抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

足で稼ぐ「メグレと若い女の死」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 感想は短めですが、まあ90分尺なのでね。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.名前は知ってる名探偵

 皆様は名探偵と言われて、誰を思い出すでしょう。シャーロック・ホームズ、エルキュール・ポワロ、明智小五郎金田一耕助…。第一線級の探偵たちの中で、ちょっと渋いラインの名探偵として名前が挙がるのが、隅の老人、ファイロ・ヴァンス、ネロ・ウルフ、そして本作の主人公ジュール・メグレといった辺りではなかろうか。(むかーしに呼んでいるはずだが、ちゃんと覚えていない探偵たちだろ、という指摘は甘んじて受け入れるしかありません。)

 ジュール・メグレ。名探偵コナンの目暮警部の名前の由来にもなった方で、ネロ・ウルフと並んで巨漢、大柄、みたいな感じのイメージを持つ探偵であり、そんな彼を演じるのがジェラール・ドパルデュー。ファーストカットだと少し年取りすぎてるかな?と思ったんですが、まあポワロだって老人なところにもっと晩年期、みたいなパターンもあるのでね、と見守っていたところ、うんうん、どんどん飲み込めるどころか、むしろいい、すごくいい。本当に淡々と一つずつ話を聞くだけなのに真相に近づいていくメグレであり、そして事件の被害者にどこはかとかなく似ているベティとの疑似親子関係に近いような目線っていうのに、ドパルデューは完全にフィットしていたと思います。

 ミステリとしては、正直食い足りないというのが正直なところではあります。冒頭でもうしっかりパーティでのもめごとのシーンを見せているので犯人候補としては、ローラン&ジャニーヌ夫婦と母ヴァロワ夫人しかいない。その上で露骨にヴァロワがなんかやってんだな、はすぐに察せるし、死因の提示も遅いのでそこのトリックも別に機能していない。最も、ヴァロワ夫人自体もトリックとして考えたのではなく、ただ混乱させたい、それだけだったのでそんなもんでしょう。フーダニットが弱く、動機は殆ど見せているようなもの、ということで結局事件にすることで何かを隠ぺいしたい、っていう秘密に迫るドラマであり、本当にじーっくり進んでいく。ただ、全体尺が90分切っているということもあり、停滞感は全くないし、ところどころ挟まれる部下とのユーモアある会話だったり、場所を説明なくぽんと移すことで、こっちに一旦読み込む時間を持たせることで、字幕を読むだけのミステリになってない。これはとても良かったように思えます。