どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
オンライン試写に当選しました。エウレカです。
…焦りました。公開日迄まだあると思ってシリーズ全然見終わっていなかったので!!なんとかテレビアニメシリーズとハイエボリューションシリーズ2作品を鑑賞して臨みました。
エヴァンゲリオンの時並みに緊張はしています。浅い人間の戯言をどうかお許しを。
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
(以下ネタバレ有)
1.多様なジャンルムービー
前作、ANEMONEから10年が経過した地球が舞台となる本作。あんなことやっておいて10年後にするのもえげつないな、と思いますが、ホランドたちテレビシリーズの人間がグリーン・アース、アネモネたち現実世界にいた人間をブルー・アースと表記し、共存を図っています。また、冒頭15分程度の公開で既に分かっていることですが、ニルヴァーシュはシルバー・ボックスである赤色生命体と共にキビシスとして宇宙に打ち上げられています。設定を詰め込むったらないね。10年のうちに、アネモネは何とかっていう隊(固有名詞多すぎて覚えられないです、ごめんなさい)の隊長になって、エウレカもそこで一緒に戦い、鋼鉄の魔女、なんて呼ばれている。
で、アイリスちゃん一家を巡る強奪作戦なんかがあって、一通りホランドvsエウレカをやって冒頭映像のところまでは終了。こっから先はホランドはしばし蚊帳の外。彼の兄であり、知らぬ間にグリーン・アースの高官になっていたデューイ・ノヴァクによる反乱が描かれます。この反乱において、人型コーラリアンであるアイリスは重要な存在。なので、まずは彼女をマクガフィン的に扱う争奪戦の様相を呈する。彼女を助ける為に、エウレカは地球で彼女と2人きりでオーストリアのグラーツからドイツのミュンヘンまでを過ごすことになるが、貸金庫に預けてあった緊急時用の資金やパスポート、みたいなスパイ映画の鉄則をやりながらも、道中は完全にロードムービーとしてアイリスとエウレカの交流を見せてく訳ですね。今年のヒロアカ映画とか、イーストウッドの『パーフェクト・ワールド』的な。
勿論、本来の色であるロボットアニメとしてもしっかりやっていて、デザインがイマイチな気はしますが、新月光号とか出てくるし、ラブレスなる新規登場個体の6人は宇宙で合体迄してくれました。合体それ即ちロマン。
そういうことをやりつつ、都度都度襲ってくるデューイを計5度撃退するわけですが、しれっと溶鉱炉にぶち込んでたりと色んな映画へのオマージュが入っている感じはありますね。変電所にぶち込んで殺すのはサイボーグ007で見た気がするんですけど、それじゃなさそうだしな…。
とここまでやりたい放題されると、エウレカセブンをエウレカセブンたらしめてるものって何だろうな、の問いは当然立ち上がると思います。それはAMEMONEを見た時にも立ち上がった問いでしょうし、シンエヴァの農業パートでも思ったことかもしれません。シリーズが長く続くと、そのジャンルやテーマ、作品自体への問い直しと原理化或いは超拡大が進むのかもしれません。
2.脱構築的なANEMONEがあってのSF
じゃあ、なんでデューイは反乱したのか、っていうのでエウレカセブン本編では、スカブコーラルを殲滅して人類を守ろうとしていた、っていう理解なのですが、今回はもっとSF的と申しましょうか、哲学的と申しましょうか、そういう動機。それを理解するには、前作ANEMONEが必須。前作でエウレカは、レントンが死んでしまった後の世界で生きることに耐えられず、じゃあ私の力の許す限り世界を生み出し続けてレントンが生きる世界線を探し当てるわ、なんてことを仕出かしたのにアネモネによってそのループ(?ともちがう気もするが)から抜け出す、っていう経緯でした。
で、そのエウレカの作り出した世界の人たちが本作ではグリーン・アースな訳ですが、その結果として彼らは被創造物としての存在になってしまい、じゃあエウレカを憎む気持ちやレントンを愛した気持ち、そういうのは本物なのか、エウレカによって作られたものなのか?みたいな疑問が出てくる人たちが出てきた。そういう人たちの先頭に立ったのがデューイで、デューイは自ら死を選択する(というか全人類巻き添えで自殺する)ことで、自分たちがエウレカの創造物であることから脱しようとした、というダイナミック自殺だった訳です。
だから、デューイは自ら「台本」「世界観設定」みたいな言葉を口にして、演者としての自分と、自我との差別化を図ったりしていました。なんていうか、ANEMONEの顛末も含めて、すっごいスタァライトっぽいし、あとちょっと「エターナルズ」の匂いもしてきます。してきません?あとは「マトリックス」かな?
まあとにかく、そういう超次元における自己概念、みたいなところに問答を持ってきておいて、それでも戦う理由にみんなと生きてきた時間を守る、っていう答えの出し方は結構ストレートで、且つエウレカセブン的な答えだと思うし、あっさりエウレカに負けたホランドにも、社長出勤にも程があるレントンにも、エウレカになる決心をしたアイリスにも、みんなにしっかり答えが準備されていたと思います。なんていうんだろ、万全にバンザイじゃないんだけど、しかし!その試みを否と言えない!みたいな感じというか。自由意志で特攻して地球を守ろうとする、それもまたデューイと一緒な訳だけど、そこに対して愛と再会の文脈から自己犠牲するのしないのの対立から止揚してるかな、と感じるんです。(最後の解釈がイマイチ、ピンときていないのでこういう言い方であってるかは分からん。多分アイリスが夢の中からレントンを引っ張り出して再会→幸せだった、でさっきの特攻全部無かったことにした、と理解しているんですが、オンライン試写で見たから、誰の意見も聞けないからわかんない…)
3.すっごく2021年的な映画だった
先ほど「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」や「エターナルズ」なんかの話も出しましたが、うん、確かにこれは2021年のトレンドを全部掬ったような映画になっていたな、と2021年が終わりもしないうちから強く感じます。(忘れてたけどマトリックスも今年やるんだったな…)
まあそう思っちゃうのも、間違いなくこの映画(というかシリーズ)が念頭に置いているだろう2作品の影響もつよーく感じるからですよね。エヴァンゲリオンとガンダムです。2021年は「シン・エヴァンゲリオン」と「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」が公開された、という年でもあります。いやまあね、探せばその2本が同時に公開されてる年なんて普通にあるんでしょうけどさ、色んなメディアで展開してきたものをある種少しメタ的になってまで総括したロボットアニメ、という点ではシンエヴァに被らない、って思う方が無理あるし、冒頭の赤色生命体に挑んでいるニルヴァーシュを初めとして、これエヴァっぽいね、なんてシーンは山ほどありました。ハサウェイにも特徴的だった宇宙との行き来、みたいなのや、初代ガンダム感のある人類同士の戦いみたいな雰囲気も。(まあこっちはこじつけ感がありますね、ごめんなさい)
まあですね、そこの作品たちと比較すると、ちょっと作画怪しい…?みたいなシーンもあったり、エウレカという作品自体にもともとそういう感じがありますが、それにしたってアイリスの顔の崩し方が崩しすぎでは?感もありましたし。まあいずれにしてもですね、こう令和の時代になっていっぱい色んなコンテンツが総括されて行っている中で、本シリーズにも無事に総括がなされたな、っていう感じがございました。