抹茶飲んでからマラカス鳴らす

見た映画、読んだ本、見たアニメ。そんな話を中心に。。。

我々はシャペコと共に。「わがチーム、墜落事故からの復活」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 部屋にいても熱中症寸前の灼熱地獄にやる気を吸い取られポケモンも見に行かないまま7月が終わってしまいそうになっています…

 そんな中年間ベストほぼ確定の作品です。理由は一番泣いたから。サッカー映画はディフェンスが甘くなってますね。(うまいこと言ってやった感) 

わがチーム、墜落事故からの復活 [DVD]

WATCHA5.0点

Filmarks5.0点

(以下ネタバレ有り)

 1.シャペコの栄光と絶望。

 さて、皆さんはシャペコエンセというチームを御存知だろうか。ブラジルの小さな町のチームで、この物語の中心になるチームだ。

 彼らは夢の絶頂で地獄に落ちる。試合に向かった飛行機が墜落してチームの選手、スタッフ、役員もほぼ全滅という憂き目に遭うわけである。希望と絶望はプラマイゼロではない。絶望が全てを塗りつぶした後に希望が僅かに見えるのだ。

 日本に所縁ある選手も多く亡くなった。監督のカイオ・ジュニオール、選手ではケンペスチエゴ、アルトゥール・マイア、クレベール・サンタナが日本で指揮をとり、プレーしたことがあり、事故を免れたモイゼスもアビスパ福岡に所属歴がある。

 個人的にも、クレベール、ケンペスは試合を生観戦してプレーを見ているし、カイオ・ジュニオール率いる神戸との試合も観戦している。それ故にこの事故をかなりショックであり、衝撃的だったことを忘れてはいない。

 そんなシャペコエンセの復活を描いた本作。

 シャペコエンセは街の規模と比較してかなり不利に感じられるブラジルの国内リーグでも1部、州選手権でも優勝、南米のクラブ大会でも決勝に進出するという快進撃を進めていきます。

 冒頭からそんなシャペコの快進撃が繰り広げられ、小さな街が熱狂していく。それと同時に悲劇を知っているスクリーンの前の我々は試合会場のコロンビアに向かう飛行機に乗らないでくれ…と哀願するも、その時が来てしまう。

 それがラミア航空2933便。種々の人災が重ね合わせての墜落事故。選手だけでなく、運営スタッフ、記者、解説者、添乗員と多くの方が命を落としました。まあ詳しくはWikiでも見てください。

 リンク:ラミア航空2933便墜落事故 - Wikipedia

2.復活への光と闇

 この事故を受けて、日本も含めた世界中のサッカーファミリーが連帯を示すと同時に、ブラジルのサッカー界もかなり寛容な姿勢を示し、それだけで感動ものだった当時を思い出します。私も味の素スタジアムシャペコールをしたのを覚えていますし、その翌年にスルガ銀行杯で来日したシャペコを覚えています。スル銀の浦和サポの対応は普段浦和嫌いの私も拍手を送らざるを得ない素敵なものでした。

 シャペコの飛行機に乗らなかった幹部を中心にチームは再始動。わずか数週間で新シーズンのための選手・スタッフ集めから始まり、新シーズンで苦戦していく様子が描かれていきます。あれだけの事故の後でもブラジルのサポーターは勝敗を強く求めるのか、と思うと同時に、それまでの破竹の勢いを知っているからこそ、悔しいんだろうと感じます。この事故前のチームと現在のチームの対比はこの復活を描いた映画においては中心的なテーマであり続けます。

 復活に向けた光は、言ってしまえばチームの存在そのものです。そこにチームがある喜びだけで、我々は光を感じます。毎週末に結果に一喜一憂できることだけでも十分幸せなのです。私自身が経験したわけではありませんが、日本でも横浜フリューゲルスの消滅という悲しい出来事がありました。(21分58秒~日本サッカー史に残る名言です。)

 

  そして世界中からの声援。これもまた光であり、この光を一身に浴びるのが生き残った3選手。しかし、これは諸刃の剣でした。選手として再びプレーしたい一方でクラブの広告塔にされてしまう現実。悩み続ける彼らの姿をこの映画ではしっかりと浮かび上がらせています。そして彼らがプレーできない間にチームは以前と姿を変えてしまいます。新しく就任した監督がそれまでの監督とタイプが違ったせいでしょう。それまでの家族のようなチームから団結力が失われていってしまうわけです。それも仕方ないとは思います。そもそも飛行機に乗れなかった=試合に出れなかったクオリティの選手と寄せ集め集団で、常にファンからは比較され続ける。結果が出なければ空中分解も必死。この辺りは、サッカーファンならだれでもわかるのではないでしょうか。

 それ以外にも光が差したからこそ際立つ闇も。訴訟という結果になってしまいましたが、クラブと遺族の対立です。クラブは時計を進めなくてはならない。黙っていてもシーズンが始まってしまう。しかし、家族の大黒柱や大事な息子を失った遺族の時計の針は進まない、止まったままなのです。そのギャップもまた、しっかりと浮かび上がってくるのと同時に、どっちにも感情移入してしまう。辛いです。

 

 とまあ、色々御託を述べてきたんですけどね、サッカーに限らず、何らかの「私のチーム」がある人にはぜひ見に行ってほしいです。今試合をしているチームが必ずしも明日試合をしているとは限らない。その悲劇がつい最近も起こったのだと。どんなスポーツのファンでも確実に心に刺さるのではないでしょうか。実際、劇場にもシャペコのユニの方だけでなく、セレッソ大阪FC琉球ブラウブリッツ秋田ジェフユナイテッド千葉、そして西武ライオンズのユニフォームの方がいらっしゃいました。スポーツを愛するすべての方に届いてほしいです、絶対泣きます。そしてシャペコエンセのそばにはいつも私たちがいるということを忘れないように。