どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
今回は9月に見た作品のおさらい。
たまこラブストーリー
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
たまこともちぞうの恋愛にフォーカスを当てて。
うさぎ山商店街の皆様のことが目に入らなくなるような戸惑いと直球の思いが気恥ずかしさすらある。テレビシリーズでキャラクターを積み上げてきたから許されるのだが、それでもちょっと辛さはある。純粋培養すぎるというか。
とはいえ、仲間たちが過ごしてくれる時間が本当に素敵で。トツ子が結構たまこのキャラと近かったので、『きみの色』の前にたまこシリーズを見れて良かった。
19歳
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
20歳で死ぬものだと思ってた。
そういうサキが同い年の友人と、でも全然違うことが示されていく。彼女の就活の写真を趣味であるカメラで撮ってあげる時、悪気なくそこに断絶があるように思える。
監督によるセルフドキュメンタリーなのか、モキュメンタリーなのか、単なるフィクションとして自分が出てるのか。そこに境目があるとしてそれは意味があるのか。
リトル・フォレスト 春夏秋冬
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
リトル・フォレストの韓国版。キム・テリがとても愛らしいのだが、日本版の橋本愛に感じた何かは明確に欠落していたように思える。
やはり住居の違いと田舎っぽさの前提理解が異なると受け取るものが違うのだろう。
普通にいい映画になっていたはずなのだが、かえって角が取れていたのかもしれない。
溺れるナイフ
WATCHA2.5点
Filmarks2.7点
山戸結希の長編とは合わないのかもしれない。
あまりにも神々しい序盤の輝きと裏腹に決定的な出来事が起きる前あたりから様相がおかしくなっていく。
この世のものとは思えぬ菅田将暉は、あんなに噂の先行するクソみたいな場所に住んでいるのに意味のわからない髪色をしている腑抜けにしか見えなくなり、小松菜奈は凡庸に。その落ち方こそ描きたかったと推察できるが、それは私には必要なかった。必要なのかよくわからなかった大友との恋愛に似た何かを経て舞い戻って獲得した賞は、何か特筆するところのある映画に見えないつまらなそうな作品で、コウくんの聖性を裏付けるものでは全くない。
加えて、決定的な出来事となる性加害があまりにも雑に扱われ、ただのイベントと消費されてるようにしか見えなかった。
不都合な真実
WATCHA2.5点
Filmarks2.4点
元副大統領のアル・ゴアが地球温暖化を大きく告発したことで名を残す作品。だが、これはドキュメンタリー映画とはあまり呼びたくない。
内容は2024年を生きる我らにとってはかなり当たり前と言いたいことだし(トランプが地球温暖化は嘘とか言ってるから、いまだに重要なことを伝えているのは間違いないが)、内容がほぼプレゼンテーションなので映画というメディアを活かすことをまったく考えていない。申し訳程度にアル・ゴアの息子や姉のエピソードがぶち込まれるが、別に地球温暖化と何の関係もないのでブッシュに負けた次の大統領選にむけた親しみアピールなんだろうな、ぐらいの冷めた視線である。
繰り返すが、気候変動を疑っているからの点数ではなく、映画としては全く評価できないからであり、地球温暖化を憂慮している心は共にしているし、この映画から20年経とうが多分そんなに世界は大きく変わってないよねっていうのが悲しくはある。
タレンタイム〜優しい歌
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
マレーシアのお国柄を特に把握もしていないのだが、訴えることは読み取れるし普遍的だ。
ある種、宗教の違いで従来なら引き裂かれる2人をメインに置きつつ、群像劇として学校の音楽祭、タレンタイムに臨んでいくみんなを見せていく。
宗教や障害、人種やなんだったら生死(時間)も飛び越えて尊重される個の話ではあるので群像劇であること自体にとても意味があったのだが、その群像劇のセットアップに時間がかかりすぎた印象は否めない。
僕はイエス様が嫌い
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
祈りとは一体なんなんだろうか。世界はまるで思い通りにならない。そんな世界で神に祈って、いったい何が報われるのか、神はいるのだろうか。
スタンダードサイズで描かれる物語は、まるで懺悔室の中のようにも思え、それは神の否定に単に止まらないようにも思えた。
あみこ
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
長野の田舎で、特別なのは自分とアオミくんだけだと思ってた。彼と交わした会話は特別な時間だったはず。
それなのに。それなのにアオミくんはレディオヘッドを聴きそうにない先輩と東京に行ってしまった。どうしてどうして。世界を斜めに見続けていたはずなのに。暴走して世界を斜めで見ることが正しいと思っていたあみこの傾きはどんどん歪に、角度が大きくなっていく。
二ノ宮隆太郎監督『お嬢ちゃん』を思い出したり。
曲がれ!スプーン
WATCHA3.0点
Filmarks3.1点
サマータイムマシンブルースに続く!ヨーロッパ企画上田誠脚本作品!みたいな感じ。でもサマータイムマシンブルースにあった衝動みたいなのが全然無くなってるし、一堂に介すまでが長すぎてそうすると上田誠の持つコメディセンスがかったるく感じてしまう。なんかいい話にしようとしてる感じは本広さんのエッセンスが入ってきているのだろうか。まあ演劇としてはカフェの話だろうから長澤まさみ周りだよなぁ。寺島進のあたりとか本当にいらない。
とはいえ、某動画サイトに転がっていた宇多丸評論コーナーの入りが完全に地雷作品に当たりに行くスタンスであり、そうかこの当時は上田誠が無名で本広さんで危ないぞ!感が出てるのかとちょっと驚き。上田誠だぜ?その人が四畳半神話大系で売れるのが翌年。演劇的アプローチを持ち込んでアニメーションで成功するのは予想外だなぁ
今となっては見る前に地雷とは呼べないよなぁ。ただまあ確かにこの時期のおかげでヨーロッパ企画が自ら映画を作ろうとした時にきちんと舞台とは違う映画にしようとしていると感じる。
最強殺し屋伝説国岡
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
思ったより響かなかったなぁ。
実在の殺し屋に密着したドキュメンタリーという形式をとったフィクションなんだけど、その形式にする理由があまりなかった。実在感もなければ、すごい技量を見せてくれるような展開で編集とかで無理やりすごく見せてるだけなので、それってドキュメンタリーの面白さですかねって感じ。
ポゼッサー
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
変な映画だ…
対象者を誘拐してきてその脳をハッキングして乗り込んで暗殺する稼業。最後は自殺することで意識を自分に戻すことができて、殺したのは身体の方になる完全犯罪。
ところが主人公、どうやら遂行後の自殺が出来なくなってきていて、遂に死ねないまま自我の境界が、という感じ。終わり方としては割と普通なイヤミスに近い感じではあるんだけど、じゃあそれを通して何を描いたのかと考えると、SNSの複数使い的な人格を複数運用するとどんどんしんどくなるよーの方なのか、違う人格を憑依させる演技という話なのか。シンプルに誰が入ってるでしょーか!のギミックで遊んでるだけなら攻殻機動隊の模倣にしかならないのだが。
エマ、愛の罠
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
なんだかよくわからないダンスをするエマと振付師の旦那。旦那の不能もあって養子を取ったけど子が事件を起こしたので、養子縁組のやり直しになって夫婦仲も絶望の状況に。
そこからエマが奔放に、もうなんだこいつってぐらい無茶苦茶やるんだが、実はそれは全部子に会うため、そして消防士の子を妊娠することで家族としてみーんな一緒にいれるぞ!という明るい家族計画のための行動でしたというどんでん返し。奔放で能力のないように見える女性でも、というある種のフェミニズムでもあるのだが。あるのだが。流石に手品を明かすまでの時間を奔放な姿を見て喧嘩して、だけを見せられるとちょっとしんどい。あってないようなものでも縦軸というのは大事。ダンスの種類や消火と着火、みたいなのももうちょっとちゃんと消化して欲しい
シザーハンズ
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
コント・手がハサミの人!
としか思えない導入というか、不法侵入と誘拐から始まるエドワードの居候生活。シットコムのような笑いが入ってないことがおかしいぐらい。
だが、話がだんだんその大喜利からズレていくとむしろ発達に問題を抱えたり、教育を奪われた子供が社会に溶け込もうとする取り組みと、虐待の再生産みたいな構図になる。そういう話の進みの割には、結局元の場所に押し込んだり、彼の個性であるハサミの手を攻撃する道具として用いてしまって終わったりと、明らかな悪人として描かれた人物とティム・バートンが同一視に見えてしまう。
ブレイブハート
WATCHA5.0点
Filmarks4.8点
3時間は長いがその手応えのある見事な作品だった。
中世ヨーロッパが舞台。スコットランドとイングランドの独立紛争で英雄となった男ウォレス。始まりは殺された妻の仇討ちだったはずで、まずは1時間じっくりそこを描いて復讐する男の絶望と斧とかで殴る鈍い痛さ、斬る叫び、みたいな痛覚の分だけ復讐の刃が鈍く光るような。
でもいつしか彼は自由を求めるようになり、貴族の側からスコットランド国王を狙うロバートと互いに影響し合う。もうそこに復讐の焔は灯っていなそうだが、最後はその痛みもまた返ってくる。メルギブソンのお馴染みともいえる十字架の下、彼は聖人となるのだ。
しかしかつてのヨーロッパ舞台だとこれやらグラディエーターやら300だと思うとロバート・エガースのノースマンがそんなに人気ないのも納得するわ。あれも好きなんだが。
ケープ・フィアー
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
恐怖の岬のスコセッシによるリメイク。スコセッシによる、とは書いたがスピルバーグの指揮。
デニーロがヤバいやつをやってるんだけど、恐怖の岬の時より分かりやすい悪いやつ、ヤバいやつとして描かれているし、そこに対して弁護士側も割と過激に反応していて最後はよくある殺人鬼になってしまった感がある。恐怖の岬はもっと怖かった
ヘカテ デジタルリマスター版
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
一人相撲。ファムファタル的な話で、アフリカに赴任した男が現地の夫人(といっても彼女も明確に白人)に惚れ込んで勝手に滅んでいく。ここまで勝手に滅んでいるとファムファタルとかそういう次元でも無さそうというか、恋愛というものがどれだけ相互的なものであるか、それが一方向だと達成されないか、だろう。繰り返される濡れ場ごとに、男の側が抱えている感情の変化が見事に表れていた
マルケータ・ラザロヴァー
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
チェコ映画史上最高傑作とも呼ばれる作品。
とにかくモノクロの画面が一瞬一瞬美しくて、すごく壮観で、飲み込んでくるんだけど、飲み込まれすぎて全然話が入ってこなかった。今回のカタカナはちっとも頭に入らない並びだったな。説明の字幕が入ったりするんだけど、ほんとにその説明の通りやってます?な時もあって結構家で見るにはしんどいタイプだった