抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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スタジオポノック顔見世興行「小さな英雄 カニとタマゴと透明人間」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 どっかで宣言した気がしますが、細田守スタジオジブリ、ディズニーから逃げないことにしようかしら、と決意した平成最後の夏。スタジオジブリと向き合うという事は、当然ジブリの後継者と言われる(少なくとも日テレは細田守と合わせて後継者として考えていそうな)スタジオポノックとも向き合うことになるわけです。

 というわけで、金ローでポノックの第1作。メアリと魔女の花をやる前にポノック短編劇場第1弾を見てきました。

ちいさな英雄?カニとタマゴと透明人間?

WATCHAーー

Filmarks3.2点

(以下ネタバレ有り)

 1.カニーニカニーノ

 短編劇場1発目はポノックの看板米林宏昌監督の「カニーニカニーノ」。

 超絶美しく、実写と見まがう水の動きをしている川のカニの兄妹のお話。

 冒頭、擬人化されたトンボが飛び、擬人化されたカニが登場するところで、この世界は擬人化された生き物の世界かな?と思うんですが、魚は超リアルな造形。ルールがいまいち?な感じです。

 お母さんがいなくなったばかりなのに、カニーノを助けた際にお父さんまで激流に飲まれて行方不明に。兄妹で父を探しに行くというお話になります。…あれ?これって探すのと探されるのが逆転しただけの「ファインディング・ニモ」じゃね?あるいはまんま「ファインディング・ドリー」じゃね?

 小さなカニの目線で見ると、いろんな危険が襲ってくる中で無事父と合流し、いななったと思ってたお母さんも産卵しに行ってただけでした、めでたしめでたしってことなのですが。うーん、言うほど冒険もしてないし、探しただけであっさり見つかりすぎだし、目線をカニにしてっていうのも、月末の公開待ち遠しい「アントマン」の方がわくわくしてた気がする。という感じでしょうか。

 あとは特徴的な部分として、カニは成長度合いを問わず語彙が極めて希薄なこと。「カニーニ」「カニーノ」「とっと」「かっか」しか喋らない。それでもストーリーは終えるシンプルな感じなのと、表情でしっかりと語ってる。擬人化したんだから喋ればいいのに、とか思ってたら最後に「こーんなに」って喋っちゃいました。それで成長を表すならお父さんかお母さんは普通にしゃべってなきゃアカンよ!!

2.サムライエッグ

 タマゴにアレルギーのある少年のお話。

 面白い、といえば面白いのですが、どちらかというと啓蒙かな?という印象。まあ調布市での事件もありましたし、こういうのは大事だとは思います。スタジオの未来を提示するこの短編劇場でやる意味があるのかは謎ですが。っていうか、もう6年経ってるんですね…


www.nikkei.com

 正直そこまで乗れなかった理由としては、この少年がアナフィラキシーの危機にさらされているとはいえ、かなり恵まれているように見えたからでしょうか。運動ができて、担任の先生もある程度理解があり、近所の人ともちゃんと連携が有事のためにとれていて。そして何より、一緒に逆上がりを教える女の子やお弁当を褒めてくれる女の子たちがいて(別に小学生時代を思い出して僻んでなんかないぞ)。

 もう少し、辛い状態の話でも良かったのかなぁという気がします。

 重要なことなので最後に改めて、エピペン大事。

3.透明人間

 前2作と比較して圧倒的に大人向きになった3作目。連れてきた親御さん向けなのかしら。

 透明人間と言いながらも、どちらかと言えば空気より軽い気体で出来たガス人間というのが正しいところでしょうか。自宅で足元にあるおもり、外出する際に持っていく消火器の謎は、消火器を手放して初めてわかりましたが、この際の映像は確かにスペクタクルに溢れていました。

ガス人間第1号

 出色だと感じたのは、顔が殆どわからない中での、パンを食べるシーン。口の周りについたクリームを舐めとっている感じや、口の動きが分かるような顔に着いた雨粒の動き。表情が見えないのに確かに感じるといえました。

 透明人間は体が透明、ということよりも社会的に無視されてしまう存在、という描き方で、そんな人でも人を救ってヒーローになれる、あるいはちゃんと見てくれる人はいる、というメッセージがしっかりと込められていましたし、それは正しいメッセージだとも感じました。服を着ていても見えない存在なのはそういう事でしょう。あと素っ裸で外に出るのはおかしいですもんね。ヒロアカの葉隠ちゃんもビシッと服着てます!本気出したら裸になるらしいですが。

 一方で、消火器のくだりなど含めてしっかり設定を作っていることで、逆に矛盾や疑問が浮き上がることに。彼は透明になって初日でないことは対処から明らかであるのに、コンビニでの自動ドアや会計の落胆は何故なのか、とか。そもそも部屋の契約や就職、免許取得はどうやったのか。まあこの辺は尺との兼ね合いかもしれません。

4.ポノック短編劇場の意義

 今回、私はフリーパス期間だったから良かったのですが、全作品とも短編すぎやしないか、という思いは残りましたね。

 1400円になっているとはいえ、これを劇場公開するのは顔見世興行だとしても少し疑問というか。例えば、看板である米林監督の新作長編に合わせてディズニー/ピクサー作品のように別監督の短編を1つくっつける、とかの方法はとれないのかなぁという気が。

 あるいは、この尺だったら日テレの1クールのアニメでポノック短編劇場をやるとか。毎週2本で2×12で24本も短編公開出来て顔見世興行としては最適では。まあコストに見合うリターンがあるか不明なのは分かりますが。