抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

らしさ「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 さー定点観測。どうしたって歴代作品を完全に見ていない弱点分野のテレ朝チームです。今年のテーマはインド!シンガポールに行くのにかなりな辣腕を振るった名探偵と違って合法的に移動していました。当たり前。

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WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有)

 

 

 とにかくこの2年間が最低だったので、そこから持ち直しただけで祝砲を打ちたくなる。本当に良かった。

 テーマがインドということ、ダンサーズと言っていたんだからミュージカル調になることは想定していたが、思ったよりは踊ったなーという印象。踊ってる時間は暇になるタイプの映画好きなので、そこは少ししんどかった。とはいえ、まずファンタジー世界的なものを見せた上でそれを演劇×ダンスの出し物としてしんちゃんたちが練習してインド行きを勝ち取るまでの爆速の導入は素晴らしいものがあったし、幼稚園児がこれをやってると思うと当事者なら感動するどころの騒ぎではないな、と。この段階でかなりボーちゃんのテンションを上げておいてるので、映画全体を通じていつものボーちゃんじゃない感じも許せるライン設定もよく出来ていた。

 ボーちゃんが特殊な紙を鼻に詰めてパワーを獲得し、飲み込まれていく過程において鼻水という象徴を失う。その上で、いつものボーちゃんはもっと優しくて鼻水があって、と取り戻す、ということにチャレンジが向かうところで、ボーちゃんの何を知っているのか、知っている人間像を押し付けて本当にいいのか、という問いが立ち上がり、結果としてどんなボーちゃんであってもボーちゃんと遊びたい、という幼稚園児なりの「ありのままの」的な帰結をきちんと見せるし、そういう風に言ってくれる友達のいない人はどうすんだよ!という捻くれた人に向けても何故かバディになってる組長と通訳によって配慮をしてくれる全方位型の外交に成功した。ボーちゃん自体も力を得て欲望に突き動かされる当初は、しんちゃんが頼んだナンがチャパティになってしまってる、友達がせっかくのインドで嫌な思いをして欲しく無い、あれ、カレーは?という暴走なので株は下がらないのも良いし、しれっとひろしはナンを再注文出来てるのも良かった。キャラの株を下げずに事態を動かすことに成功してる。

 最終的にどんなボーちゃんでもいい、というゴールと、そうは言っても鼻から紙を引っこ抜く=元に戻すという行為のちぐはぐさはあるのがむず痒いところではあるが、ここから目を逸らせるのうなチャパティの巨大化は、全然関係ない巨大ロボが出てくるよりもクレしんのギャグとして納得度は高かったと思う。マサオくんが例によって酷い目に遭うのもコナンくんのなぞなぞとちがって形骸化してないレベルで好感が持てる。どっちかっていうと、そのあとが問題というか、アベンジャーズよろしく打ち上げで終わる訳で。基本的に打ち上げで終わる映画は最高なものが多いのだが、ボーちゃんの欲望としては、インドでみんなで踊って楽しい思い出を作る、だったので改めてみんなでインドで演目をやる(それが決着の舞台の川原でもいいからさ)ことをゴールにして欲しかったかな、とは思うよね。チャパティの上で引っこ抜くために踊る、は足りて無いと思う

 小ネタの話としては森川智之ネタとしてトップガンを全力でやる、鳥だ、飛行機だ、のスーパーマンネタを入れるのはちょっと邪魔な気はしたが、まあ仕方ない。通訳の名前がウッフンアッハンだったり、山寺宏一速水奨の刑事コンビの名前ギャグ及び扱い方なんかはすごくちょうどいいラインだったと思う。ケツに挟むギャグ、昔ならお尻を出して直接挟んでそうな違う穴の話なのに、服の上からだからなんとかなるという新時代のクレしん理論は大変気に入った。表現のアップデートとはまさしくこれよ…これなのか?まあよく分からんがいい気分ではある

 改めて、本筋に戻るとかなり丁寧というか、馬鹿正直な話であり、ボーちゃんがこのインドでの発表会を楽しみにして思い出を作ろうとしていること、そしてしんのすけのボーちゃんの絡みが増え、露骨にキーになりそうな二つに割れた石を持ち合うのなんかを見せておいて案の定それでチャンスを得るあたり、ベッタベタといえばそうである。天カスで風間くんを見事に扱ったことも含めて、そこの模倣というか、2匹目のどじょう感は否めない。結局、大人が泣ける的な方向のクレしん映画らしさ、みたいなもんに縛られているようにも思える。でもこの低迷し切った2年を考えるとそれでも全然上手にやってくれて大変感謝である。まだ若干のふらつきはあるとはいえ、君は生きてていい、じゃないよな、一緒に遊ぼうの方がいいとは思うんだ。