抹茶飲んでからマラカス鳴らす

見た映画、読んだ本、見たアニメ。そんな話を中心に。。。

虚淵玄の破壊した概念「GODZILLA 決戦機動増殖都市」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 W杯も近づく中で、イニエスタが来たりと話題のサッカー界ですが、愛するレッズことリヴァプールチャンピオンズリーグの決勝をキエフで戦うということで、それまでの時間で書いております。負けました 

tea-rwb.hatenablog.com 

 このブログのジャンル的に興味がある人がいるのかさっぱりわかりませんが、自分の為にW杯の各チームの話とかも記事にするかもしれませんし、しないかもしれません。

 気づけば5月だけで10本を超える映画を劇場で見ている衝撃にビビりますが、その中でこちらも注目作アニゴジ第2作の感想です。

 前作の感想はコチラ 。なお前回は鑑賞→小説版→鑑賞のプロセスを踏んでいますが、今回は先に小説版を読んでから劇場鑑賞しています。

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【初回仕様特典あり】GODZILLA 決戦機動増殖都市 Blu-ray コレクターズ・エディション (特製三方背ケース、開田裕治描き下ろしデジパック、コレクターズ・エディション SPECIAL DISC、瀬下寛之監督スケッチ集、特製ブックレット(32P)封入)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ有り)

 1.これは虚淵玄の挑戦だ

 前作、「怪獣惑星」でゴジラを植物由来にし、さらに全長300メートルという個体:ゴジラ・アースを登場させ、ゴジラって何だろう、という疑問を結果的に提起していた虚淵玄さん。ゴジラ・アースがラストに登場する衝撃のために組み立てすぎて本来メインと謳っている人間ドラマがつまらない、関係の説明が希薄、書籍に補完を頼りすぎている、といった弱点はありましたが、今作ではそれが両方ともさらに拡大しているといえると思います。

 特に今回1番の期待を背負っていたであろうメカゴジラの登場。これには度肝を抜かれました。前作のラストで発表されたメカゴジラのビジュアルの時点で、あれ?知ってるメカゴジラじゃないぞ、という困惑。そして決戦機動増殖都市とかいう謎のネーミング。蓋を開けてみれば、今回のメカゴジラはかつて廃棄されたメカゴジラの残骸から2万年かけて増殖した都市そのもの、ということに。結果としては、ネーミングが全てだったというわけです。まさに、我々の持っているメカゴジラというイメージを裏切ってきたわけです。そもそもメカゴジラブラックホール第三惑星人が地球侵略の為に用いた兵器だったのが、平成シリーズから人類の開発した兵器となった時点で一度裏切りが起きているので、発想をひっくり返すのにはうってつけの題材だったといえるかもしれません。

 メカゴジラの定義が揺らいだだけでなく、「怪獣」の定義も揺らいだのが本作だと思います。都市としてゴジラを迎撃するメカゴジラシティ。その中で同化していくビルサルド。人類として勝つことを求めるハルオとゴジラへの勝利という点に特化したビルサルド。ナノメタルへの同化を拒否するハルオに対して、ビルサルドは人が倒せないものを倒そうとする時点で、人ならざる者になる覚悟が必要だ、と説得するわけです。人としてゴジラに勝利することを求めるハルオは動揺するわけですが、この問いは観客であった我々にも答えを求められているかもしれません。怪獣を倒そうとする時点で、それは同じフィールドに立つことを意味するわけです。例えば、今回危惧されたようにゴジラを倒したのち、メカゴジラは別の脅威として立ち上がるかもしれない。その時、メカゴジラは怪獣に変わっているわけです。虚淵玄さんは、前作である種「ゴジラ」の定義を揺さぶってきたわけですが、今作では、「メカゴジラ」の定義、ひいては「怪獣」という定義を揺さぶってきたといえるでしょう。これだけの問いを成立させるためには確かに、アニメでなくてはできない描写が多いですし、虚淵玄が脚本してアニメでゴジラを映画化した意義があったといえると私は思いました。

2.書籍補完に頼りすぎの悪癖…

 今回の作品でもう一つのテーマともいえるのが、現在の人種・民族問題にも通じる人種間の考えの違いです。人類・ビルサルド・エクシフ、そして今回から登場したフツア。特に考え方の差は暴走するビルサルドに顕著ですが、正直言ってしまえば、映画の中だけではビルサルドのいう事も一理あって、ハルオがゴジラへの勝利よりメカゴジラシティの破壊を優先したのはかなり理解に苦しむところがあるんですよねぇ。

 この辺りは、ビルサルドがかなり特殊だということが書籍「プロジェクト・メカゴジラ」に載っているオペレーション・グレートウォールに詳しいんですよ。オペレーション・グレートウォールはゴジラを足止めするためにそれまで被害が軽微だった地域にも関わらずヒマラヤ山脈を核爆発で崩壊させるという作戦です。これに対して人類は神々の山嶺であることを理由に中止を進言しますが、ビルサルドは「それが何か?」と意に介さず、作戦の心理的影響はエクシフに一任していると突き放し、究極的な合理主義であることが紹介されています。こうしたエピソードを踏まえていれば、ビルサルドの暴走に見える行動も多少理解できるんですよね。

 それから第4の種族フツア。彼らに関しては、博士の上から目線解説だけで終わってしまい、正直ゴジラシリーズを知らない人を置いて行っていたように思えます。こちらも「プロジェクト・メカゴジラ」の中で記されていて、フツアはアマゾン奥地の民族で怪獣共生派であること、2匹いたモスラの片方だったバトラは妖星ゴラスの接近を感知して目覚め、ゴジラと戦闘し死亡。(ついでにこの妖星ゴラスのくだりで人類が月や火星への移住を捨ててタウeのような太陽系外に環境を求めた理由もわかります。これも書籍扱いじゃダメですよね。)もう1匹は人類が宇宙に飛び出したのちにゴジラと戦闘し相打ち程度の結果を得ていることが示されています。そして人類と取引を行い、人類の子どもをフツアに託し、モスラの卵2つを富士山麓に配置することが決められています。フツアの言葉を借りれば、モスラ2匹ならばゴジラに勝てる。実際鱗粉でゴジラの光線を反射させることに成功している。

 こんなに重要なフツアに関する情報が全部書籍に詰め込まれているのはさすがに説明不足と言わざるをえません。映画を見るうえでハルオたちと同じ目線で見てほしい、ということかもしれませんが…

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 「プロジェクト・メカゴジラ」には私の大好きな怪獣ガイガンの勇姿も描かれているのでぜひ読んでください…かっこええ…どのVer.も好きやで、ガイガン

3.次回への期待と不安

 今回の映画は思考的に面白くなる点はたくさんあったのですが、なかなか退屈なシーンも多いのが事実(前回よりは格段にいいとは思いますが)。ゴジラを倒す作戦は当然、前回の成功したスキームに則るので作戦が同じ。絵的に大きく変わることもないですし、スクーター的な代物がヴァルチャーに変わっただけでした。そして結末。ゴジラを倒すために「人類として」が重要であるなら、もっとそれを前作のように推しておいてほしかった。人類舐めんな、的メッセージは個人的に大好物なので。あとは、ゴジラや怪獣の定義を揺るがすことはゴジラでやる意義があったとは思いますが、考え方の違いをどう集約していくか、という人間ドラマのメインの部分はゴジラである必要はないんですよね。

 さあ、そしていよいよ完結編。ゴジラ・アースが倒されるであろうこと、匂わせまくってるモスラ(幼虫だけかもしれないけど)、そして次回のロゴとメトフィエスの言葉からキングギドラの出現、このあたりは約束されていると思います。ここまで予想されている中でどうまとめてくるのか。ビオランテ的な触手が邪魔をしていた川の先の信号はいったいなんだったのか。フツアの施術した粉塵(モスラの鱗粉)の効果は。メトフィエスがしれっと修復した祭具はギドラを呼ぶものなのか、だとしたらメトフィエス、というかエクシフもまたビルサルドと同じ道をたどるのか。

 蒔かれた種は楽しみなので、どう成長して収穫してくれるのか11月を楽しみに待ちます。