抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

カタールW杯を映画と一緒に見よう

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はいよいよやってきたW杯のプレビュー、的な内容。超大作です。長い。長すぎ。今大会は、各国の状況に合わせて、その国の映画、こんなのがあるよ!っていうオススメ映画を横に添えています。つまり32か国の映画が載っているんですね。まあ32全部の国は見られなかったんでちょっとだけズルしてますけど。まあそれでも30以上の国の映画を紹介してみました。特にアフリカやアジアの映画は中々機会がないはず。是非この機会に。ちなみに次の大会からは48カ国になるそうです。絶対無理だ…

 まあW杯見るから映画見る時間無いけどな!

 

 

グループA

カタール🇶🇦

 なんてったって開催国。やっぱり開幕戦を勝ち取る政治。アジア予選免除なんだけど、コパアメリカとかヨーロッパ予選とかにオブザーバーで参加して競争力を磨いてきました。完全にここに向けて最も仕上げているチームでしょう。

 初出場とはいえ、開催国は南アフリカを除いてグループリーグを突破してるので、まずは突破が目標。とはいえ、情報が私の手元にまったくありません。アルサッドが異常に多いことぐらい。取り敢えず、地元開催なので中東名物念仏のように流れ続ける応援歌で対戦相手の監督を眠らせる、ピッチにオイルを撒いてヌルヌル相撲で決着をつけるなどの戦略が求められるのではないでしょうか。

 W杯とみたい映画:ザ・バスタード

 石油が取れる地域・中東。圧倒的資源の力を背景におそらくは今回も多額の駆け引きが行われてカタール開催となったようで、あっさりとブラッターが間違いでした、といってしまう。どこかそんな話がオーバーラップするのが本作だ。携帯電話は普及しているけど、電波が入りづらい。そんな村で、捨て子の家に電波アンテナが立てられることになり、金と力を巡って同世代の3人の関係が変わっていく、という話。資源is力。

www.sponichi.co.jp

エクアドル🇪🇨

 カタールでいきなりふざけたのでもう読まれていない覚悟です。

 日本と試合をしたことで一気に日本での注目度は上がったと思われる南米の雄。チリとかコロンビアを押しのけて南米予選を突破しているので十分に強いです。日本戦では途中出場だったベテランではあるものの大エースと言えるエンネル・バレンシアは、コートジボワールドログバみたいな怖さがあります。んで、ブライトンコンビですよね、エストゥピニャンとモイゼス・カイセド。ここの2人が良く動くし、ボールの動かし方も上手いしで、要注目。普通にやったら開幕戦のカタールには勝てると思うんですが、ここで開催国に飲まれるとわからん。

 W杯とみたい映画:サウスパーク/無修正映画版

 序盤で一体なんてひどい映画を紹介しているんだ。

 なんでこれかというと、『26世紀青年』を監督したマイク・ジャッジがアニメーターとして参加している作品だからです。マイク・ジャッジエクアドルが誇る映画人で、映画監督兼俳優兼アニメーターとかいう意味の分からない肩書です。

 サウスパークと言えば、下品風刺アニメとして名前の知られた作品ですが、本作も非常に酷いレベルの低い下ネタを連発しています。サッカースタジアムで言ったら、入場禁止を食らいます。気を付けましょう。とはいえ、それこそ『26世紀青年』的な反知性的なディストピアの到来を描いていて、それはそれで面白いやんけ、って思いました。そこまで言うなら『26世紀青年』を紹介すればいいじゃん、と思われるかもしれませんが、ふわっとしか知らんくて、見れてないのです。

セネガル🇸🇳

 アフリカ予選では、エジプトと戦い、サラ―とのリヴァプール・両翼対決を制した。まあマネはバイエルンに移籍してしまいましたが。

 ってことで、やはりサディオ・マネが世界最強クラスの何でもできる選手なのでそこに注目は集まるはず。だけども、ゴールキーパーチェルシーのメンディ、同じくチェルシーのクリバリがCBに入り、ゲイェ・クヤテ・メンディと実にプレミア中堅感の漂う動けて潰せるメンバーが中盤に。前線もマネ以外にもエンディアイエ、サールみたいなまた実にいい働きをする選手が多いのでマネに釘付けになっていると圧倒いう間に逆サイドから崩されるでしょう。などと言っていたら負傷。メンバー入りはしましたが、万全で挑んでこれるのか。→やっぱり出れないかーい!

 マジでメンバー的にはセネガルの歴史上最強だと思うので、大躍進だった日韓ワールドカップの再来を期待したいが、初戦がオランダというのがどうなるか…。

 前回大会でスタイリッシュ・オブ・ザ・イヤーを受賞したと噂のシセ監督がどれぐらい髪をいじってくるかにも注目が集まります。

 W杯とみたい映画:アトランティックス

 誰もが最も信頼する文化評論家、バラク・オバマグレタ・ガーウィグ若草物語だの、ポン・ジュノのパラサイトだの、スコセッシのアイリッシュマンだのに並んで2019年のフェイバリットムービーに選んだ作品。この企画に合わせて配信で初めての国の映画を見まくったが、これはネトフリオリジナルだがイメージフォーラムでも上映されている完全なお墨付き。フランスの気鋭の女性マティ・ディオップによるセネガル映画で、出稼ぎに行ってしまう男と恋仲だが、彼とは違う富豪の結婚相手がいる女性の話。彼は行ってしまい、結婚の道に進むがなんだかジャンルをぐるぐるしながら、思わぬ再会に向かっていく。静謐と怖さと不気味さ、そしてダカールの風景と闇が浮かぶ。

オランダ🇳🇱

 グループAにおさまった強豪。他のポッド1のチームとかも安心したでしょう。前回のロシアはまさかの予選敗退だったオランイェ。フライング・ダッチマン/ファン・ペルシーはもういない。でもって今回の監督はファン・ハール。ユナイテッドを経てまたオランダ代表に帰ってきた。おじいちゃん、だからファン・ペルシーはいないって言ったでしょう!

 さて、今回はある程度期待できそう。基本的に軸がはっきりしている。守備は世界最高のCBのファン・ダイク、デ・リフト、中盤にフレンキー・デ・ヨングがいて、前線はメンフィス・デパイとベルフワイン。これだけしっかりしているうえに、PSVで大爆発しているガクポ、シャビ・シモンズみたいな活きのいい若手にも恵まれている。最近は自国のエールディビジから代表にフックアップしてそれが目に留まって主要リーグに、っていう流れがもういい。念願の初優勝に向けて、ファン・ダイクもデ・リフトも絶好調とは言い難いのが不安だが、このグループを突破できない、なんてサプライズはないだろう。

 …え、オランダって優勝してないの!?なんかすいません。

 W杯とみたい映画:ザ・バニシング-消失-

 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」で、ゲームのストーリーを進めずにそのあたりを歩くクラ散歩を提唱したことでもお馴染み、クラベ・エスラさんのお父様が原作で脚本。日本でもめったに見れないカルト作品だったが、何年か前に日本で上映されてから見やすくなったそうです。いわゆるサイコ殺人鬼映画なのだが、犯人って誰だろうっていう話じゃなくて、シンプル意味わかんないのでこの構成を思いついた人が一番やべぇだろって映画でした(誉め言葉)

グループB

イングランド🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿

 プレミアリーグばっかり見てるので、日本の次に詳しいのがイングランド代表。前回大会では全く面白くないのに、セットプレーから点を取りまくり、視聴者を夢の世界にぶち込みながらなんか4位に入っていた。はっきり言ってクロアチアの躍進よりもびっくりした。

 代表戦を見る気が起きないので知らないが、監督は変わらずサウスゲイトなので多分また面白くない…とも言い切れないほど魅力的なメンツが溢れている。激戦すぎていやになるのが右SBでシティで改造されすぎてもう人間なのかも怪しいウォーカー、チェルシーのリース・ジェームズ、そして万能型トリッピアーが強く、前回19歳で選ばれた我らがリヴァプールのアーノルドですら落選の気配…だったのだが、なんかけが人続出でピンチになっている。謎。チルウェルも怪我でダメ、ウォーカーは間に合ったが左はショー以外誰がやるんだ…?

 中盤には充実のデクラン・ライスと若きベリガム、エースのケインが君臨したうえで、フォーデン、スターリング、サカ、みたいな若くてドリブルが死ぬほど上手くて点が取れるサイドアタッカーがゴマンといる。攻撃力は間違いない。

 問題は守備陣で、マグワイアがユナイテッドで出番を失い、ストーンズとのCB陣は多少物足りなさを感じる(贅沢な悩みだが。)ベン・ホワイトやラムズデールといった今季絶好調のアーセナル組を抜擢する心づもりがサウスゲイトにあれば、今大会は優勝、かもしれない。

 あとカラム・ウィルソンは何で呼ばれたのか良く分からん。トニーだろ。

 W杯とみたい映画:ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦

 ちゃんとしたサッカー映画を紹介したいんだけど、GOAL!はアメリカ人だからな~、って思っていたはずなのに、結局アメリカ領サモアの話を選んでしまった。

 とにかく弱いアマチュアしかいないアメリカ領サモア代表のサッカーチームが新たな監督を呼んで、改革に向かい奮闘するドキュメンタリー映画。製作はUKなのでここにぶち込む。結果が出るのかどうかも分からないうちからちゃんと密着して映画にした、という点でドキュメンタリー映画はやはりスリリングで、タイカ・ワイティティによる劇映画化が待機しているが、絶対にオリジナルの方が好きだろう。サッカーの面白さは、競技のレベルによらない。そこにあるサッカーを愛せ!と世界大会だからこそ思う。

 なお、試合映像としては破滅的に良くない。

イラン🇮🇷

 ヒジャブの被り方が悪いと逮捕され死亡した女性への対応をめぐる抗議を中心のアズムンがSNSで表明し、チームもそれに倣った。アリ・ダエイとかアリ・カリミみたいなOBも弾圧されながらも抗議。サッカーファミリーは完全に同意してサポートする。

 さて、そういう前段はあるがイランはおそらくアジア最強だ。タレミ、ジャハンバクシュ、アズムンの海外組を擁する前線の破壊力は日本を凌ぎ、ソン・フンミンのいる韓国レベル、そして守備陣も一線級。問題は協会のゴタゴタで、なんか会長選挙に当選した人の公約が今の監督を首にして、かつての栄光あるカルロス・ケイロスを呼ぶ、だったので監督が代わりました。前段の件も含め、現場と協会が上手くいっていないことがどう作用するか。日本と比べれば、グループリーグは組しづらいが希望のある組み合わせだ。

 W杯とみたい映画:第三次世界大戦

 東京国際映画祭でなんか賞(審査員特別賞だったかな?)を獲った作品。ホームレスが映画のセットを作る日雇いをしたら、そのままエキストラになって、そこからまさかの主演のヒトラー役になってしまう、というヘンテコ映画。正直、第三次世界大戦っていう名称がシャレにならないご時世なんだが、それでもあえて言えばフットボールもまた戦争の様相を呈している。ロシア絡みで言えば、チェルシーのオーナーがアブラモビッチから変わることになったり、こう色々変化とフットボールウォッシングの問題があったりするのだ。

アメリカ🇺🇸

 アメリカ、MLS(メジャーリーグサッカー)の台頭もあって盛り上がっていると聞いていたが北中米を勝ち上がってきた。ゴールドカップでも勝っているのでメキシコ級の力はあると考えていい。

 プリシック、アダムズ、レイナ、マッケニーあたりが主力かな?全体的にブンデス感はあるが、プリシックはチェルシー、アダムズはリーズでちゃんと通用しているので複数チームで通用、ステップアップした選手たちの経験は大きな財産。日本戦でボッコボコにやられていたのがひじょーに不安なのだが…

 しかし誰だ、イランと同じ組に放り込んだバカは。

 W杯とみたい映画:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

 アメリカがW杯に帰ってきた。逆にどの映画をW杯と観たいのか、決めかねるが。

 実はジェラルド・バトラー主演でイングランド代表にアメリカ代表が勝った話の映画という今回にピッタリのがあるというのを見つけたが、見れてない。ジェラルド・バトラーがボールを蹴れる気がしないんだが。

 ってことで、色々考えたけど、結局良く分かんないオーブなるものを奪い合う冒頭で蹴ったりしてたし、GotGで良くね?っていう結論に達しました。いいじゃん、好きだもん。基本的にW杯、っていうかサッカーってこんなブログ読んでないで楽しく見ろよ!っていう気持ちが強いんでOPのクィルのノリノリなので楽しんじゃえよ!へいへい!

ウェールズ🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿

 サッカーはですね、イギリスは非常に面倒でイングランドウェールズスコットランド北アイルランドでサッカー協会が別々なんですよ。そんな中で、イングランド以外がW杯に出てくるのは非常に珍しい、ってそれもそのはずウェールズは16大会ぶりだそうです。イアン・ラッシュやライアン・ギグスは出てないのか…

 ウェールズ代表の中心はやはりギャレス・ベイルでしょう。時代を築いた名選手ではありますが、世界大会には恵まれずに終わるかと思いきや、最後に駆け込んできました。当然イギリス国内なのでプレミアリーグでプレーする選手が多い訳ですが、ベン・デイヴィスとか、ジョー・アレンとか、アーロン・ラムジーとか絶妙なメンバーが揃っている。もうここは分かりやすいですね、ベイルが点を取れるかどうか。砂漠でゴルフに興じてしまったらだめです。

 個人的には代表監督任期まっただ中で若きギャリー・スピードが亡くなったりと、悲しいニュースも目にしてきたので大舞台で輝いてほしい。

 W杯とみたい映画:2人のローマ教皇

 どっかで捻じ込みたいと思っていた映画ですが、イギリス・アメリカ・イタリア・アルゼンチン合作なのでぶち込み放題。アルゼンチンで紹介しようと思ったんですが、主演のジョナサン・プライスアンソニー・ホプキンスの2人がウェールズ出身なのでウェールズ枠にしました。仕方ねぇだろ、イギリス映画っていう概念はあっても、ウェールズ映画とかそういう概念ないんだから。仲良く二人のローマ教皇がサッカーを応援している姿を見れば、あなたも争いのむなしさを知ることでしょう。

グループC

アルゼンチン🇦🇷

 メッシがいるのに前線が渋滞しがち。

 アルゼンチンあるあるから入ってみました。アグエロが心臓の問題で引退したりしましたが、代わりにアルバレスとかラウタロが入ってきてやっぱり渋滞しています。どうしてこの国は前線ばっかり生えてくるんだ。

 まあ兎にも角にもメッシが世界王者の冠を取れるかどうか。この一点のみ。内容はどうでもいいので絶対に勝つ、結果だけを求めてる。全国民がそうでしょう。

 例年不安だったゴールキーパーは、ヴィラのマルティネスが結構いい選手で、トッテナムのロメロとか、アトレティコのデ・パウルみたいに守備的なポジションにも要所で頼りになる選手がいるのは非常に心強い。ただ、中盤でいうと絶対的な存在感を誇るジオヴァンニ・ロ=チェルソが欠場となったのが非常にしんどい。

 W杯とみたい映画:天の怒り

 天とは、神とは。ある小説家が復讐の為に私の家族を死に追いやっているんだ!という女性の主張を軸に描かれる作品。クライマックスのシーンが冒頭にも流れる、というある程度面白い映画の定番をしっかり踏みつつ、どこまでが計算で、どこまでが天の裁定による偶然なのか。真実はいつもひとつ。いや、完全に視聴者の解釈に委ねられているタイプの映画なのでひとつじゃないわ。

サウジアラビア🇸🇦

 サウジアラビアの情報はなんもないぞ!日本、オーストラリアと同組のアジア予選を勝ち抜いてオーストラリアよりは上のポジションで出てきたはずなのだが、中盤のハッサンがなんか効いてるな、ぐらいの印象で殆ど覚えてない。あれ、でもアウェーで負けてるな、マジで記憶ない。

 前回大会もチュニジアとか逃げてるし、許して、知らんもんはしらん!このグループで勝てる訳もなく!

 W杯とみたい映画:マサーミール~ダナとおかしな3人組~

 サウジアラビアからは、アニメ映画、それもテレビアニメの劇場版をご紹介。そもそもサウジアラビアにテレビアニメの文化があることにも驚いた。ちなみに日本と共同製作した『ジャーニー』っていうアニメ映画もあります。サウジの皇太子(カショギの件など、多分激悪者なのだが)がアニメ文化が好きらしいので、今後も何かしら見る機会はあるでしょう。

 外側にそういう是非はあるんだけど、作品自体は全然そんなことなく、風刺コメディの中にちゃんと男女差別とヒーローのパロディを盛り込んでいて、あ、その辺に自覚的なんだ!っていう驚きとヒーローにはコスチュームがいるだろ!と怒られている中で、女性キャラのダナはヒジャブをかぶっているのでコスチュームに見えるキャラデザなんですよねー。そこまで意図してたら、捨てたもんじゃないな、って思います。

メキシコ🇲🇽

 とにかくベスト16にはいくけどベスト8には行けない国、メキシコ。今回の組み合わせで、いよいよベスト16も危険な気もするので正念場。でも東京オリンピックでも3位だしやっぱ強いのか。

 基本的にこの4年で世界的な注目を浴びる選手が一人しかいないので、守護神はオチョアだし、グアルダードラウール・ヒメネス、エレーラみたいな御存知!なメンバーが揃っている。その中でもナポリのサイドを疾走しているイルビング・ロサーノは注目の存在だ。PSVで凄そうだったのになかなか移籍しないな、と思っていたらついにこの数年で花開いた。彼にうまいことボールを集めたいところだが、幸いなことにポーランドとアルゼンチンなら守備に不安は残っているはずだ。

 W杯とみたい映画:カルテル・ランド

 メキシコで映画と言えば、キュアロン・イニャリトゥ・デルトロの3人だと思うがそれだと芸がないので、敬愛するマシュー・ヘイネマン監督のドキュメンタリー映画を。とはいえ、メキシコと言えばお馴染みの麻薬カルテル映画。アメリカ合衆国憲法に記されるような武器を持つ権利や、革命権なんかは実際に使用されて戦国時代的なことになっちゃうと実に厄介であることがよーく分かる。無力感、絶望。撮ろうとしてこうなったのではないのが、ドキュメンタリーの怖いところだ。

ポーランド🇵🇱

 日本とグダグダ時間稼ぎをしてくれたポーランドプレーオフでロシアと当たったこともあり無事に本大会行きを決めました。

 どう考えて注目はレヴァンドフスキ。ついにバイエルンを飛び出したストライカーはもう35歳とかなのでいよいよ集大成。っていうかピョンテクとかミリクとか人材がストライカーに集中している。他には、負けないナポリを支えるジエリンスキも気力十分なのだが、そこを支えるボランチがクリホヴィアクとかなのでちょっと心もとないかなぁ。絶対ベスト16行くマンのメキシコがいるので今回はGL敗退もありえる。兎に角初戦のメキシコ戦に全精力をつっこむべきだ。

 W杯とみたい映画:ブレスラウの凶禍

 ポーランド映画、ネトフリに眠っているんですよ、結構。その中でもお気に入りは本作で、なんかもう『セブン』みたいな斬新な殺し方大喜利をしてくれる連続殺人の話なんですが、ラストはサッカースタジアムでの『セブン』オマージュからの決着!都合がよすぎる!でもこういうの好きでしょ!好き!っていう感じ。

グループD

フランス🇫🇷

 前回王者。盤石すぎて引く。

 もう誰を見ても各リーグ屈指、世界最強クラスが揃っている。前回の時点でメッシ・ロナウドに続く存在になると言われていたエンバペは未だパリに留まっているが、ロナウドを失ったマドリーで覚醒したベンゼマバロンドールを獲得(最近出てないのが不安だと思ってたら案の定負傷離脱)。それでいて新鋭エンクンクとかも前線に揃っていて気力十分(エンクンクは練習中の怪我で負傷離脱)。若い力で言えば、マドリーのチュアメニ・カマヴィンガの2人が鉄壁。この2人は本当にヤバイ。ポグバとカンテが怪我で欠場するので相当厳しいはずのフランスの中盤が大丈夫だと思えるレベル。後ろはヴァランにキンペンベ、クンデ、コナテ、ウパメカノとこちらも十分(キンペンベも負傷で離脱。呪われてんのか。)。サリバもアーセナルで最高の仕事をし続けていて、誰が出ても十分。正直言って負ける要素が見当たらない。だが、なんかいくつかの国も負ける気がしないメンバーなのでもう私にはわかりません!っていうかフランス最近全然勝ててないらしい。欧州情勢は複雑怪奇なり。確かに前回王者は苦戦する傾向はあるが…

 W杯とみたい映画:レ・ミゼラブル

 フランス映画の中で、もう近年サッカーを絡めようとするとレミゼの話をする以外ないでしょう、というレベルでレミゼはフランスに根付いたサッカー文化を描けていました。ジダンだってアルジェリア系移民の血筋なので、フランスサッカーとフランス映画で取り上げられがちな移民文化の相性が良いのです。『スティルウォーター』で酒井宏樹が取り上げられた話もしたかったんですが、これアメリカ映画や…。なんでレミゼです。やはりこの作品で最も注目すべきはフランス国民からも点を取ると思われていないオリヴィエ・ジルーです。ジルー、本当はアンリ、ベンゼマレベルで代表でも点をとっているのにちっとも点を取っているように思われない。可哀想。なお、映画はこんなサッカーの話だらけではない。

オーストラリア🇦🇺

 ぎりっぎりでの出場。アジア3位同士のプレーオフ、そしてペルーとの大陸間プレーオフを勝ち抜いて出場を決めた。ペルー戦もPK戦まで行ってるし、延長戦で投入されたPK職人レッドメインが止めたらしい。流石にAリーグ所属選手までは追えていない。監督が仙台でダメだったグラハム・アーノルドなので、どうにも評価しづらい。

 中心選手はレッキーとかムーイあたりだろうか。ちょうどヨーロッパ進出が目覚ましくなっていた周辺の選手が30歳ぐらいを迎えており、日本戦でもFKを決めていたフルスティッチがまとめる感じだろうか。

 日本のJ2岡山からミッチェル・デューク、新潟からトーマス・デン、元横浜のミロシュ・デゲネクが選出されているのもチェックである。

 W杯とみたい映画:ナイチンゲール

 オーストラリアの女性復讐劇。白人が原住民にしてきた歴史がそのまま逆襲される映画で、想定していない形で終わる復讐劇。勿論、大局的にはブラックパンサーWFみたいに復讐の連鎖を断ち切る方に動いた方がいいのは分かっているけど、それでも止められないものが世の中にはあるし、そういう映画を求める自分っていうのは否定できない。

 ちなみに、FC東京にも在籍したナイスガイのオーストラリア代表で、ジェイド・ノースという選手がいましたが、彼はアボリジニの血を引く初めての代表戦士でした。

デンマーク🇩🇰

 クリスティアン・エリクセンがW杯に帰ってきた。EURO2020の試合中にショッキングな倒れ方をして、プエルタのことを思い出したサッカーファンも多いだろう。ブレントフォードでの復活を経て、ユナイテッドの選手として帰ってきた。彼のW杯デビューは日本戦だっただけに、彼のおそらく最後の大会を見れることが本当に嬉しい。

 3-4-3の後ろがケアー、クリステンセン、アンデルセンでホイビュアが中盤にいるということもあり、守備は非常に堅牢。とにかくヨーロッパ予選では圧倒的だった。EUROもベスト4まで行っているし、どう考えても日本が勝ったW杯の時の認識だと間違えている。前線がブライスワイトとかイェンセンとかドルベリなのでどうしても大国とは呼びづらいのだが、困ったら死ぬ気でやってくれるブレントフォード勢もいるので、むしろオーストラリア相手とかの方が難しくなるかもしれない。案外フランスには勝てそう。

 W杯とみたい映画:アナザーラウンド

 サッカー観戦において欠かせないカルチャーとは何か。そう、それは飲酒です。『アナザーラウンド』は飲酒を嗜むことでパフォーマンスを最大化していくことを模索する映画ですから、プレーしている選手たちだけでなく、見ている我々もパフォーマンスを上げて行くために飲酒をする必要があるのだ、と言い聞かせてサッカーを見ようじゃあ、ありませんか。なお、劇中ではなんか走りながら飲んでる若者がいっぱいいますが、運動×飲酒は推奨しません。観戦×飲酒です。

チュニジア🇹🇳

 前回大会でも情報がねぇ、と思い続けていたんですが半年ぐらい前に日本代表と対戦してボッコボコにしてくれたので、強い…とびっくりしました。

 日本があまりにもしょっぱかったのは事実なのですが、ボールを持ちたがる日本に対して即時奪回を仕掛けながら、うまくボールを逃がすトライアングルが巧みでした。フランスはちょっと強すぎるにしても、オーストラリア相手には日本戦の自信がそのままつながるだろうし、そしてデンマークという強豪とはいえまだ与しやすい相手。今大会の台風の目になれるか。

 W杯とみたい映画:皮膚を売った男

 本当は東京国際映画祭で見た『アシュカル』をここに書く気満々だったのだが、作品を見てみると、うーん、別にお薦めしたいほどの映画じゃないような…と思ってしまったので持っているチュニジア映画のストックから召喚する。自分の背中を芸術品のキャンバスとして提供して美術品となった男の映画。現代アートや難民問題といった、人を人として扱わないような諸課題に対する問題提起をした作品。サッカープレイヤーをマシーンのように捉えるような戦術至上主義が跋扈しているサッカー界にも一石を投じたとか、投じて無いとか。

 ちなみに過去の感想を読んでたら、昨年のいい皮膚の日(11/12)公開だったようです。ちょうど1年ほど前ですね。いい皮膚の日?とは?

グループE

スペイン🇪🇸

 日本が狙うのはスペインの首だろう。ルイス・エンリケの手腕は正直信用していない。

 日本がスペインに勝った事例、といえばやはり思い浮かぶのはロンドン五輪。あの時は大津と永井が死ぬほど追い回したが、あの時のメンバーはコケとアルバぐらいで追い回してもトラウマは蘇らない。むしろ、かなり若年化に成功しており中心はバルセロナ。ガビとペドリに中盤を背負わせこの次の10年に向けた大会になるはずだ。

 そう書くと投資に潰すみたいだが、ガビもペドリもめちゃくちゃうまいし冷静だし走るし、アンカーでブスケッツが責任を取ってくれるのでのびのびやれるはず。ラモスとかいないし。モラタ以外ストライカーのいない前線はダニ・オルモとかフェラン・トーレスのファルソ・ヌエベ(ゼロトップ)をオプションで持っていくぐらいしか思いつかないので、おそらく途中から入ってくるだろうアンス・ファティの切り札感が高まる。

 うん、やっぱバルセロナだな。

 W杯とみたい映画:クロース

 スペイン映画っていうのも絶妙にストックが無い。そんな中で抜群にお勧めできるのがこのアニメ映画。なんか血なまぐさい映画のオススメが多かった気がするので、ご家庭で安心して鑑賞できる作品で、しかもこれからのクリスマスシーズンにぴったり。いったいどうしてサンタクロースが子どもたちにプレゼントを配るようになったのか、なんてのを小粋に見せてくれる、素敵なクリスマスをあなたに。

コスタリカ🇨🇷

 コスタリカサッカーについての最新のアップデートができている日本のサッカーファンなどいったい何人いるというのだ。私もその一人なので、躍進の2014年大会の記憶だけで記していく…と思ったのだが、あの大会で一躍ヒーローとなったケーラー・ナヴァスが相変わらず君臨しているし、ブライアン・ルイスだの、キャンベルだの、まだ現役でしたか皆様、っていうベテランが鎮座している他は随分と若いメンバー。フォレストとサンダーランドイングランド勢はいるが、国内組も結構多い。親善試合で勝っていることもあって、ここには勝てると踏んでいる人が多そうだが、彼らはベスト8経験者であり、ここ一番のナヴァスの集中を突破できる気がしていない。ん、サンダーランド?あ、傑作ドキュメンタリーシリーズ、サンダーランドこそ我が人生を見ませんか?

Netflixで「サンダーランドこそ我が人生」を観ましたか?

https://www.netflix.com/jp/title/80207046?s=i&trkid=13747225&vlang=ja&clip=81236682

 W杯とみたい映画:ジュラシック・パーク

 コスタリカ映画、いよいよ厳しいですね。

 にっちもさっちも行かなくなったんですが、こんな時に助けてくれるのは往年の名作です。なんと!ジュラシック・パーク(初代)は!コスタリカの沖合の島に作ったんだそうです!イスラ・ヌブラル島!

 そのことに物語的な意味があったのか良く分かりませんが、まあ皆さんコスタリカの場所を検索してくださいよ。ココ島という世界遺産がモデルらしいんですが、なるほどこれなら逃げても安心だね!んなわけあるか!

 映画の中身はもう知ってるでしょ?ええよね?

ドイツ🇩🇪

 どう考えても強いのに、韓国相手に大爆死してグループリーグで敗退した前回大会。King of かっこいいのレーヴさんが勇退してハンツ・フリックが就任して相変わらず強い。

 ノイアーが君臨しつつ、シュロターベックが間に合い、ブンデス勢+リュディガーあたりで組むディフェンスラインは鉄壁。で、中盤にはキミッヒ、ホフマン、ギュンドアン、ゴレツカだし。前線はやっぱり凄いミュラー、サネ、ニャブリのバイエルン三銃士がいて、最前線のヴェルナーは怪我だがハフェルツでまあ代用可能でしょう。で、代わりに前線で招集されたのがドルトムントの18歳のムココで、いやードイツレベルの大国でこういう選手の抜擢あるの凄いわ。ムシアラも若いし。そしてどう考えてもバイエルンおかしいわ。

 ってフランス同様ドイツも最近の戦績が悪い。何でや!

 W杯とみたい映画:Uボート

 ドイツ人の結束の固さを感じたいなら、やはり潜水艦映画でしょう。どんな状況でも諦めない鉄の意志が見られるこの作品は、サッカー2試合分の時間はかかりますがその価値のある傑作ではなかろうか。問題があるとすれば、西ドイツ時代の作品なので厳密にドイツ代表に対応させてええんか、というところだけ。

日本🇯🇵

 我らの日本代表です。「我らの」感は、サッカーファンからはすっかり無くなってしまった気がしますが。基本的に前線が上田綺世を電柱にする以外は前から追い回す浅野・大然っていうコンビの選出で、何がしたいのかわからないし、川辺とか稲垣とか試すこともせずに柴崎を選んでる時点で強度というものをどのようにお考えでしょうか?と問い質したい。その上で、中山がW杯どころかシーズンアウトで冨安・板倉・谷口・遠藤も怪我上がりで大変厳しい様相を呈している。後ろがガッタガタよ。

 もしかしたら三笘が希望の光になるかもしれないが、三笘はしっかり準備させてあげて、1on1で勝負できる状態を作ってあげて輝くタイプなので彼が預けどころになるようでは全く話にならない。なんて言ってたら三笘さん体調不良。あらま。

 W杯とみたい映画:ホペイロの憂鬱

 アメリカ以上に何を選ぶか困る。サッカー映画だったら、11人目のストライカーをやってもいい気はするし、長友佑都アニメ化っていう理解不能なのもある。

 だが、敢えて、敢えてサッカー映画でプレイヤー以外のところにスポットを当てた本作を紹介したい。J3SC相模原の大協力のもと、ほぼそのままやんけ!っていうビッグカイト相模原というチームを舞台にして、用具係のホペイロを主人公にした日常ミステリに近いサッカー映画。日本の最近の映画でここまでしっかりサッカーの話をしつつ、サッカーを支える周縁の話をよくできている作品だと思います。相模原、一度J2に上がった現在でも練習場を持たず、割とその辺も近い。

hochi.news

グループF

ベルギー🇧🇪

 前回日本の夢を容赦なく打ち砕いたベルギー。今回も強い。

 ルカク大丈夫?っていうことになった前線、無事ルカクは選出されたがハイパフォーマンスは戻っていない印象。また、エデン・アザールは不調どころか試合にもなかなか絡めない数年を過ごしているのが不安だ。

 ただ、その他は絶好調で守護神クルトゥワを中心にしたアルデルヴァイレルトヴィツェルヴェルトンゲン、ムニエみたいな連中が大体今回がピークぐらいの感じ。ヴェルトンゲンアルデルヴァイレルトと3バックを組むのは19歳デバスト!ただやっぱ中堅が弱いか。ブライトンで大活躍トロサールぐらいしか目ぼしい選手が見当たらない。

 だが、何よりキングとして世界最高の司令塔ケヴィン・デ・ブライネがいる。こいつの存在だけで明確に危険度が50ぐらい上がる。無から恐ろしいパスを操り得点を生む彼の美技は必見。ハーランドに合わせることを覚えた結果、FW陣と感覚が合わない、みたいなこともないだろうから凄い。

 また、スーパーサブとして出てくるのではなかろうか、ジェレミー・ドクのドリブルと決定力には目を見張るものがあり、ビッグクラブ注目の逸材。

 W杯とみたい映画:アンネ・フランクと旅する日記

 今年公開されたアニメ映画の中でも間違いなく見てほしいと胸を張って言える作品は何かと問われればこれを挙げる作品だ。

 アンネ・フランクを題材とした作品は数多くあれど、この作品では主人公はアンネの書いた日記であって、アンネ本人ではない。現代を舞台に、この日記が具現化した存在が少女と共に過ごす話になるのだが、明確に現代を彩る作品であり、移民・戦争といった題材に対する大きな提起であり、またこの題材かよ、に対する張り手だ。

カナダ🇨🇦

 カナダがW杯。実に珍しい、というかほぼ記憶にない。カナダってサッカー強かったん?36年ぶり2度目とのことなので、それもしょうがない。

 面白いのは、ここまで導いた監督が女子サッカーナショナルチーム監督から転身したというバスケ日本代表のホーバスじゃんムーブで就任したってことだと思うんだけど、でもそれでW杯に連れてくるんだから凄い。いずれにしても、おそらくは4年後、アメリカ・メキシコとの共催のとこでの躍進を狙う経験値を積む大会になるのでは。

 中心、というか名前を知られている選手はバイエルンのアルフォンゾ・デイヴィスをおいてほかにあるまい。とにかく速い爆速左サイドバックの印象だが、どうもカナダ代表では2列目っぽい。カナダ代表の最新情報は直前の親善試合なんだけど、申し訳ない、その時間はすずめの戸締まりの話をしているんで試合を見れてない。

 W杯とみたい映画:複製された男

 カナダの映画…CUBEかヴィルヌーヴっしょ、っていう安直な感じで選びました。カナダと言えば、ジョナサン・デ・グズマンとジュリアン・デ・グズマンとかいう殆ど同じ人みたいなのが分身して出てきたし、全く顔や声が同じ男が登場したこの作品でしょう、と思ったんだけどWデ・グズマンは兄弟でした、初耳。調べないと分からないことってまだまだありますね。

ロッコ🇲🇦

 やってしまったハリルホジッチ。日本に引き続いてW杯の出場権を獲得したのに直前で解任されてしまった。日本の時はスポンサー選出が厳命された選手の扱いなどで揉めたからだと本人談だが、今回はスター選手の扱いで揉めた。日本の時の解任は、今でも協会が悪いと思っているが、この爺さん確かに扱いづらいのかもしれない。ちなみにハリルはコートジボワールでも同じ目に合っている。

 ただ、ハリル解任のお陰で代表を拒否していた一番のスターであるツィエク、マズラウィの2選手は呼ぶことに成功。いるといないとではクオリティが段違いになる選手だけに躍進の可能性は高まったか。あれ、でもマズラウィってハキミいるのにどこで出るんだろ?前線のツィエク、ブファル、エンネシリのシナジーは強力だし、守護神ヤシン・ブヌも十分世界レベル。クロアチアとベルギーと同居したことだけが不運だ。

 W杯とみたい映画:カサブランカ

 モロッコっていうのは、アフリカ北西部、スペインとジブラルタル海峡を挟んでの国。よって結構映画にはヨーロッパ絡みでも登場するんですよね。007/スペクターのラストの砂漠ホテルかなんかもモロッコだったような、MIBインターナショナルの時もなんか出てきたような。

 で、モロッコでの映画といえば、そりゃ『カサブランカ』ですよ。「君の瞳に乾杯」というセリフをハンフリー・ボガートかましていることで非常に有名ですが、映画評論家町山智浩さんによれば、このセリフも含めて脚本なんて存在しないようなクソ現場だったらしいですね。アカデミー賞脚色賞取ってますけどね。ただ、作品としてはモンロー宣言下のアメリカをナチスの支配するモロッコという特殊な状況で完全に再現しての、結構バチバチの戦争を描いた映画で、古いと思って見逃がしているならオススメですよ。何よりハンフリー・ボガートはやっぱり反則級のかっこよさです。

クロアチア🇭🇷

 万感の前回大会を終え、モドリッチ良かったね、って思ってたんだけどモドリッチまだ代表で中心でカムバックした。モドリッチ、コヴァチッチ、ブロゾヴィッチ、ペリシッチ、ロヴレンとバリバリに前回大会の主力そのままで来た。頑張れおじさんたち。あ、でも流石にマンジュキッチとかラキティッチはいなくなってる。

 前回大会も延長戦とかが続出したのに名手たちが死ぬほど走り続けていたが、モドリッチの献身性は衰えるどころか増しているようにすら思えて、形容詞が凄いしか思いつかない。とはいえモドリッチはもう本当におじさんなので、控えとなるだろうパシャリッチやヴラシッチみたいなセリエで輝いている選手の躍動にも期待したい。

 W杯とみたい映画:ゾンビボーダーライン〜めざせ!アンデッドのいない国境地帯へ〜

 クロアチア、というかヨーロッパのこの辺とサッカーっていうのはユーゴスラヴィアと話を切り離せない。今回はクロアチアセルビアなんだけど。

 そういうクロアチアの意識がゾンビ映画としておふざけコメディにしか見えないようにしっかりセットアップされてて、すっごい皮肉と風刺の効いた良い作品だった。ゾンビに噛まれても、セルビア系なら大丈夫!なんとか抗体がある!っていう持って行き方はほんとにお見事。

 いつも聴いてるTwitterスペース映画番組「めーぶれ」でもお馴染みナオミントさんが推していたのも良く分かる!となります。

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グループG

ブラジル🇧🇷

 いやー、メンバーを見る限り負ける気がしない。常にW杯に出続ける大国が世界ランク1位で迎えるW杯。世界最高のGK陣、エデルソンとアリソンが切磋琢磨し、ダニ・アウヴェスとチアゴ・シウヴァのベテランがしっかり締める守備陣。前線はネイマールが君臨しつつ、リヴァプールで絶好調のフィルミーノすら落選する大激戦。ラフィーニャが割とバルサで微妙なのが心配だが、ヴィニシウスはもはやネイマールを超える存在感をマドリーで見せ続けている。プレミア絶好調のアーセナルからもジェズスやマルティネッリがやってくるし、中盤も控えにギマランイスだのファビーニョだの多士済々。ベルギーに敗れて自国開催のリベンジを果たせなかった前回と同じ轍は踏めない。

 W杯とみたい映画:アクエリアス

 ブラジル映画と言えば『バクラウ』なんですが、ここはあえて同じ監督の前作を。住居立ち退きを迫られた女性をソニア・ブラガが演じている。静かにこんこんと時間が過ぎていく中で、ブラジルにおけるジェントリフィケーションとか貧困とかそういう問題を描いていて、沁みる。サッカーは関係無さそうでいて、ブラジルに超絶技巧のロナウジーニョタイプがいなくなったのは、ある程度近代化されて路上でフットサルする子どもが減ったからとかいう話もある。サッカーと貧困は意外と身近なのだ。

セルビア🇷🇸

 ポルトガル代表のいたグループだったんですが、見事首位通過。監督のピクシーこと岐阜の鮎食い妖怪、違った、ドラガン・ストイコヴィッチは名古屋でもJ1優勝させているし、戦力のあるチームを操ると強い。

 とにかくパワフルなのが前線で、イングランド2部で得点王になってプレミアに乗り込んで来たミトロヴィッチとユベントスに乗り込んで新エースに名乗りを上げているヴラホヴィッチの2トップは強力。ヨヴィッチとかジュリチッチも控えている。で、それを操るミリンコビッチ=サヴィッチもサイズがあるタイプの司令塔で、同じ司令塔のポジションにはコスティッチもいる。守備陣はミレンコビッチぐらいしか特筆したくなる選手はいない気はするが、なんていったって予選1位なので期待は出来る。初戦がブラジルなので、マネージメントが鍵ではなかろうか。

 W杯とみたい映画:鉄道運転士の花束

 鉄道の運転手は人を轢いてナンボ、というちょっと生死の感覚がバグった親子ドラマ。人を轢いてナンボの世界で、線路に横たわった子どもを助けたおじいさん運転士が彼を育て、彼が運転士になる物語。ネタバレになるので明かしませんが、このおじいさんが最後にとる行動って、本当に愛だなって思います。あっこで喜ぶなよ、とは思いますけど、まあ微笑ましいですよ。

スイス🇨🇭

 GK4人入れてる。GKの人数だけ見ても、その国の考え方が出ていて面白い。

 なんとなくブラジルに強いイメージが残っているスイス、前回大会でもセフェロヴィッチやエンボロで挑んでいるようでは厳しい、とコメントしていたのにまったく同じ陣容で挑んで来た。まじかよ。

 ただ、イタリアを下して首位通過してきた実力は間違いなく、ゾマーが鎮座するゴール前を何でもできるアカンジが封鎖し、中央に本当に絶好調ジャカ。ジャカはコントロールできるなら最高の選手である。前線を繋ぐ位置のシャキリが相変わらず奮闘しており、アメリカに行っても楽しそうで何よりなんだけど、ザカリアがチェルシーで出れてないのは痛い。

 W杯とみたい映画:ブルー・マインド

 これは面白かった。自分は本当は何者なのか、もしかして自分の体に起きている異変は、自分が他の人と全く異なる由来や病ではないのか?思春期の葛藤を、人魚になっていくっていう寓話で描く青春ムービー。飼っている魚をダイレクト喰いするシーンははっきり気持ち悪いな、って思うんですけど、もしかして生魚を食ってる日本人って世界からああいう目で見られたりしてるんだろうか…。

カメルーン🇨🇲

 不屈のライオン、とは言ったものだが、最近はW杯に出てきては負ける感じが続いていて、アフリカでもセネガルとかアルジェリアのような曲者感は出ていない。

 GKはドーピングから戻ってきたオナナ。実力は十分だけど、奥さんの薬を飲んで引っかかってしまった。ステップアップしてビッグクラブにいる未来を描いていたハズなのだが。後ろは何とも言えないメンバーなのだが、中盤の要に全然負けないナポリを掌握しているザンボ・アンギサが君臨。予選で苦戦したのも彼の不在は大きいはずで、彼の運動量と守備力には是非注目していただきたい。前線はエンベウモとか、アブバカルとかまたなんとも絶妙なラインの選手が揃っているのだが、ここにきてシュポ=モティングがバイエルンで定位置を獲得し始めている。バイエルンは開幕当初はマネがトップだったはずなので、相対的に見ればサネとかコマンからポジションを取ったことになり、え、そのレベルの選手だっけ!?と驚いている。この目で確認したい。

 W杯とみたい映画:漁村の片隅で

 140分続く本当の地獄がここにありました。胸糞映画のレベルとしては、かなり高い。賢くなると怠惰になる、女に教育は必要ないっていう反知性主義的な男が娘から教育の機会を奪っていく毒親映画。カメルーンの映画事情なんて殆ど知らないけど、この映画を作れるっていうことは、相当自覚的にこの問題が共有できているわけで、それは素直に良いな、って思います。なかなか義務教育の浸透している日本では掬い取れない感覚体験。

グループH

ポルトガル🇵🇹

 なんか集大成みたいな空気を出していたC・ロナウド御大だが、無事もっかいW杯にまた挑みに来た。ヨーロッパ予選はセルビアに負けてプレーオフに行ったんですが、プレーオフでイタリアを破ってきたし、ヨーロッパの国同士が戦うネーションズリーグの初代王者。強いんだか弱いんだか良く分からない。

 ロナウドこそユナイテッドで扱いが難しくなってきている感じはあるが、他のメンバーは実力派が揃っている。ミランのラファエル・レオン、シティのベルナルド・シウバ&ルベン・ディアス&カンセロに、ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデス、ポルトガル大好きウォルバーハンプトンのネヴェスとヌネス。普通に強い。

 ただジョッタが怪我で欠場濃厚。痛い、痛すぎる。

 W杯とみたい映画:カラー・アウト・オブ・スペース-遭遇-

 イベリア半島同士ということで、見事にスペイン同様ストックが無い。アメリカとマレーシアの共同製作で、ニコラス・ケイジが主演なのでアメリカがメインな気がするが、これで許してほしい。クトゥルフ神話の実写化としてこんなに気持ち悪い色使いと『遊星からの物体X』的なクリーチャー造形とか、大変満足いく作品でした。

ガーナ🇬🇭

 エッシェンとかのイメージだけで記憶しているガーナ代表なんだけど、それも致し方ない。中心選手のトーマス・パーティこそ素晴らしい飛躍を見せているのだが、それ以外はまだジョーダン&アンドレ・アユーに頼っている印象。結果がそのまんまで、アフリカネーションズカップでもグループリーグで敗退。なんで決勝に行ったエジプトがW杯出れてないんだ。

 ビルバオが誇るイニャキ・ウィリアムズがここにきてガーナ代表を選択したことで前線に多少のメドが立ったとはいえ、韓国に比べるとどうにもパンチにかける印象だ。

 W杯とみたい映画:アミナの運命

 14歳の女の子が人身売買同様に売られてしまう話。お前ももう子どもではないよ、なんて言いながらその子の人権は否定するっていう立ち振る舞いが本当に嫌なんだけど、アフリカ映画、そんなの多いな!ってことは、それだけこれが常態化しているのか…。まじで友達の孫の14歳を嫁として要求するじーさんとかさ、くたばっちまえ。編集が暗転しまくっていてクセがありますが、Filmarksの点数の低さ程つまらなくないです。っていうか、Filmarksはナイジェリア映画の『アミナ』っていう映画の感想をなぜかこっちに書き込んでいる人が多く、しかもそいつらがみんな低評価しています。面倒な。

ウルグアイ🇺🇾

 スアレスだのフォルランだの言ってる時代は終わった。と思ったのだが、スアレスカバーニも選ばれている。ゴディンもカセレスムスレラもいる。監督はタバレスじゃなくなった。君らもうベテランもベテランだろ。

 そんな中で、若い希望はいくつか出ていて、とにもかくにも今シーズン出色のパフォーマンスでマドリーの中心になりつつあるフェデ・バルヴェルデを見るべきだ。もう一人の希望、バルセロナのアラウホは手術でW杯を断念したと思いきや、手術に成功してメンバーに滑り込んで来た。リヴァプールでフィットしてるのか怪しいとはいえ、ちゃんと点は取ってるダルウィン・ヌニェスも連綿と続くウルグアイストライカーの文脈に乗っかりたい。

 W杯とみたい映画:トーゴー/Togo

 ウルグアイ映画とか知らねぇよ、ウルグアイに映画とかあんのかよ!と思った皆さん。私もです。W杯に合わせて企画を立ててみたら後悔した国が多すぎます。中東・南米・アフリカの難易度が高すぎる。しかし、ここまで同様困ったらNetflixさんに聞いてみましょう。ほら、ちょうど配信されてるじゃないですか!中身としては、おじいちゃんがギャングに絡まれても交通整理の持ち場を守るんだ!というなんというか、交通整理ってそこまですることなのか…?という疑問符の浮かぶ現地の風習が気になることMAXではありますが、サッカーとは持ち場を守ることだ!というポジショナル・プレーが持て囃される時代です。

韓国🇰🇷

 前回はドイツをうっちゃった訳ですが、そこから更にエースのソン・フンミンが成長。アジア人初のプレミアリーグ得点王に輝き、さらに夏の移籍でナポリにやってきたキム・ミンジェも中心選手になっているので、攻守の中心、軸がはっきりしている以上、戦い方は分かりやすい。どうキム・ミンジェが相手を潰して、どうソン・フンミンが点を決める形を作るかだ。ファン・ヒチャンも前年、プレミアで結果出してるし、ウルグアイポルトガルなら、ギリいけるんじゃね感があるのでモチベーションも決して低くないハズ。あとはソン・フンミンの怪我次第。

 日本になじみがある選手で言うと、ファン・ウィジョ、ナ・サンホ、キム・ヨングォンキム・ジンス、キム・スンギュが元Jリーガーで、現ガンバのクォン・ギョンウォンも選出。

 W杯とみたい映画:神の一手

 今回の企画のトリです。長い!そりゃそうだ!前回大会はプレビューだけなのに分けてたもん!

 ってことで、ご機嫌な映画で〆ましょう。ずばり!囲碁囲碁!?

 サッカーっていうのは、チェス的な戦略性、陣取り合戦の面白さが重要。まさにサッカーを知って、世界を知る、に通じるのがボードゲームなんですね。

 翻って、本作。囲碁の為に、とにかく体を張って戦いまくります!戦略とか、そういうのは関係ない!!アクション!遠隔囲碁!冷凍庫で凍りながら囲碁!目隠しで囲碁!戦略性ってなんですか!!超楽しい!!