抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

申し訳ないが2018年ワーストクラス「不能犯」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 やっとこさ、2月頭に見た映画の感想がおしまいです。

 松坂桃李沢尻エリカ主演の漫画原作作品(羊の木も漫画原作でしたが…)の「不能犯」になります。

 一言でいえば、笑ゥせぇるすまんコードギアスの眼+Anotherみたいな感じ。

 注:この記事は批判ばっかりになるので不快になられるおそれがあります。

不能犯

 

WATCHA2.0点

Filmarks2.0点

(ネタバレ有り)

 1.媒体を間違えたかな…?

 本作はいくつかの章構成で進んでいきます。概要だけで言えば、アバンがスズメバチ事件。麻薬乱交パーティ、鑑識安田さんと剃刀自殺、中華料理屋爆発、生き別れ姉妹と続いて最後に爆弾魔との対決へと進んでいきます。

 1つ1つの事件は松坂桃李さん演じる宇相吹が、殺人を請け負い、最終的には笑ゥせぇるすまんの喪黒福造よろしく依頼人も不幸が訪れる、という感じで、とても面白いお話になっています。ところが、これを映画にしたせいで、それぞれの事件がぶつ切りになってしまい、最終盤への布石にもあまりならず。ドラマやアニメで1話完結型で見せるべきだったのでは…?という感じが拭えませんでした。

2.役者陣も…

 構成上で大きな減点がありましたが、残念ながら役者陣の演技も今一つ、二つといったところでした。テット・ワダさんの演じた赤井刑事などそもそもちょっと酷い、というレベルの方もいましたが、基本的に松坂桃李さんを除いてもれなく記号的で大げさ、棒読みという感じの演技で見てられませんでした。安田顕さんや小林稔侍さんのような名優さんでさえそうなので、これは演出の意図がまるでダメ、ということだと思います。特にガッカリしたのは沢尻エリカさん。宇相吹との対決シーンでナイフを投げ捨てる演技や、深夜に宇相吹と相対してからのへたりこんでちくしょー!と叫ぶシーンなんかは地獄絵図とさえ言えるレベル。そもそも沢尻さんがそこまですごい女刑事に見えないという点も手伝って、残念でした。

3.100歩譲っても

 ここまでの批判は100歩譲って良しとしましょう。それでも許容できない描写が多数ありました。

 まずは何といっても、宇相吹の洗脳描写のくどさです。多田刑事には効かないことを強調したかったのかもしれませんが、何度も何度も繰り返される時間が無駄なうえに、ドクターストレンジの時のトリップ映像と比較すれば、ため息の塊ですね。しかも、狙いとは裏目に多田刑事が宇相吹を殺すしかない、と言い張りつづけるので宇相吹にそういう風に洗脳されてるのでは?とさえ思わせているので意味がない。

 次いで、若松刑事が命を落とす大きな要因となった芦名星演じる夢原姉への処遇です。そもそも容疑者に対してその原因を作った人物が自殺したという手紙を読み上げる時点で意味が分かりません。直前に被疑者が冤罪で自殺したことが尾を引いた事件が起きているのに被疑者を絶望に追い込んでどうしたいんでしょう。そして、精神鑑定に出向いた先で、有罪が確定したわけでもない人物の手錠を外すという意味の分からない愚行。宇相吹が言った通り、多田刑事のせいで無駄に人が死んでますね。

 一番感動をさせたいであろうところは、爆弾事件の被害で入院した新人刑事・百々瀬が意識を回復したところで、多田刑事が初めて「新人」ではなく、「百々瀬刑事」と呼ぶところなんでしょうが、これも不満。新人と呼ぶのはルールがあると言っておきながら、そのルールが明示されないままクリアされます。しかし百々瀬は別に事件の手がかりを手に入れたり、真実に近づいたから狙われたわけでもないし、成長を見せる描写もなく、いい方は悪いですが、襲われて、意識を回復しただけ。それで名前呼びになるのはなぜでしょう。全くわかりません。

 全くわからないといえば、多田刑事の出した結論。宇相吹が人間の脆さと強さを見極めるとか、某超高校級の絶望みたいなことを言ってますが、それに対して、希望で殺すと、もっとわけのわからない某超高校級の希望みたいなことを言い出しています。ナニガンロンパですか?某希望大好きな〇木誠くんは高校生だし、VS絶望だから許されますけど、多田は刑事で宇相吹は法律では裁けない不能犯です。警察機構の人間としては、法で裁けない不能犯をどう捕まえ、司法の鉄槌をくださせるかが一番のカタルシスを生む瞬間ではないんですか!希望で殺すってなんですかそれ!

 本当はほかにも、宇相吹は色んな電話ボックスを夜な夜な見回りしてるんですね、お疲れ様ですとか、そもそも警官何人も死んでるし、所轄じゃなくて本庁マターだよねとか、ここまでされたら冤罪とかでもいいから逮捕しようとする人はいるはずではとか。

 とにかく最後までダメダメでした。この映画は、完結していない原作に中途半端に忠実にしようとした結果が生んだ悲劇だと思います。原作を改変することと、映画用に調整することはまったくの別物です。原作ものが数多く映画化される中で、継続中のモノを映画化する際には、もう少し考えてほしいですね。