抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2025年1月に見た過去作の記録

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 気づけば月末。でも先月に見た記録を残していません。2月が早すぎるのがいけない。なんといっても1月はApple TV+の無料開放があったのでそこで4作品見ていますな。

 

 

五等分の花嫁*

五等分の花嫁*

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 五つ子から正ヒロインまで選んでおいて何をやるんだと思ったらハワイへの新婚旅行にまとめてついてくる話だった。は?

 まあそれはよくある後日談だと思えばいいのだが、現地で出会った女の子にデートの手ほどきをする話をなぜかセブンシスターズ方式で入れ替わりながらやる意味不明な展開を見せた後、風太郎が提案する個々人の悩みの解決策が全員入れ替わって適材適所でやろう!はもうホラーだった。結婚相手として自分の祖父母に合わせるのまで替え玉しようとしてるの怖すぎて。高校生とかじゃなくて、大卒でだぞ?

 五つ子を相互代替可能と思ってんなら、5人から選ぶみたいなラブコメの前提がひっくり返るよ??

 興行で見てたらブチギレてる…かなぁ

ウォーデン 消えた死刑囚

ウォーデン 消えた死刑囚 [DVD]

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 ジャスト6.5と同じ頃にやってた記憶のあるイラン映画

 取り壊したい刑務所から移送したはずの死刑囚が1人足りない、という話。1人足りないから探せ!の単純なかくれんぼに、本当は冤罪では?の件が絡んでくるんですが冤罪の件に関しては刑務官たちにとっては管轄外なのでは…?と思ってしまうのでなんとも言い難いし、結局そこもしっかり描けてるとは言えないのでなんとも

ブレッド&ローズ

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 タリバンによるアフガニスタンの政権奪取以降、どんどん権利を奪われ押し込まれていく女性たちの戦いの様子を捉えたドキュメンタリー。ノーベル平和賞のマララさんとジェニファー・ローレンスがプロデューサーで入っている。

 タリバンによる女性たちを人間とも思わないような政策には正直意味がわからないのだが、劇中でデモを行う女性たちや取材している記者たち(たとえ男性でも)への迫害は、政府機関を問わず男から行われていて嫌になる。歯科医として看板に名前を出すことを禁じられ、車で音楽をかけるのは違法だと言われ、女がタクシーに一人で乗ってはいけないと言われ、白髪になるまで家に籠ってろと言われる。パン・就労・自由をスローガンに掲げての運動。マララさんも、単に通学していただけで女が教育を受けるとは許せない!と銃撃を受けたわけで、ミソジニーとはまた異なるような気もする女性蔑視の姿に慄然とする

ファンシー・ダンス

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 これはよくできている!

 開幕砂金を探すふてぶてしいったらない顔のリリー・グラッドストーン居留地で暮らす先住民族の彼女は、数週間前に妹が失踪したことで姪を預かっている。彼女の養育権を取り上げられたことで、誘拐する形で旅に出ることになる。

 定番といえば定番のロードムービーになっているが、彼女たちが道を進めることがアメリカの社会と制度に根付く疾患とすら呼びたくなる差別意識を炙り出している。

 クライマックス、姪が母親との再会を願って出席する予定だったダンスが何のために踊られるのか。素晴らしい。

ブリッツ ロンドン大空襲

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 大戦下のロンドンではナチスによる空襲が行われていてこういう被害があったんだな、という学びはある映画。

 ただ、スティーブ・マックィーンなのもあってナチスが悪者というよりは彼らは記号的に焼夷弾を落としていくだけで、国内での黒人差別に絞った印象を受ける。地方へ子どもを疎開させるのだけれど、出掛けに喧嘩しちゃったせいで別れが寂しく、子どもは列車を脱走して家に戻ってこようとするし、母親は母親で戦時下の暮らしと息子を探す。息子が地獄めぐりしながら、なのは分かるんだけどじゃあシアーシャ・ローナンの視点がいちいち邪魔だなぁっていう感じは否めない。地下鉄のとこが水没するのはなかなか良いパニック感だったが、残念ながら日本にとっては特段目新しい描写がなかったように思える。火垂るの墓に勝てるんですかな?っていう。

ウルフズ

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 ジョージ・クルーニーブラッド・ピットによるコメディ。

 スキャンダルになりかねない死亡事件に際して、全てを無かったことにするために呼ばれたのだがダブルブッキング。同じ事件を流儀に反して2人で処理する…という大人のやり合い、かと思ったら、コイツら事態が進むにつれてなんかやれやれだぜ、みたいな顔ばっかしたりしょうもない意地の張り合いをする。完全にオーシャンズのプロ意識を無くしてイチャイチャしているのだ!

 まあでもそんなイチャイチャも悪く無い…と思っていたら死んだと思ってた若僧が生き返ってパンツ一丁で街中をずーっと走り回る。しつこいぐらいに走り回る。

 ジョン・ワッツにしてみれば赤と青のタイツで腕から蜘蛛の糸を出してスイングしてる青年は異常性という点では変わらないのかもしれない。

 まあでも我々は死にかけた青年のパンイチ決死の逃避行(ギャグ)を長時間見たいわけでは無い。従来のジョン・ワッツ作品にあった若年者が中年〜老年に怖い目に遭う、という設定は残りながら、そこの怖さが完全にコメディに振ったことで何とも言えない緩みが生じてた。

ビリーバーズ

ビリーバーズ

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 夢を完全記憶して制する新興宗教。だが、教義は食欲に負けた。そして性欲にも。

 孤島でのプログラムとして磯村勇斗宇野祥平、北村優衣のほぼ3人の芝居な訳だが、洗脳されているんですよ、を示すようなちょっとオーバーなセリフの言い方がきちんと効いているので宇野祥平の開き直りとかが怖く聞こえる上手い演出。生死の境に立った時に食欲を優先して教義がブレ出すと、三大欲求にどんどん負けていく中で、その新興宗教から抜け出せるのかを服を着ているかどうかで示せるという話法もよく出来ている。

ポテトの言い分、ポタトの主張

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 世にも珍しいガーナ映画。Netflixさん、なんでそんなもん取り揃えてるんだ。まあ一応ちゃんと調べたらナイジェリア映画、なりウッドのラインナップとも言えるっぽい。

 別にポテトさんとポタトさんが言い合う話ではなく、離婚を決めた夫婦だが、財産分与的なラインで揉めて、結局同居。互いに意地を張りながら、異性の家政婦を雇って、喧嘩しながらちょっと素直になっては喧嘩してを繰り返す話である。典型的なロマコメみたいな文脈ではある。ただ、その中にもしっかり男女差をコメディ的に強調しながら落とし込むことにも成功してるし、2人の喧嘩も割と見ていられるのだから不思議。

エマニエル夫人

エマニエル夫人(吹替版)木曜洋画劇場版

WATCHA2.5点

Filmarks2.5点

 あの「あのこと」のオードレイ・ディヴァンがリメイクするってなると、流石にオリジナルを見ておこうではないか。→いけませんでした。

 外交官の妻として嘘はいや、秘密は嫌、パリでは浮気はしていない。そしてバンコクに赴任するんだが、機中で致し、現地で致し、男女関係なく寝ていく。官能的、というよりも節操なさすぎてなんなんだろう、みたいな果てに、これが性の本質…みたいなことを老人に習う意味のわからない話だった。なんも落ちてないのに終わったもの。断然のアジア蔑視なんかも含めて、このままやったんだったら全然負け。

 女性の主体性を性においては奔放なことと結びつけて良いのか。

疾風スプリンター

疾風スプリンター [DVD]

WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 自転車レースの映画。

 撮り方がよく、実況の入り方も上手いのでレースシーンはすごくスリリングで良い。交錯の後、カメラに血が飛ぶ、通常ならホラー映画じゃないと許されない演出も今回に関してはアリ(それとは別で怪我したのに続ける、というスポ根仕草は今回は燃えなかった)

 だが、同じチームにいた3人がライバルチームと戦う前半、バラバラになった3人がドーピングや暴力、恋などのさまざまな困難に直面しながら迎えるクライマックスと、流石に詰め込みすぎてひとレースごとの緊張感やそれぞれの議題の重さが足りなさすぎる。これでは結果的に真面目にレースをやってた人たちが可哀想な気がしてくる。

 茄子アンダルシアの夏というギュッとして最高の映画がある以上比較は免れない

アタック・ザ・ガスステーション!

アタック・ザ・ガス・ステーション! [DVD]

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 特に深い理由もなく一度襲ったガソリンスタンドを襲う4人組の若者。どうやら大した労働でもないのに大金を稼げそうと、店員を監禁して自分たちで勝手に満タン入れて料金ふんだくる一夜を過ごす。

 そこで撃退しちゃった相手がギャングになったり、深夜労働させられて出前の中華屋が怒ったりで結局わちゃわちゃしていくコメディ…でいいだろう。どう贔屓目に見てもこれが作られる程度には韓国国内で鬱憤が若年層に溜まっていたと思われるし、同様に若者の軽薄さを思う高齢層もいたはず。

 ただ、京アニの事件の後だとガソリンスタンドでガソリンを雑に扱ってたり、火をつけようと脅すネタはちょっと笑えなかった

アンブレイカブル

アンブレイカブル(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 破れざる者。大規模な電車事故で唯一生存したブルース・ウィリス。ガラスの男サミュエル・L・ジャクソンは、こいつこそ長年追い求めたヒーローだと見込んでくる。

 コミックに描かれていることは事実であり、それをこっそり伝えているのだと信じる彼を陰謀論と笑うのは簡単だが、まんまニック・フューリーがその陰謀論を信じてヤバいことを想像してるようにも思える。ヒーロー映画全盛の前に撮った映画だからこそのシャマラン先生の持つ納得感を持たせている。

 そういうやつを探すために全部仕組んでた、はシャマラン先生のどんでん返し系とも言えるかもしれないが、世界はそういうもんだと気付く話という意味ではブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソン追体験でしかないとも言える。

 あーでもあれか、相手のことがわかるハゲと車椅子ってチャールズ・エグゼビアを分けただけか。そこの独創性はもっと欲しいか

レッド・ロケット

レッド・ロケット (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 ショーン・ベイカー、やはり社会から掬いきれないところを描くのが上手い。主人公のマイキーは、どうしよもうないダメ男で何を語るにも主語は自分だし、基準はポルノスター年で良かった時期の自分だし、冒頭で本当にほぼ一文なしで妻のところにやってきたとは思えぬ調子の乗り方。でも彼はある種虚仮脅しでもなりたい自分を演じる力はあって。そのなりたい自分を演じ続け、自分をも騙し続けていることが、ここではないどこかを夢見るストロベリーにはなりたい自分の魅力に見えてしまったのだ。なりたい自分の一種であろう退役軍人を演じようとしてなれなかった隣人も含めて、そうありたいと願うことのパワーとそうなれていないことから目を背けることの嫌さが研ぎ澄まされた映画だった。そしてそれはMake America Great Againでもあり、ドナルド・トランプでもある。2度目の大統領就任をするその日に見る映画として、味が公開当時は違うんだろうな

 デッドプール&ウルヴァリンのbyebyebyeがこれでもかと使われてなんか笑ってしもうた。

ONE PIECE FAN LETTER

ONE PIECE FAN LETTER

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 主演の菊池こころさん、TARAKOさんの後任だよね?最初大谷育江かと思った。

 海賊王を目指さないものたち、市井の人々を描くんだけど、みんなルフィたち麦わらの海賊団に憧れている立場からの物語。FILM REDで描かれた海賊って悪者なのでは?に対する答えを見つけることはできなかった。

 とはいえ、ワンピースのテレビ放送はすごいアニメーションになっていると聞いてはいたけど、東映アニメーションでこれできるんだ!のレベルの高さは感じた。

デュアル

デュアル [DVD]

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 公開時は不評というか、思ってたんと違う!と言われまくってた気はするがその通り。

 死期がやってくると、人はリプレイスメントというクローンを作って遺族への癒やしとする。だが、稀に死を逃れた時、どちらが本物として生きるのか、決斗で雌雄を決するのだ!!!

 という導入からすると完全に呆気に取られる作品だが、duelではなく、dual。宣伝が悪い。これは感情の振れ幅が劇的に少ないカレン・ギランが圧倒的な画面占有を誇る真顔小ボケブラックコメディ。雰囲気的にはヴェネチアよりカンヌ。伝わる?

 人生を生きるとはどういうことなのか、生み出された複製体自体にも人権を求めた時、その人の名前を冠した人生というのは誰のものなのか。来るべき決闘に備えてなんか通信教育みたいな軽さで人の殺し方に触れていくオリジナル。でもその過程で母親からも恋人からも解放されて自分らしさを手に入れていき、死装束を買うとこなんて素敵の塊。そうしてやってシスターフッド的に自分とクローンで一緒に生きていける…なんてなる訳はない。だって1ヶ月前にボウガンで狙ってきた相手。武力勝負、決斗で決めると思い込んでいたからこそ、無いと言われた毒にやられる。寛解だってそう。ほぼ無い、に人は負ける。

 カレン・ギラン、180cmあることで風格はすごいのだが、完全な一般人として体をうまく操縦できてない走り方だったり、素晴らしい演技である。