抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2025年5月に見た過去作の記録

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 5月に見た旧作に関するブログを6月にあげなくてはならないのに、6月のうちに6月に見た旧作のブログをあげてしまいました。だから5月の記録を7月に出します。

 

 

グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待

グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

オーストリア。かつて欧州を手中に収めたハプスブルク家。その収蔵物が集められたウィーン美術史美術館のドキュメンタリー。
だが散漫。オーストリア、多分すごいちゃんとしているのでウィーン美術史美術館以外にもいろんな文化資本を管轄する美術館や博物館がありそう(というか武器とかの博物館の人は出てきたりする)のに、国の中におけるそういう棲み分けがちっともわからないというか、この美術館の概略の説明が何も無い。その状態で予算が云々の話をされたりして、政府との緊張関係を匂わされても困ってしまう。
端的に言えば下手くそなワイズマンである。
日本の国立西洋美術館のドキュメンタリーは改修工事に完全にフィーチャーしていたのでとても良い出来だっただけに、作りが散漫な本作は残念である。最後に雑に収蔵品を見せびらかす時間があるのも中途半端でいらんかった。やるなら頭からケツまでやってくれ

ゴヤの名画と優しい泥棒

ゴヤの名画と優しい泥棒(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

イギリスのナショナルギャラリーから14万ポンドのゴヤの名画が盗まれた。犯人は普通のお爺さん、という実話の映画。
演劇・戯曲に映画といった芸術に造詣が深いし、英国人らしい皮肉を満開にしながらテレビの受信料を払わないためにコイルを外す世直し気質。なのに美術に対しては杜撰な管理と下に見ててちょっと残念…と思ってたら犯人はこの人ではなく、息子だった。じゃあしょうがない。
そこから話はどう盗み、どう交渉するかではなく、なぜ妻に相談せず罪を被るのか、という家族の話にフォーカスする。
まあとにかくこのおじいちゃんが達者な曲者なので裁判中のやり取りが軽妙で仕方ない。ケン・ローチのようなテーマをコメディタッチでやるように見せてズレていってしまっているのは事実だが、サッと見れるいい味の作品。

紅い服の少女 第一章 神隠

紅い服の少女 第一章:神隠し(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

人が失踪して、その周りの人が探してるうちに入れ替わるようにいなくなる、という感じ。台湾に息づく都市伝説的なものを怪異としてホラー映画にしているようだが、セットアップにかなりの時間を要した割に解決がすっきりできなくて爽快感がない。
幻影を見せてきたり、かなりメンタル側に食い込んでくる相手なのだが、ヴィジュアル面でも怖がらせようとしてきたり、案外フィジカルな対決になったり、勝利条件の曖昧さが目立ってしまった

紅い服の少女 第二章 真実

紅い服の少女 第二章:真実(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

主人公を変えて第一章に続く物語としたが、第一章の生存者も出てくる。絵面だけで言えば、女性たちによる連帯と戦いを描けているようにも思えるが、ゴールとして怪異が妊娠中絶に関わるものになっていくのに女性ばかりが矢面に立たされる構図は正直よろしくないように感じた。第一章に関しては男もやられていたし、2人の問題ではあったが完全に女性の問題にしてしまっている。その上でアクション側に振った割にわかりづらい。

月極オトコトモダチ

月極オトコトモダチ

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

レンタル友達という制度を知った雑誌編集者が彼をレンタル。男女の友情は成立するのか?という議題にレンタルという要素を追加していく。
単純に取材なのにそれを隠してやろうという調査倫理の無さに腹が立った。そりゃ怒るというか。その流れで平手打ちされるヤナセは本当に可哀想だと思った。
男女の友情が成立するのか、という議題に対してアプローチが基本的に間違っているとしか思えない取材しかされないので結構グロテスクな印象で、そこにレンタル=仕事という要素をぶち込んでいることにも無自覚な取材でがっかりしてしまう。
そういうのは本題じゃない、というのはわかっているのだが、友情とかの定義をされていないのにレンタルという実験に踏み出しても対称性無いし、うーん?である。そもそも、異性だろうと同性だろうと友情というものはなんなのか、たとえ友人であろうと知らん人であろうと、全ての自分を知らせることなど不可能であり、友人である瞬間とそうで無い瞬間を連続的に行き来しているのではないだろうか。人間、どうしてそこに名前をつけたがるのか。そういう面をアプローチして欲しかった

シエラ・デ・コブレの幽霊

ghost of sierra de cobre

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

アマプラに配信が来た時に話題になった幻のホラー映画。フィルムの現存が2本しかないのに片方を映画評論家の添野知生さんが所有していることを何かで聞いて知った作品。監督・脚本はサイコの脚本の人なのか!
建築家の男が心霊問題の解決も副業でしていて、やってきた相談は死んだ義母から電話がかかってきたと。ミステリー的な導入な割には凄い調査をするってわけでもなく、話を聞いてすぐ整理して自白する感じではあるのだが、幽霊とミステリの絡み方、霊がどうして現れるのかという根源のところとよく出来ている。別に幻になる程怖い映画というわけではない。

リヴァプール、最後の恋

リヴァプール、最後の恋(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

リヴァプールに住む俳優を訪ねて、病にふせった大女優グロリア・グレアムがやってくる。彼らはかつての恋人だった。
ハンフリート・ボガートとも『孤独な場所で』などと共演して、なんなら監督のニコラス・レイとも結婚してたりしてた本当のアカデミー賞女優の最期の話。回想を挟みながら、かつてどう過ごしていたかと彼女をどう扱うか、で紛糾する現在を行き来する。ドアを開けると時代が変わる演出がとっても良かった。うら若き男女でなくても、国境が、命が2人に立ちはだかろうとも、ロミオとジュリエットたりえるか

潜水艦クルスクの生存者たち

潜水艦クルスクの生存者たち(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

普通に面白い潜水艦映画。ある程度ツボを押さえて仕舞えば潜水艦映画はハイアベレージを叩き出してくれる。ましてやそれがトマス・ヴィンターベアのような監督であれば。
ロシア海軍の潜水艦であるクルスク号が魚雷の爆発事故により沈没し、その救出作戦を描いている。U・ボートなどでは潜水艦内部をかなり精密に描いてきたが、本作は中でのこうやって切り抜けていく、という描写もしながら、帰りを待つのに情報が降りてこない家族たち、沈没を確信し救援を申し出るイギリス、ちっともその手を取ってくれないロシア海軍といった群像劇に近い様子になっている。
彼らがどうなるかは、ヨーロッパコープの作る全編英語映画であることを考えると想像はできてしまうのだが、バリバリに当時のトップでもあるプーチン在任中にこの映画を仕上げてくる心意気は素晴らしい。

ジャッキー ファーストレディ最後の使命

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

ナタリー・ポートマンによるJ・F・ケネディ暗殺を受けた夫人の伝記映画。
撃たれた瞬間から数日間の葬儀の手筈とそれをめぐる駆け引き。アメリカという国の大統領が暗殺されたという事実と、家族から突然父が、夫が奪われたという事実の両天秤。『スペンサー』もそんなにハマらなかったのもあり、やはりそんなにグッとは来なかった。

飛行士の妻

飛行士の妻

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

二つのカップルの会話で進むのだが、その2組の片方ずつが実は本当の今のカップルである面倒な話。
とにかくフランソワくんが面倒で仕方ない。過干渉。うるさい。
確かに妻子あるパイロットに手を出してる方も悪いのだが、不倫を題材にしてるわけでもないし、本人がいいなら勝手にすればいい。一方で、フランソワくんは対話もできないし、勝手に家に押しかけておいて「帰るぞ?」が脅し文句になると思ってる浅はかな男であり、正直彼になんらかの殺戮がなされないと気持ちが収まらねぇなって感じだった。飛行士の妻だと思っていた人物が妹だったし、フランソワくんがナンパした相手だし、同僚の彼女だし、っていう落とし方なので仕方はないのだが、それにしたってコイツ視点のナンパシーンは退屈極まりない

劇場版ポケットモンスター おどるポケモンひみつ基地

おどるポケモンひみつ基地

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

ミュージカル映画の歴代で最も好きかもしれない。
短編の中で、せっかくムサシとコジロウがサカキ様に認められるために準備した秘密基地、そしてもてなしの為のスイッチが入ると踊ってしまう魔法のマイク。この二つが整った時、ポケモンたちは踊り出す。
あの頃山ほど聞いたポルカオドルカにのせて短編の時間で当然のように踊ることで体の制御が効かずに破壊されていく秘密基地。ピカチュウたちのノンバーバルでスラップスティックな笑いが原初のアニメ的快楽と赤い靴の悲劇性を思わせる。同時に、話の通じ無さそうなドゴームとルンパッパという踊り強者を突入させることでスラッシャー映画の悪役のような緩急を持たせる。