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抹茶飲んでからマラカス鳴らす

見た映画、読んだ本、見たアニメ。そんな話を中心に。。。

見逃してほしくない!!「堕ちる」

映画感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB) です。ここ数日でみた数本の映画をしたためています。

 今回は、本日シネマート新宿で上映が最終日を迎えたショートフィルム「堕ちる」です。もし、当日に読んだ方は是非劇場で見てほしい!!

 私のこの映画との出会いは、ジェーン・スーさんのTwitterかなにかで昨秋ぐらいにこの映画の存在を知ってから、みたいみたいと思ってたものの、時間が合わずようやっと水曜に見れました。

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WATCHA4.5点

Filmarks4.5点

(以下ネタバレあり)

 1.30分間のスピードと濃密さ

 簡単に言うと、桐生の織物職人×アイドルなんですね。以下概略。

 

 請負仕事メインの職人は、日々の仕事にも精細を欠くようになっていた。そんな中偶然知り合った地下アイドル、めめたんのライブに足を運び、恋に落ちる。なにか自分に出来ないかと、めめたんの新衣装を作り始め、生誕祭でプレゼントする。しかし、その直後めめたんは東京進出。新衣装も職人の下に戻ってきてしまう。精神的支柱を失った職人は衣装をまとって首を吊ろうとするも失敗。エンディングでは、新衣装を着てめめたんと同じ曲を歌うアイドルの姿が。よく見れば、エンドクレジット等でそれが別のアイドルであり、主人公の職人がプロデュースする側に回っていることに気づくのである。。。

 

 30分なので、大きな流れというか、殆どが上記の内容です。なので、とにかく展開が早い。そして、この30分の中にも請負だらけの職人が、めめたんへの愛が原動力とはいえ、クリエイターへとランクアップしていく物語という側面も持っています。故に、大変に濃密。体感時間もあっという間でした。 

2.演技と音楽

 主演の中村まことさんは、劇中においてセリフが殆どありません。しかし、それ以外の演技は実に雄弁でめめたんに堕ちていく様子が手に取るようにわかります。だからこそ、ほぼ唯一のセリフがさらに素晴らしい…感情の発露が完成されていました。

 アイドル・めめたんを演じられたアイドルグループLuce Twinkle Wink☆の錦織めぐみさんもまた、素晴らしかった。ローカルアイドルっぽさと、しかし確実に桐生の床屋に馴染まないスター性は持つところをうまく表現されていました。職人に「ナイショだよ」って耳打ちしていたところは、最高でしたね。

 また、セリフが殆ど存在しないために重要なのがBGM含め音楽です。めめたんの新曲として何度もループする「wonderland」は中毒性抜群。全体的に明るい音楽が多く、効果的に使われていました。このあたりは、観た日のトークショーのゲストだった音楽担当の前口渉さんがお話しされていました。

3.彷徨う忠誠心の物語

 作家の佐々木俊尚 さんが、別日のトークショーでこの映画を「宗教映画」と評されたそうです。まさしく、言い得て妙だと思いました。

 というのも、私はこの映画を忠誠心の物語だととらえたからです。

 冒頭、本来自分の技術に矜持を持っているはずの職人の仕事ぶりに陰りが見られ、どこか心ここにあらず、といったところでした。そこでめめたんとの邂逅です。めめたんは、彼にとって恋に落ちた対象であったかもしれませんが、それ以上に生きる上で失っていた目標、信じる対象として適していたのでしょう。どんどんと生活を支配されていく職人、つまりどんどんと忠誠心を捧げていくのです。

 忠誠心の物語としての真骨頂は、エンディングで明らかになります。自らが忠誠を捧げためめたんがいなくなり、殉教一歩手前までいき、信仰対象を失った職人は自ら崇拝する対象の偶像(=idol)を創造してしまいました。神は死んだ、から神を作り出してしまったわけですね。アイドルという言葉は、英語で偶像を意味し、すなわちそれは崇拝される虚像です。自らが日常において捧げうる何かを失いかけていた男が、新たに偶像を得て、失い、そして創造してしまった、そういう物語だったのです。

 ということは、この物語は決してアイドルオタクだけに刺さる話に留まりません。あらゆる収集癖を含む全てのジャンルのオタクに起こりうる悲劇であり、刺さる話なんだと思います。

 この映画は、監督自身が映画館に営業をかけて放映してもらっているようです。ですから、見る機会は限られているでしょう。もし機会があれば、是非、是非、見逃してほしくない映画です。見る人全員に多種多様な形で刺さることを請け合います。

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