抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

未到達「BLOODY ESCAPE-地獄の逃走劇-」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は谷口悟朗監督最新作。FILM REDの次がこれとは。一体どうなりたいんだろう。これも12月のうちに見た映画。

 そして12月の途中から続いた毎日更新年末年始モードは本日で終了予定です。

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WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

(以下ネタバレ有)

1.エスタブライフとの接続として

 本作は知らない間にタイトルが変わっていてびっくりしたような作品であり、予告PVを見て知っているキャラクターがいてびっくりしたような作品なんですよ。フジテレビがテレビアニメ、劇場アニメ、ゲームとマルチメディア展開を同時発表した作品であり、大々的に打って出ている訳です。そう、それが『エスタブライフ』。

 舞台として東京が各々のクラスタとして都市国家化といいますか、相互の往来を禁止されて各々の街で生きづらくなってしまった人たちを違うクラスタに逃がす「逃がし屋」の物語だったのがテレビアニメ。それぞれのクラスタによって異なる特性を描きつつ、最後にはシステムそれ自体を逃がす、という結構なことに取り組んでいたことは覚えています。決してベストアニメ!みたいな作品では無かったものの、悪い作品ではなかったはず。

 翻って本作。劇場版において主人公は完全に交代。サイボーグ吸血鬼と新宿クラスタの便利屋およびその妹に主人公は設定され、敵キャラは吸血鬼たちによる新興カルト教団に。新宿クラスタからの逃走を助けるために逃がし屋は登場しますが、やたらキャラの立った脇役、というポジションになりました。この辺は主演だった嶺内ともみさんの廃業に伴う交代とかの影響もあるのかもしれませんし、ないのかもしれません。少なくとも、交代していたことに気づくほどの出番は無かったと思います。

 新宿クラスタの荒廃した様子っていうのが劇中で何度も強調されて、全世界に繋がる横浜クラスタというものがあるらしいぞ、という都市伝説としてゴールが設定されています。ゴール自体はそれでいい(まあレールが敷いてある時点で都市伝説ほど幻の存在でない気もした)が、新宿クラスタ自体はアニメシリーズでも描いていたはず。しかも、今回第三勢力として出てくる関八州連合会のボスを逃がしているはず。なんていうか、どうせ劇場版でつぶさに描くならまだ描いていないクラスタの特色を掘ってほしかったというのが正直なところ。あとどうしても覚えていないんですが、三木眞一郎のキャラってあんなに喋ってましたっけ?犬の鳴き声しか喋れなかった気もするし、最終回辺りで喋ったような気もする…。あ、速水さんはいいですよ、楽しそうだったんで!

2.単体作品として

 まあほら、エスタブライフの続編としては足りなくても単体で傑作!っていうのはいくらでもあるじゃないですか。そこの評価が大事ですよ。ええ。

 という意味でもビミョーかな、正直。割とクドクド説明しているのがかったるいし、群像劇的と言えば言葉はいいですが視点が散りすぎて今何の話をしているのかが流石に分かりづらかった印象。最終的には勿論一カ所に収束していくんですが。結果的に描いているのは新宿クラスタと、カルト教団本拠地と、クラスタの間の荒野であり、荒野のパート(含む鉄道シーン)は絵変わりしないので持っている世界のポテンシャルを活かしきれていない。

 あとはどうしたって詰め込みすぎですよね。そも、主人公がサイボーグで義足の後天的な吸血鬼というだけで話がややこしそうなのに、そこにもはや警察さえ配下に収めているヤクザたち、四天王みたいな人たちがいるカルト教団と100分切っている尺に収めるには流石に多すぎる。冒頭のシーンは主人公の強さを示す為に必要なのは分かりましたが、流石にラストにタイマンかます予定があるんだったらそこまでの配下との戦闘の尺が長すぎるような。