抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

ヒロインが主人公を守る時代「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」

第伍骨 呪われた男(後編)

まずは、2015年冬クール「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の感想から。

 

あらすじ

 北海道・旭川。この街には、「櫻子さん」が住んでいる。

 櫻子さんは、美人で名家のお嬢様。なのに三度の飯より「骨が好き」。

 そんな彼女と一緒にいると、なぜか僕まで骨と縁ができるようで。

 骨にまつわる事件と櫻子さんに振り回されっぱなしの僕だけど、

 それが嫌じゃないのは櫻子さん、きっと、あなたのせいだと思う。

アニメ「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」公式サイトより)

 

感想

  ミステリーが好きな私が思わず飛びついた作品ですが、飛びついて正解でした。骨にまつわる事件に出会い、解決していく櫻子さん。しかし、彼女にはどうやら常識が欠落していて、時に人を逆なでするような発言やあり得ない行動をとってしまう。少年、館脇正太郎はそれに振り回されているばかりでした。

 (以下ネタバレ有)

 

 

魅力的な登場人物たち

 とにかく櫻子さんは魅力的でした。黒髪ロングでお嬢様。森の中の洋館に暮らし、常識知らずの変人。萌えキャラとされる部分がかなり集められたキャラでした。特に気に入った骨を見つけた時の恍惚とした表情は非常に美しかった。白いハットにワンピースが似合う大人の女性の外見とのギャップが好きな方は楽しめたのではないでしょうか。まあ自分も学校の帰りに出会ったら気になっちゃいますよね。本編の肝心の場面である推理シーン。序盤こそ「さあ、謎を解こうじゃないか」の決め台詞とともに突入した通称”骨バンク”が話題になりましたが、後半になるに従って、フツーに推理していました(笑)てっきり金田一少年の「じっちゃんの名に懸けて」みたいに定着させるかと思ったのですが。正太郎を少年呼びする理由は分かりましたが、いまいち彼女自身の過去が掘り下げられなかったのが惜しかったです。

  語り手である少年=館脇正太郎は視聴者の感情移入先でした。平凡な日常に退屈していたところも、ありがちなところでした。いつも勝手をしている櫻子さんに振り回されてばかり。でも完全に恋しちゃってるからしょうがないですね。最終回では絶縁を櫻子さんに申し渡されますが、櫻子さんに守ってもらうのが一番安全でしょう?と見事に再び行動を共にすることに成功しました。他にも準ヒロインの筈なのに最終回では正太郎にスルーされちゃった鴻上さん。石田彰ボイスで不安しかなかったら、ただの植物依存症でいい先生だった磯崎先生。そして頭脳明晰とはいえないものの、正義感が暗い物語にも救いを与えた内海巡査。そして忘れてはいけない骨たち。名バイプレイヤーが脇を固めていました。

 

深淵に佇む全ての元凶”ハナフサ”

  物語としては、1話から基本的には櫻子さんと正太郎が骨を発見。そこから推理を進めていく形であった。その中でも、キーとなる事件のきっかけは骨ではなく登場人物たちが持ち込んだ依頼であった。いーちゃんを発見したのは正太郎だし、藤岡氏の自殺未遂も、内海巡査の持ち込み。3姉妹の事件は磯崎先生への着信がきっかけでした。それぞれの事件の黒幕ともいえる男がハナブサという画家でした。子安さんが声をやると石田さんの次に怪しく感じるのはメタ的な考えですね。最終回のED後には、「深淵をのぞきこんだ時、深淵もまたこちらを覗き込んでいるのだ」と劇中でも出てきたニーチェの名言とキャンバスに描かれた櫻子さん。続編があるのかないのかわかりませんが、彼と櫻子さんの対決は匂わされたまま描かれずに終わる結果となりました。1話で出てきた蝶形骨の説明も、ハナサへの布石になっていたんですね。

  原作のあるものは、オリジナル展開でハナフサとの対決を描くのか、原作通りに進めて俗にいう俺たちの戦いはこれからだエンドで行くのかは永遠の課題ですが、本作は後者を選びました。ただ、純粋な未完結ではなく前述のように櫻子さんと正太郎の関係性の変容を描くことで、きれいな完結を見たのではないでしょうか。是非小説版も買ってみたいと思わせることには成功していたと思います。OP主題歌のTRUEさんのDear AnswerとOP映像もマッチしていて、大変好みでした。以前見た響け!ユーフォニアムのOPを担当してらっしゃった時も思いましたが、TRUEさんの楽曲はかなりツボのようです。それにしても、主人公がヒロインの女性に幸せにしてもらう、守ってもらうという形で決着する作品がアニメもドラマも増えてきたように感じますね。社会の変化と何か関連があるのか、少し考えてみると面白いかもしれません。

 

P.S.

ハナフサの表記のミスと行間の修正を行いました。