どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
今回はファーストデイを利用して見に行った韓国映画「犯罪都市」です。昨年の「お嬢さん」「哭声」「阿修羅」「新感染」も全部見れてない上に、今年も「悪女」「ザ・メイヤー」などの作品を時間が合わずにスルーしていたので、まさかの韓国映画初体験となりました。韓国映画、聞いてはいたけど凄いっすわ。
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
(以下ネタバレ有り)
1.極上のノワール
本作は韓国での中国ヤクザの一掃作戦がモデルの実話モノ。イス組と黒蛇組が争う中でやってきた中国マフィアの黒龍組がやってきたことによる動乱を描いたものになります。
冒頭、いきなり街中でのナイフの喧嘩を電話しながら制圧するマ・ドンソク演じる刑事ソクト。最近アバンで実力わからせるの多い気がしますね。オリエント急行とか。マ・ドンソクは「新感染」での好演が漏れ聞こえてくるのも納得の強さ。ロック様と一緒にMCUか、ストリートファイターあたりに参戦してみてはいかがだろうか。
というわけで、イス組と黒蛇組の抗争を警察がなあなあにしながら上手くやっていたところに中国マフィアが参入してくるのかと思いきや、黒蛇組はあっという間に黒龍組にトップを殺され乗っ取られてしまうのです。その殺害のスピードから中心となる3人の実力もかなりのものであることがわかると同時に、ファン社長の経営するクラブの支配人への仕打ちからも残忍性が際立ちます。
バンバン人が死んでいく中で圧倒的に強いのがやはりソクト刑事。肘の傷が自分では見えないほどの太い二の腕を武器に、必要以上に平手打ちを繰り出して失神させるのはもはやギャグにすら見えてきます。
圧倒的なのは、ラストにただ一人に追い詰められた黒龍組のボス、チャンとソクト刑事の繰り広げる空港のトイレでの格闘。個室のドア、トイレのモップ、花飾りのプランターに洗面器の鏡、便器とトイレにあるものを悉く使ったバトルシーンは見ていて全く飽きない迫力あふれるものでした。チャンはこれまで斧主体で手数重視の戦い方なのに、斧は側近に預けている状態だったのが痛恨。流石に素手ではソクトには勝てず、鏡の破片で応戦するなど頑張ってはいたけど相手が悪かったね、って感じです。彼らの強さはイス、黒蛇、ファン社長と3つのグループを壊滅的にしている時点で強さの描写がしっかりできているので、本当に相手が悪かった。よく考えたら、出国審査をチェックするように連絡すれば空港で乱闘する必要なんかない気もしますが、まあいいでしょう。
このシーンからもわかるように、この作品では徹底して銃が出てきません。マフィア側だけでなく、警察側にもです。ソクト刑事は警察の中でも強力班に所属しており、おそらく凶悪犯対策の部署。にもかかわらず銃器描写を排除したのは、ソクト刑事の、というかマ・ドンソクの立たせ方を考えれば、英断だったと思います。
2.血と暴力だけでなく
ただただ暴力だけだとなかなかに辛いわけですが、本作はまるでMCUのように合間合間で結構なギャグを挟んでくれるので見ていてストレスも殆どありません。劇場でもかなり笑いが漏れていました。
弁護士のスタンさんことスタンガン、監視カメラを隠す、真実の部屋と称したヘルメットをかぶせて殴る、といった警察の本来なら許されない行為もギャグ的に扱われ、強力班の班長も無視されたり、財布盗られたりとコメディリリーフになっていました。
ほかにも、クラブで女性に弱くなっちゃうソクト刑事や顔を怪我した若手刑事との整形をめぐるやりとり、とにかく警察側にコメディパートを集中させ、黒龍組が出てきたときは凄惨に、警察が出てきたときは少し笑えて、を徹底して構成したので気楽に見れました。
本作はほかにも、ソクト刑事の常連の店の子ども、あるいは強力班のメンバーで先述の顔に怪我をするソンラク刑事の成長ものとしても見ることができ、要素はてんこ盛り。韓国エンタメはここまで凄いのか、と度肝を抜かれることになりました。
全体的にとてもよくできていたが、どうしても気になるのが黒龍組の目的。彼らは金の為なら何でもするし、金への執着もすごい。が、その金を貯めて何をするかの目的意識が全く説明されないのです。組織の拡大なのか、この街の支配権を狙っているのか。彼らが強く、魅力的に描かれたからこそ、そこをカバーしておいてもらえればもっと最高だったと思います。