抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

ベタ踏み「F1®/エフワン」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はブラット・ピット主演。Appleの映画だから映画館いかないと配信で見るのは難儀するかもですよ!

F1 ザ・ムービー

WATCHA5.0点

Filmakrs5.0点

(以下ネタバレ有)

 ああもう上半期ベスト10の記事を作り終えていたのに書き直しだよバカ野郎!!と文句を言いたくなってしまうけど、全然笑顔で書き直してしまうレベルの大好き超絶大傑作でした。全然オールタイムベストに入る可能性を考慮するべきラインの高鳴り方であある。

 過去のブログを探ったところ、新年のご挨拶2024でF1を見始めた、と書いてあるのでF1を見始めたのは2023年途中、ということになります。およそ2年だけ見ている人間がこの映画を見て感動しているのは全くおいしいところを盗み取っているだけでないか、と旧来のモータースポーツファンには怒られるかもしれませんが、この映画の撮影自体も2023年ぐらいのF1でやっているようなので本当にちょうどいい。ドライバーたちも知っている人ばかり。

 ただですよ、そういうバックグラウンドがあろうともクソみたいな作品だったら怒るし、F1の名を背負っている訳ですからね。サッカー映画には怒ってばっかりだし。んで、この映画の話はかつての旧友に誘われてブラッド・ピットがF1に現役復帰して新人ドライバーとのチームで弱小チームを勝利に導くというパワプロメソッドというか、ベッタベタなやつ。そもそもF1が1チームドライバー2人とかも説明ないけどまあわかるっしょ。冒頭でデイトナ24時間耐久で攻めのレースを見せて優勝を勝ち取るシーンを見せているとはいえ、ブラピですよ。還暦超えてる訳ですよ。現在のF1でベテラン扱いされているアロンソ先生で43歳、本作でも重要な存在であるルイス・ハミルトンで40歳。現実問題あり得ない。でもレースに復帰しての最初は生意気な若造とレースして同じチーム同士でクラッシュしたり、わざと接触することで本来時間のかかるタイヤ交換を行うピットインの時間を短縮できるイエローフラッグやレッドフラッグを出して仲間を有利にさせるというかなりダーティな戦術を使う、という方向で活躍することでありえるね、っていう説得力になる。世論からも批判されるし、うん、実際はクラッシュゲート事件っていうのがあってだね、っていうのもあるのでわざと事故るのはダメというかスチュワードに怒られるはずだけど、最後のアブダビGPでの接触の前振りでもありますからね、映画的についていい嘘のラインですよ。ええ。フェルスタッペンもペナポイントで済んだし。

 まあとにかく、ブラピの加入によってチーム全体が明らかに底上げされ、マシンもフロアのアップデートに目的意識とドライバーからのフィードバックも加わってマシンの性能も上がるし、とてもF1レベルとは思えないピットレーンスタッフのミスも無くなっていく(劇中にも出て来るアルファタウリが若干そんなチームだったことは忘れながら…)。JPもブラピも交互にクラッシュによって入院しながら、最後はチームとして団結して優勝をついに手にする、という終わり方にチームの身売りがかかっていてブラピは何のために走るのか、という問いを一貫させているのもまたポイントが高い。彼自身、ガッチガチにルーティンを固めていて恐れながら走っている部分があることが幾度も示されているからこそ、全身を火に包まれたJPのメンタルの強さ、神童の色合いも強くなるし、クライマックスの飛んでるところも感動できる。ハンス・ジマーよ、あそこは本当に無音を期待したのは事実ではあるぞ。

 まあ正直言って、ブラピとストラテジストの恋愛はいらねぇと思ったのですが、コシンスキーはマーヴェリックでもジェニファー・コネリーとの恋愛要素入れてたししゃーないかね。

 さて、さてもさてもF1ですよ。まずは実際のコースをブラピが本当にマシンを走らせたりするFIA全面協力っていうのがたまらない。シルバーストーンハンガロリンク、ラスベガスの市中サーキットに鈴鹿モンツァ。楽しいったらないし、ベルギーのスパ・フランコルシャンとか、DAZNで見ていた時も解説にして今作の字幕監修の中野信治さんが高低差があるサーキットとか言ってたのは聞いてたけど、本当にこんなに登ってるんだ!みたいな発見もある。ブラピたちのチームがルールスレスレをついていることへの質問をされたマクラーレンのトップであるザック・ブラウンとフェラーリのトップのバスールが塩対応しているのも面白いし。ルイス・ハミルトンが全面的に協力していることもあり、彼らのエイペックスのウェアにはメルセデスのマークもある。レッドブルにとっての(当時の)アルファタウリがそうであったような、メルセデスのワークスチームなんだろうな、って思うとJPにメルセデスのトップ、トト・ヴォルフが引き抜きの声をかけているのも納得度合いが高すぎるというか、爆笑ポイントとなりました。結果論、キミ・アントネッリじゃねえか、JP。補足しておくと、アントネッリはこの6月に高校を卒業する年齢の現役F1ドライバーです。そして明らかに影の薄いレッドブル。本来この映画の時期はレッドブル、というかマックス・フェルスタッペンが無双状態のはずなのですが、いいところはハミルトンが持って行ったのも笑えます。そんでお前、フェラーリに移籍してるじゃないか!ちなみに、その影の薄いレッドブルはハンナ・シュミッツという女性の主任ストラテジストを任命しており、普通に映画にとっての売りの部分を既に実践している。レッドブルに現在昇格している日本人F1ドライバーである角田はコースオフしてしまったところで名前が呼ばれたぐらいなのは残念ではありますが、鈴鹿も出てきたし、日本人としても満足でしょう。

 そうそう、F1とハリウッドといえば、映画史的には『グラン・プリ』の話をするべきなのですが私はそんな大層なことは言えないので別のハリウッドスターの話を。レース中にもでてきたエステバン・オコン(現在は移籍)とピエール・ガスリーが在籍しているアルピーヌというチームは、ライアン・レイノルズが株を持っているので昨年も『デッドプール&ウルヴァリン』の宣伝ヘルメットをつけたりしてました。ライアン・レイノルズ、F1チームもサッカーチーム持っている。話が合う…のか?

 ラストのアブダビGPでルクレールを、ハミルトンをチームで躱していく様子にガッツポーズをし、JPの優勝を願ってフェイントをかけたブラピにも、その後のクラッシュでP1となってゾーンに入るブラピにも心を動かされまくって、2年のモータースポーツ観戦歴でご褒美をここまで貰っていいのだろうか、という思いとまーじでサッカー映画でこのクラスが出てきたら絶命する危険がある、とも思いました。