抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

未来は指先に「映画 バクテン!!」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はバクテン!!の劇場版。ノイタミナからの映画化ですが、『岬のマヨイガ』『フラ・フラダンス』と合わせて復興プロジェクトの一環でもあります。

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WATCHA5.0点

Filmarks4.8点

(以下ネタバレ有)

1.とにかく!すべてが!美しい!

 ラーメンも串タコも年越し蕎麦もめちゃめちゃ美味そうだし、七ヶ浜から亘理への頑張ったなわしゃわしゃとか、みんなの後ろで礼が1人だけ深い亘理とか、あ、もう普通の作画で凄いです。

 なのに体操シーンは相変わらずのスーパーストロングスタイル!普通、こういうスポーツものとかって、観客席にいる監督や記者、強豪校の選手たちに今のプレーがどういう風に凄いのかを解説させることでその人が、チームが凄いかを無理やりわからせる手法が一般的なんですが、本作はそれはテレビシリーズから一貫して皆無。演技シーンはとにかく彼らを見せることに注力、ステージから目をそらさず、観客席も映さない。そこは彼らの独壇場。カメラを動かしまくったり、照明の演出で演技を際立たせたり。実写の男子新体操だと私は引きの映像しかみたことがないんですが、アニメーションだからできる表現満載。映画になったことで、更に動きに磨きがかかっているし、モーションキャプチャー的な3DCGがメインだったテレビシリーズから手書きの枚数増えてて、動作に予備がしっかりあったし、連続性をすごく感じて、でもそれだけでは実写になっちゃうところでのエフェクト!風!音!汗!髪!みたいな!バクテン1人称とかもすんごーくいい!!とにかくいい!しっかりインハイで振っているから、ラストで亘理先輩が倒立でふらつかなかっただけで私はガッツポーズをしながら号泣していました。親かよ。っていうか、ホント亘理先輩かっこいいっす、ひろCすごい。キャプテンの重圧とみんないなくなっての不安を一心に表現しつつ、キャプテンは誰だ?と白高に問われた時にちゃんと名乗りを上げる覚悟!ああもうそこで感涙!!あんたが大将!!

2.未来と今を天秤に乗せて

 アニメシリーズは、未来よりも賭けるべき今があるのでは?っていう未来も死ぬほど大事だけど、今しかない青春って大事だよね?をやりつつ、でもそれでいいのか結論は出ないよね、っていう感じでやってきました。右手首を怪我しちゃった翔太郎が怪我を押して出場する。6人じゃないとダメ。個人的には、本当はダメなこと。でも、男子新体操にとっては、映画版でも語られるようにプロもオリンピックもない、本当に短い競技人生の一番の輝きの瞬間。新体操の無いかもしれない未来の為に、現在を犠牲にしていいの?今をもっと大事にしてもいいんじゃない?大丈夫、失敗したって後悔はしていない、櫻井孝宏演じる志田先生は悩みながらもそう思う。(余談ですが、ほぼ同じことを森喜朗東京2020オリンピックSIDE:Bでも言っていた。受け取る感情が真逆だが。)

 で、ですよ。今作はそこに対して今回は未来のために今を犠牲にするっていう櫻井孝宏なのよ。それは、今しかない青春をもっと先まで伸ばすための決断で、怪我を押して試合に出ちゃった翔太郎も、一度っきりの6人でのインターハイで失敗してしまって責任を背負い込んでしまった亘理先輩にも、おばさんに心配かけれないからと言って大学進学を諦めようとしている美里もにも、みんなを救済する未来への夢なのよ。で、そこに対して感謝と、お礼をこめて最高の演技でお返しする。しかもそれ自体が新体操を好きになってくれるかもしれない新時代へのそれになる。志田先生を見て美里は新体操を始め、彼を見て真白も新体操を始めた。そのバトンが受け継がれていっている。だから、もっと長く走り続けられるように普及させていこう。現状、男子新体操は世界的には壊滅的に競技人口がいないはずで、オリンピックとかプロは夢どころの騒ぎじゃない。でも、志田先生なら、この先の翔太郎たちなら、出来るんじゃないか。そう思わせてくれました。

 結構こっぱずかしい感じで言っちゃいましたが、黒柳監督はアニメの各話でもポエム表現を入れてね、なんてオーダーをしていたっていうし、こういう綺麗事やポエムが力を持てるし、力を持つと信じて作っているんだね、っていうそういう作品でした。