抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

今年は全部乗せ「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 さあ毎年お馴染みのクレヨンしんちゃんの季節になりました。ドラえもんもコナンもクレしんもある春、やっと帰ってきましたね。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

 

1.入り口と出口が全然違う驚きのスペクタクル!

 いやーすっごい不思議な作品でした。でもその不思議さがクレしんっぽさだよな、とも思いつつ。前作の天カスが本当に素晴らしかったので、ついつい比較して低めに考えてしまいますが、十分に本作も及第点。

 振り返りましょう。OP終わって、いきなりの「5年前」しんのすけ誕生。そっから今度は忍者の里の金の玉シーン。どうやってリンクするのか分からないこの2つの描写、しんのすけが取り違えられていて、その相手は忍者の跡取りだ、なんていうことになるのでうーんお見事。ここから、川栄李奈演じる忍者ママ(名前呼ばれてたっけ?)の連れてきた医者が傀儡だと発覚する襲撃シーンの一連の手際の良さで、アクションとしても面白く、まあ当然NARUTOカンクロウを思い出したりしながら、自然に両家族の子どもを入れ替えることに成功するわけでございます。

 うまいな、と思うのが本当に野原しんのすけは、みさえとひろしの長男ではないのではないか?という観客側への揺さぶりは、嘘であることがある程度予見できるように最初のシーンで作ってあり、野原夫妻もまた、例えそうであってもしんのすけと過ごした5年という日時は変わらない、と家族であることに疑義を呈さないので、余計な昼ドラ展開はナシ!観客にとっても、結局どっちなん?をあんまり考えずに進めることができる(逆に言うと、子どもを入れ替えるためだけの設定にも感じる人がいるやもしれん)

 まあでもそんな具合で、この忍者の里の長老が露悪的にもほどがある!っていう悪い人なので、こいつを倒すんだろうな、と思いつつ、まーた例によってくだらない刺客なんかが出てきても笑って見ていたら、まさかのそっち方面のさらに極限、忍術を飛び越えて大怪獣ものになるという衝撃展開。忍者の里にある地球のへそを抑える金の玉が外れて、ニントルが溢れ出てさあ大変、という事態の解決に、傀儡の応用として巨大ロボが登場し、簡易パシフィックリム、更には球を元に戻す為に、カスカベ防衛隊がもののけの術を使いこなして協力プレイで巨大化した動物(なおカザマくんは巨大ミニブタというギャグもついている)が玉転がしをするのが大オチっていう凄まじさ。子ども取り違えた話のオチが特撮的になるなんて誰が想像しただろうか。

 うんまあ、よく考えたら野原一家中心もカスカベ防衛隊メインも、くだらないギャグも特撮ロボ化するのも全部今までやってるんですけどね。うん、全部乗せですよ。まあ30周年記念だしね、パーっとやろうぜ!ってことですよ

2.現代テーマぶっこみ祭り

 ストーリー的にもびっくりですが、ここにもう現代的なテーマを盛り込みまくり。

 分かりやすいところでは、子どもの可能性。クレヨンしんちゃん、という題材でしんちゃん凄い、をやる以上、これは必須ではありますが、しかし例年以上に子どもの可能性っていうものを重視していて、ただのガキだと思うなよ、だったり、やればできる、をしっかり描いていました。それと逆のことではありますが、やればできる、でもできなくてもいい。もしっかり描いていて。忍びの里、っていう家制度が強く残ってしまったような場所で抑制的に育てられてしまった珍蔵くんに対する無償の愛を描いて、家制度はクソだけど、家族っていうもの自体は素敵でいられる、というメッセージを送り出してくれました。家族っていうのは呪いでもあるじゃん、っていうのは持論ですが、クレしんはそういう場所じゃなく描くシリーズですからね。

 あとはどうしても際立っていたのは女性の連帯。これはある意味家制度的なものへのカウンターでもあったとは思いますが、始めに巨大ロボでパシリムするのは、忍者ママとみさえで、物語的にも、2人の母っていう存在を対比させながら進んでいたし、いい加減守銭奴極まった長老をボコしてたらい流しにするのも、敵のNo2の女性キャラ。爆発してポイした後、みさえとのハイタッチがあったのがとても印象的でした。

 

 とまあ、色々思っていたんですが、最後に持って行かれてしまいました。来年は「シン次元」だそうです。クレヨンしんちゃんもジャパン・ヒーローユニバース、シンの仲間入り…ではなく、フルCGに移行するってことのようで。うーん心配。