなんだよな、そうすると。(2代目ブラックウィドウはサンダーボルツにいたってさ)
ディズニー+に加入していないのにこんなに詳しく分かるのは、アメコミトークライブ「しゃべんじゃーず」とてらさわホークさん、光岡三ツ子さんあたりから流れてくる情報のおかげでございます。そのうち見るよ。
3.ブラックウィドウというヒーロー
一応、ナターシャ・ロマノフという人物の物語は終着を迎えたわけですし、少し彼女のことを総括、じゃないですけど、考えてみましょう。
始まったばかりのMCUにおいて、女性ヒーローと呼べる存在は「アイアンマン2」で彼女が登場して以降、ワンダ・マキシモフ、キャロル・ダンヴァースの2人だけと言ってよく、数えるならホープ・ヴァン・ダインが入るぐらいでしょう。しかもナターシャは、スターク社に秘書として潜入し、実は強かった、と社長視点でびっくりするつくり。アベンジャーズ初期メンバーとして、エンドゲームでも腐らずチームを守っていたのは彼女であり、MCUにおける女性キャラの地位向上の大きな一助になっていたのは間違いないでしょう。
そんな彼女が、10年経ってやっと公開された最初で最後の単独作で戦う相手は、世界中の少女を誘拐して暗殺者に育て上げるクソ野郎で、かつフェロモン・ロックとかいって匂いを嗅いだら攻撃できなくなる特殊体質の持ち主(Netflixのマーベルドラマ、ジェシカ・ジョーンズの敵キルグレイブっぽい)。勿論、これは世界中で現在でも起きているだろう人身売買や様々な搾取や支配、性別の役割固定なんかから解放していく、これからの子どもたちのために何が出来るのか、やれることをやっていく、という極めて真っ当なメッセージの送り出しに成功しているといえるでしょう。こうやってナターシャがなし得たことのおかげで、これからのMCUにはフローレンス・ピューが受け継ぐだろうブラックウィドウ、そしてアイアンハートにシーハルク、ミズ・マーベル、ジェーン版ソーとこれまでとは比にならない数の女性ヒーローが登場してきます。そのこと自体が、これまでナターシャ・ロマノフがMCUで果たした役割の証左だろうな、と強く思います。