抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

再びの戦乙女「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 よくぞ前作をちゃんとキャッチしたな、と毎回のように思っている。テアトルで見てるんよ。あ!書き忘れたから後からここに付け足すけど、中井友望さんすごく良かった!新しい学校のリーダーズは私のYouTubeのAIに好かれたらしいけど全く意味がわからなかった!おじさんにはわからん!

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.先鋭化

 さて、結果的に大人気となった前作の続編。阪元監督は前回受けたところをしっかりと強くしよう、と意図的に企んでいる感じがいたしました。

 前回の長所は2点。殺し屋コンビの日常モノとしての強度、そして伊澤さんの凄まじいアクションによる緩和と緊張。という訳でここをめっためたに強くしてきましたね。

 アクションパートとしては、開幕の敵となる兄弟の紹介の戦闘、銀行強盗、着ぐるみ喧嘩からのラストバトル!という形でしっかり盛ってきた感じ。特に、銀行強盗との決戦は銀行の事務室で電話やら椅子やらノートパソコンやら、その場の道具を用いた戦闘っていうのは、イコイライザーとかから好きだとずっと言っておりますからね、大好きでした。一方で、着ぐるみの喧嘩のところでの中のご本人見えちゃう演出とか、うーんちょっとチープになっちゃった印象というか、つまらない時のバラエティ番組みたいなことしちゃったな、っていうのは残念なところ。『ある用務員』から続くこの世界観では、すごく普通の日常を過ごしているのにそこに殺し屋が潜んでいて彼らもまた普通に生活している、っていうところが好みだったのですが、あの演出をしてしまうと現実とは違うフェーズが生まれてしまう。うーん、拝見していないので何とも言えないんですが、モキュメンタリーとかを撮ったからそういうのやっちゃったんですかねぇ。賭け将棋が道端でやっている段階で結構リアリティライン、個人的にはギリアウトだったし。

 さて、アクション面以上に受けたんだな!と分析されたのでしょう、ちさととまひろの関係性的な部分を描いていく日常系としての描写を大幅に強化してきました。純粋に殺し屋としての協会とかそういう面白さは引き続き担保しつつ、そこの保険切り替えとジムの解約忘れに伴うどったんばったん社会不適応と、その銀行振り込み間に合わないギャグなんかは、社会不適応描写でもありますが、社会がこっちに不適応な案件として我々を悩ませるあるあるネタでもあったと思います。繰り返し擦られるサブカルネタあたりは、面白さとやらしさのこれも境界を攻めていた感じを受けましたが、私はあり寄りかしら。ラバーガール大水さんが登場していないとはいえ、ラバーガールのコントっぽさっていうのはどんどん強くなっていたかもしれません。

2.敵が…

 やっぱねー敵がどうしても乗れなかった。今回はちさと&まひろのコンビに対して兄弟っていう特別な絆で結ばれた殺し屋コンビが登場することで、彼らにしかない、拳を交わせばわかるぜ…的な友情みたいな面が狙いとしてはあるはずなのです。なのですが、こいつらがそこまで強そうに見えず、うーん、どうにも小物に見えてしまった。彼らの強さっていうのは、結局オープニングのバトルでしか描かれず、あとはずっと定食屋のお姉ちゃんを口説くかどうかきゃっきゃしているだけで、そうだなー掃除屋の田坂さんから銃を奪ったシーンすら映像に残らなかった以上、強大な敵として認識できず、そのままいい死合だった…チュール食べる?みたいなことされてもなぁ、っていうのが正直なところ。ここには、彼らだけの責任ではない部分もあると思っていて、前作でウケた日常パート部分をいろいろ作った結果、ちさととまひろに対しては死なない雰囲気が漂いまくっていて、作ろうと思えば無限に作れる、というのは殺し屋という稼業を題材にするには裏表あって、緊張感が欠如してしまう。結果、めちゃめちゃ似た構成になっているのでは?と思わせるミッション:インポッシブルは、トムが死にかねないレベルのアクションを生身でしていることでその緊張感を担保しているけど、このシリーズはそこに日常系ギャグを入れ込むのでどうしてもアクションとアクションの間でゆったりして、死にそうな感じがしない。敵の兄弟がもっと他の正規雇用の殺し屋を殺すなど、凶悪性(それは決して彼らが純粋に正規雇用を目指すことと矛盾しない)のバランスをもう少しうまくとってほしかったな、と思いました。彼らに情は湧いても敵としては魅力はなかった。殺す正当性のない彼らにはそれでは辛い。