抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

神性と人間性「スーパーマン」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はスーパーマンIMAXはやくいきなさいよ!鬼滅に隙の糸を読まれてるぞ!

 ロゴはいろんなヒーローが映るDCEUのが好きだったなー。そして反省する。今回のスーパーマンよりバカ強いオムニマンさんの息子さんこと、インビンシブルのシーズン3を放置していることに…。インビンシブルも傑作なので是非見てください。っていうかジェームズ・ガンのアングラ感をスーパーマンに期待してる人はインビンシブルの方が合うかもしれません。

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WATCHA4.0点

Filmakrs4.1点

(以下ネタバレ有)

 徹頭徹尾スーパーマンの話。3世紀前にメタヒューマンが現れたよ、から文字で説明して3分前にボッコボッコにされました、で北極の秘密基地の説明をすーっと済ませておき、太陽で回復することと、カル=エルとして彼が人類を救う活動をしていたことを示す。この2点を完全に済ませておいたことで、これから先、スーパーマンが辛い時は暗く、これから回復して明るい未来が待ってる瞬間に太陽の光がさすことが合理的になり、必然、スーパーマンに後光がさし、倒れそうな建物を支えて車を逃した後の砂埃からのショットがただ昼間なはずなのに神々しさが生まれる。スーパーマンの第1作であのショットを撮れたら勝ちである。また、カル=エルとしての自分を示し、そのカル=エルは地球を侵略してクリプトン人を繁栄させるためのものである、というメッセージが語られたことでクラーク・ケントとしての自分を選択し、スーパーマンとしてのアイデンティティを確立するという、オリジンはすっ飛ばしているようでオリジンをやっているという大変よくできた構成だった(GotG2み)。だから、クラーク・ケントを知っている人はみんな(グリーン・ランタンだって!)スーパーマンを信じるし、スーパーマンしか知らない人はほとんどが異星人としてカル=エルとして見ることになる。そして、自分の存在意義について言葉を持たないクローンであるウルトラマンは負ける。自分がどう見られるか、が簡単に左右されてしまう現代においてどう見られるかをうまくやることも大切だし、それをグリーン・ランタンはよくやってるというか、コイツらのバックにいる会社がよくやってる。レックス・ルーサー含めて、この世界のDCの連中は頭脳派が多いね。

 どう生まれたかではなく、どう生きるのか、という選択という意味では彼女が原作で属するオーソリティが映画化することも発表されてることだし、エンジニアにも出番はまだありそう。ジャスティス・ギャングの連中も実によく、グリーン・ランタンの何代目だかのガイ・ガードナーはやな奴だけど誇りを持ってヒーローをしていることをキャラで見せれているし、生真面目なMr.テリフィックも良い。クリプトナイト要員として準備されたメタモルフォも、どう用意されたかではなくどう生きるのか、でスーパーマンを助けることを選んだわけで。

 逆にどう生きるか、についてスーパーマンを排斥し、殺すために生きると決め、徹底してその動機は嫉妬であったレックス・ルーサーもまたよかった。ニコラス・ホルトさんクラスの俳優を起用する意味もあるし、どうせこいつまたロクでもないことをしでかすのだから楽しみではある。ちゃんとヒーローだったスーパーマンに対して、ちゃんとヴィランだったレックス・ルーサー。それでいて、スーパーマンを殺しかけてガッツポーズしたり喜ぶ連中が技術部門にあんだけいるってのもね、排外主義とかその辺のことを思い出しますな。結果的にスーパーマンに秘密のハーレムとかけしかけてたとはいえ、明らかに現代のレックス・ルーサー的振る舞いのイーロン・マスクがその劣化の模倣にしか見えない。勿論、現実が超えていっている部分としてはイスラエルによるガザ侵攻を完全に否定する話というか、どう見てもネタニヤフとトランプの悪魔合体みたいな大統領で、ハリウッドど真ん中でこれを逃げ切れたというのは大したものである。

 不満としてはまあ、ロイスのインタビューに対して正確な応答は結局出来てねえよな、っていうのは思う。国境での事変に対して、主権国家と同等の武力を持つかもしれない人間が(大統領の許可がいるのかは確かに疑問ではあるのが)介入することの是非は、死にかけている人がいるんだぞ!の叫び一本勝負だったのはもうちょっと欲しい。人の命を助けることこそヒーローだし、その描写がてんこもりの本作はとても好きではあるのだが、最後にもうひと演説してほしかった。勿論、ロイスはロイスでデイリー・プラネットの面々とメディアとしてスーパーマンにインタビューした導入と同じようにメディアとして戦うことを選びメディアとして勝利した訳なのでそれでいいとも思えるが、でも最後もインタビューやっぱ欲しかったかなー。と書いてきたが、政治には関わらねえ!とガイ・ガードナーが明言してたのにジャスティス・ギャングがあそこに行ってるから答えてるともいえるのかもしれない、もにょもにょ…。でも演説欲しい…でもこのこのもにょもにょに中指立ててくるガイ・ガードナーなら好き…矛盾…。

 まああとはスーパーマンを求めたコールに対してやってきたのがジャスティス・ギャングの連中で、彼らは彼らで良かったけどどうせならシャザムの時みたいにポスクレで会わせてあげて欲しかった、とは思う。クリプトを迎えにスーパーガールが来たんだから、クリプトと宇宙から地球見るのはブレるって。クリプトは可愛いけども。

 ジェームズ・ガンはスーパーマンという一丁目一番地を描くにあたって逃げずに悪ノリしなかったことを大いに褒めたい。不謹慎ギャグはほとんどなく(犬イジメたからレックス・ルーサーがクリプトにボコられてるのはしゃーない)、スーパーマン自体をいじることはなかったが、愛情を感じる確かな扱い方。ピースメイカーならイジってヨシ!真面目な顔して出てきてアメリカ政府代表みたいな顔してたフランク・グリロ演じるリック・フラッグSr.もクリーチャー・コマンドーズでは護衛に行ったはずの王国の姫とヤリ放題してたロクでもないやつだし、そのチームのメンツメタヒューマンが、とかそういうレベルでもないぞ、と。ジェームズ・ガンが腑抜けになったと思った人は見てください。やっていいとこでやってます。ピースメイカーの続編でどんな顔してピースメイカーを殺しに来るのか楽しみにしておこう(マルチバースのピースメイカーにやられたりしそう)。あ、クリーチャー・コマンドーズといえば、ポコリスタンという小国で起きたとはいえだいぶ大事だった気がするけどなんで他のヒーロー使わへんねん、にも一定の解答を出しましたね。足りるか!みんな忙しかったり選ばなきゃならんのじゃ!という。キャプテン・マーベルさんはその範囲が銀河中だし、インフィニティ・ウォーに来なかったことをもう責めるのはやめてあげたいと思います。キングピンが市長になってることに反応できないかもしれないピーター・パーカーさんは知りません、流石になんかして欲しいです。