抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

これぞアニメだ!「鹿の王 ユナと約束の旅」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は鹿の王!これが!愛じゃなければ!何と呼ぶのか!僕は知らなかった!呼べよ!トーキョーの名前を!ただひとつだけ!張り裂けるくらいに!これは馬と鹿のFC東京のチャント!Jリーグ開幕だ!!(基本的にこの1週間そればかり考えている)(映画の時は映画にちゃんと集中しています)

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WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

(以下ネタバレ有)

1.すべてが美麗

 これはもう事実なので、白状いたしますが、本作のアニメーション制作を手掛けているProduction I.Gのことをですね、はっきりと信用していないんですよ。もう主力はwitにいってるし、何よりもサイボーグ009からアニメーションから何から全部が低レベルで、はっきり人生最悪レベル。(なお更に最悪を更新するCOJがあるという)。ということで、シグナル・エムディとIGが共同で作る月末の映画、DEEMOには逆に絶対の不信を持って臨んでいく次第。話はズレましたが、直近でもFGOの映画でがっかりしましたねぇ。

 そんな期待値で、しかも予告編がイマイチな感じに見えるし、なんか他の映画は延期しなかったタイミングでコロナを理由に延期して、本当にコロナ理由ですか?製作上の都合では?みたいな、もうみんな信用してない扱いだったわけです。原作の力を考えたら、東京国際映画祭で上映してしかるべき作品だと思いますし。

 というここまでの戯言をすべて否定・返上・却下・謝罪したいと強く強く申しあげます!アニメーションのレベルで申し上げれば、この時代にこのつぎ込み方出来るんですか!!っていうレベルの凄まじさ。人間の動きも凄いですが、個人的には、冒頭の炭鉱労働のシーンで、荷車を引いている馬の動きが完璧で驚嘆するレベル。これこそ、モノが動く、アニマですよ、これこそ。終わってみれば、エンドロールで、黄瀬さんとかは分かるにしても、安藤・宮地の両監督、メインアニメーターとなっているレジェンド井上俊之さんを始め、そんなに詳しくない方だと自負しているにしても名前が!分かるぞ…というアニメーターさんが多数。納得せざるをえない!粗製濫造、って言ってはダメですけど、深夜アニメの本数が凄いことになり、アニメーションの作り手の質の確保が大変になっていたりする昨今、これだけの人を抑えて、時間をしっかりかければこれだけの映像が作れるんだ、っていう凄さを感じました。あんまり凄すぎて、2回ぐらいあった、絵が動かずにカメラが動くだけ(90度回転が1回とカメラが引くのが1回だったと思う)のところが違和感を覚えちゃうほど。いや、本来ならよくある手法なんですよ、本当は。

 本作の感想としてはどうでもいいですけど、時間がかかっている印象の長濱監督のUZUMAKIもそんな感じになっているといいな、っていう他への期待波及も(UZUMAKIって日本で見れるよね?)。とはいえですね、変わらずIGのことは信じず、毎回裏切ってくれ、と思いながら次も向かおうと思います。最後っ屁な気もするんだよな…。

2.否めぬ尺不足

 アニメーションは素晴らしかったですけど、うん、物語としては絶対的に尺が足りていないっていうのは事実ですよね。2時間で上橋菜穂子の原作を消化するのは厳しかった印象。いや、読んだことないんですけど。ファンタジーだから読んでなかったんですけど、上橋さんは流石に読んでおくべきかしら。

 杏が演じた跡追い(これが後追いではなく跡追いなのもWikiで見て分かった、固有名詞多すぎ)の描写がちょっと足りないように思えるし、鹿の王といいつつ、鹿じゃなくて、飛鹿と書いてピュイカと読むらしいし、っていうか、山犬の方が出番多いし。山犬の神を継がせたい、っていうオーフェンさんサイドの意向は分かるんだけど、素直にヴァンを攫っておけば良かった、っていうか、ユナを持って行く必然性も良く分からなかった。

 コロナ禍に伝染病の話を医学ミステリに近い形で公開したことになるのは、ある意味いい偶然だが、話としては多分、そっちじゃなくて、2つの国・陣営の争いと、その責を負う、っていう話だと思うんですよね。それ含めて、一体何を信じるのか、っていう話。そういう点で、宗教的・呪術的なアカファとツォルは実は同質で、科学=医学で頑張るホッサル先生との対比になっている。皇帝が来る云々で打ち上げられる眼、っていうのが印象的。一方で、ホッサル先生の信じる科学と対比としての自然、っていう描写でもある。Wikiで原作の用語を確認する過程で、明らかに映画と違うとこも見受けられたので、結構大変だったと思うんですけど、それでも収まるようにはしてくれたかな、と思います。多分、自然と科学の対比とかは、ヴァンとユナの疑似親子に焦点を当てる為にかなり減らされてるんだと思いますけどね。そこは上手い再構成というか、今回はそういう映像化ですよね、っていう。まあそれにしたって地味な映画ではあるな、うん。日テレが入ってたのでね、今後金ローで何年かおきに放送されて、ちゃんとみんなが見てくれると嬉しいな、と思う作品でした。