抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

春のSPドラマ群感想。「大女優殺人事件」「がん消滅の罠」「黒井戸殺し」

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 この春はスペシャルドラマでミステリが多かった印象です。っていうか、連ドラもミステリばっかり。食指を動かされたものがないので結局孤独のグルメしか見てないわけですが。いずれにしても、クリスティの名作リメイクなど、今後クイーンや横溝正史などのリメイクにも期待が高まります。

(以下ネタバレ有り)

 1.大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~

2018年3月25日放送

 以前見たそして誰もいなくなったの刑事が続投ということで。2夜連続なのに気づかなくて前日の方は見逃しました…

tea-rwb.hatenablog.com

 今回のドラマ群で唯一原作未読です。

 そこまでぴんと来なかった印象ですね。まずタイトルがあまり宜しくない。大女優が殺されないのに大女優殺人事件だったら、そら犯人は大女優ですよね…。せっかくミスリードも仕込んでるのに勿体ないように感じました。まあミスリードにしても、海堂のことをあまりにも連呼しすぎでイラっとしましたが。

 不思議なのは2点。計画殺人である程度あたりをつけて薬まで準備してきたのに、流産の理由が判明した瞬間に「鏡が横に割れたような」表情をするでしょうか。そこまでそこで驚いて、それで足がついてるのに女優なんて笑わせないで、という気がします。

 あともう1点は海堂が院殿の死体に握られたスポーツ紙の紙片を見つけて脅迫状のことを察したようだが、脅迫状のことをいつ知ったか?が疑問です。流し見だったから気づかなかったのでしょうか。

  調べれば、もともとはミス・マープルの作品という。前作そして誰もいなくなったのように探偵がいない作品をアレンジしたならともかく、マープルを無理やり日本の警察に代えるのは微妙かもしれませんね。

2.がん消滅の罠 完全寛解の謎

ドラマ特別企画「がん消滅の罠?完全寛解の謎?」

 放送に合わせて読んだ原作本の感想は以下に。 

tea-rwb.hatenablog.com

 原作から大量の改変を行い、病院内人事、殺人事件、警察に追われる主人公、パートナーの妊娠とガンという大規模な要素をぶちこんできました。圧倒的な原作力を持っているだけにこれだけでゲンナリしてしまいますが、まあそこには目をつぶってドラマだけで評価します。

 端的に言って最悪に近い評価ですね。

 追加された要素のせいで辻褄が合わないところが多すぎです。病院内人事は疑わしきは罰するの精神で夏目が退職に追い込まれるわけですが、その後のフォローもないのにエンディングで目の前の患者に向き合うだけだ!と言ってますが、あなたはどこで患者を診るつもりなの??となります。

 殺人事件と警察はほぼセットですが、まず結局2人が殺される理由が明示されていないし、その2人の共通項であるとして夏目が疑われますが、同様の理由で湾岸の宇垣医師も捜査線上に浮上してしかるべし。なのに夏目を追いかけた挙句、一日中逃げられ、奥さんの病室に刑事を配置しない痛恨のミス。

 パートナーのがんに関しては、私の感じた違和感・疑問についてこちらのブログが詳しかったのでぜひ。ちなみに、がん細胞の自殺装置のトリガーとなる化合物に関しても、既に完成していたに違いない!という判断だけが信じる根拠で、それをパートナーに投与するとかお前医者かよ、と突っ込みたくなるところ。

keiyouwhite.com

 まあそれらを差し引いても、羽島から夏目に探偵役を代えたので、羽島が意味の分からない理由で西條を恨んでいるだけの人に見えるし、夏目の謎解きも独力でタイミングも尺の都合で自在にできるやり方。解明できたことに必然性がない。

 という感じで、テレビ的においしそうな画が欲しいばっかりに原作をぶち殺してしまった気がします。先日始まったTBSラジオのアフター6ジャンクションがナイター殺しならこちらは見事な原作殺しとでも言えるでしょうか。

3.黒井戸殺し

黒井戸殺し Blu-ray

 三谷脚本のポワロリメイク。数年前のオリエント急行は忙しくて見てません…

 原作は人生でトップクラスに衝撃を受けた作品で、今でも大好きです。

tea-rwb.hatenablog.co

 素晴らしかったのではないでしょうか。同じ3時間でもがん消滅の罠とは比べるべくもない良作でした。

 そもそもテレ朝の2夜連続クリスティも三谷版オリエント急行を受けてだと思いますが、三谷さんに腕が遠く及ばずでは。昭和の日本にアレンジされた設定や謎はしっかりと全て回収され大きな破綻もない。札幌の探偵役が頭に浮かぶ大泉さんがワトソン役ということで、知らない方は疑うことがないと思いますし、かなり驚いたのでは。まあ、どうしても手記の文面で見るわけではないので叙述トリック的な驚き、シェパード医師こと柴医師の書き方の妙は少し失われますが。

 お姉さんと勝呂に振り回される大泉洋、という図式は騙されて困っているどうでしょうの大泉さんを見ているようで納得のキャスティング。ボンクラ役が増えてきた向井理さんや、能天気なコメディエンヌが似合う斉藤由貴さんも輝いていました。