抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

磁場「トラペジウム」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

(以下ネタバレ有)

 

 主人公が東西南北の美少女を集めてアイドルデビューしてやる!というどっちかっていうとピカレスクロマンの文法のような気すらするアイドルものでした。アイドルになりたい、やアイドルにしたい、をおくびにも出さずにあれよあれよと意志とか同意とかそういうのを気にせずアイドルに仕立て上げて、同意が無いから転落するっていうそりゃそうだろ、という帰結。それを丸ごとでもあの頃は良かったです、でまとめあげるという勝手に悪い奴が勝手に納得して終わられてしまうので「知らんがな」となる人も結構多そうである。

 とにかく可愛い女はアイドルになれ、という暴論でスタートして淡々と進んでいくので感情の置き所が結構難しい。短期目標をクリアしながら中長期的な野望を達成していく自己啓発的なノリでもあり、当然のように達成していくのである種の頂点に達しても盛り上がっていいのか困惑させる。ただ、終わってみれば良い経験でした、で全員済ませてしまった程度であると思えばその語り口は正しいというか、一致しているとも言える。

 ライブシーンは手書きと3Dを合わせており、かなり良いように思えたが、この辺はライブシーンウォッチャーの感想を待ちたい。Clover Worksの本気が!と思ったけどエンドクレジットは信じられない人数の作画監督がいた。作画監督って何なんだろう。あ、でもOPのとこは良かったと思う。

 ということで、文脈としてはClover Worksの劇場映画という文脈よりも(けろりらさんが総作監でぼっちの流れを汲んでるかのような宣伝もあるが)明らかに乃木坂46が、元アイドルが原作を書いた、という文脈だろう。アイドルをやる人間皆善人とは限らないという方向のアイマスとかラブライブ方向へのカウンターにはなっているけど、終わり方からしてアイドルが書いたものとしての限界も同時に見えた印象。結局アイマスにおけるスカウト、という手続きの重要性が浮き彫りになったのと、島村卯月というスーパーサイボーグの異常性が際立った。純粋にアイドルになりたくて頑張りますモンスターになれて堕ちてから上がれるあの人スゴすぎるって。あと似た文脈としていつも月1で配信しているアニならの主である井中カエルさんとかの好きなVTuberもアイドルの近接分野として考えた時にSONYが星街すいせいさんを寄越してきたのも少し面白そう。JO1は知らん。ただ結果的に、単なるノイズになったウッチャンの隣のじいさん2人を西野七瀬高山一実があてるという意味不明な采配からしてこの作品の磁場が乃木坂っていうことだろう。結局のところ、この主人公に反省もクソも無いとところといい、あの頃の私は間違っていたは入り口に対しては適応されない振り返り方だったことといい、元アイドルだから踏み込めるアイドル生活の辛さに目は向けたけれど、元アイドルでその磁場から逃れていない状況で作っている作品だから回答できていない限界って感じだろうか。

 そういう現代日本におけるアイドル文化の結晶としての本作という点で言えば、お披露目の会場は正直悪いところが結実していた。JO1の木全さんは、目隠しで連れてこられたのかと思うほど設問に対する返答の準備が無く、明らかに芸歴や場数で劣るはずの主演声優結川あさきよりも舞台挨拶のクオリティが低かった。原作者である高山一実が前面に立った挨拶となり、いや振る舞いは流石の歴戦の猛者ではあったが、クリエイターとしてのアニメ映画監督には全く会話が振られることもなく、そうした一連の応答を客席ではJO1と乃木坂のファンたちがうちわをもって幸せそうに承認しているという甘やかしの現場だったと思う。声優ファンもかなりどうかと思う甘やかしがあることが多々ある記憶だが、それもアイドル化した声優、という文脈で捉えた時には日本のアイドル文化の悪い面、評価ではなく全肯定っていう部分が前面に押し出たイベントだった。うーん、主語が大きくなってしまった。

 この映画を完成披露試写で先んじて見たことで甘く評価している点は一個あって、まだ「夜のクラゲは泳げない」を1話か2話ぐらいまでしか見ていなかったっていうのはある。ティーンエイジの女性グループ表現者っていうところのしんどさを描いて昇華していくのは、BanG!!Dream It's MyGO!!!!でもやっていたし、それに匹敵するものを夜クラが出している中では物足りなさが映画公開時点になってしまうと強くなるか。

 とりあえずcv久保ユリカの関西弁元気ADの供給をもっと寄越せ、あの人ぼっちのPAさんみたいな人気になるぞ。うそです、久しぶりに私にヒットしたキャラでした。