どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
STAND BY ME ドラえもんの続編も発表されたし、オリンピックも迫って大忙しの山崎貴監督の新作です。個人的には好きじゃないし、世間の映画ファンの評価もアレな気がしますが、本作は如何に。
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
(以下ネタバレあり)
1. 素直に感じるルパン映画の難しさ。避けられないカリ城
まあこの映画を見て多くの人が感じるであろうことはまず間違いなく3DCGで傑作と言われる「カリオストロの城」をやってくれ、という発注だったんだろうな、ということだと思います。
明らかなヒーローとしてのルパン、不二子を差し置くヒロイン、放置される仲間たち、銭形との共闘に遺跡がドーンみたいな感じ、鍵が2つで1つとか。大怪盗としてのルパンの側面は殆ど見られなかったといっていいと思います。個人的には、「カリオストロの城」こそがルパン作品の中で異質だと思っているので、そっちで行くの、感はありますがハードボイルドな感じは小池監督がやってくれてるし、まあそれでいいのかもしれません。
結果的に、どこかで見たような平凡な脚本が多い中でも、3DCGの表現は今までの日本映画にはないタイプの表現の仕方で、それを生かそうとして、というか映像表現ありきの試練なんかもありましたが、それはそれで技術の発展を見守る、という過程においてはアリ。手書きで見慣れた警官の山に押しつぶされたところからのパンツだけでスポッと抜けるルパンなんかは比較できることも含めて、いい挑戦だと思います。ただ、個人的にはサンダーバードの皮を被ってちっとも人命救助をしなかった「サンダーバード ARE GO」と非常に似たタイプの絵柄になっているので、ルパンっぽくないルパンを見ている気がしていたのも事実です。
2.山崎印の安定感(悪口)
やっぱりどうしても気になるのが脚本の平凡さ、正直言ってへたくそさですよね。山崎監督はいい加減脚本を人に任せるべきではないでしょうか。
まず、単純にルパン特有の変装やトリック、大脱出などのフリが極めてヘタクソ。重力装置を第1の試練で手に入れたら、役に立ちそうだ、とか言っちゃうし。無言で拾えばいいんですよ、そんなの。だから冒頭の予告状を持ってきた警備員とヒトラーはルパンの変装だとすぐに見ていても気づくし、脱出にも重力装置使うの分かるし、レティシアがブレッソンの孫なんか彼女が登場した瞬間に分かる。引っ張らんでええねん。っていうか、その重力装置!!それだけでめちゃくちゃお宝ですよ。オーバーテクノロジーが凄すぎじゃ…。
そして悪役ですよね。爺さんは結局引き取ったレティシアを庇う形で退場するなら途中の孫に対して突き放すムーブがいささか不自然だし、情緒不安定が過ぎる。
更に、その辺のゴタゴタの時にボーっと立っているゲラルトもなんかおかしい。っていうか、あの2人がレティシアを連れていく動機が無いように感じました。案の定邪魔されてるし。さっさと殺しなさいよ。少なくとも飛行機から放り投げた以降は彼女の命は価値としては軽かったはずでは。
んで、結局ナチスかい、と。ナチスを出せば悪役に出来るから便利ですけどそれ辞めません?ヒトラーの時代に初代のアルセーヌ・ルパンがブレッソンと組んでたっていうけど、著者ルブランはその頃には死んでるよ?いやまあそこは野暮だけどさ。
進行の不自然さは他にもあって、結局ルパンはお宝の中身を知っていたのに遺跡に忍び込んで3つの試練をクリアしたことになる。何したかったの?って話だ。最後に下される結論通りなら彼はそもそも封印する祖父の遺志を継ぐべきだ。
第2の試練は五ェ門に斬鉄剣を捨てさせて、後に捕獲されるフリにしか使われていないし、第3の試練もクリア後のポーズ決めの為にシルクハットと杖をセットしてあるようにしか感じない。封印した側のアルセーヌ・ルパンのシルクハットがあちら側にあるのはおかしいし、っていうかレティシアに託した時点で、考古学の分かる女性には厳しそうな試練を課してる意味も良くわからない。この辺はやっぱり、映像表現と決め絵重視でいったミッション・イン・ポッシブル的な作り方してるのかな、と思わざるを得ないですね。
まあ色々言いましたけど、ルパンを劇場で見れることには感謝だし、私が見たいのはアニメ第5シリーズのようにルパンと仲間たちとの再定義をして、ちゃんと人を殺すシーンを映す義賊じゃないルパンなので、世間的にカリオストロを求めちゃうトコとギャップがあるのは仕方ないのかな、と思います。そういうの見たい人は小池監督の方に行けってことですかね。いずれにしても、音楽大野雄二、次元大介cv小林清志が見れる機会は両手には入らないでしょう。新作のたびにちゃんと見なくては、と改めて思いました。